少子化と高齢化が同事に進行する日本社会。過去に例のない急激な人口減少は社会にどのような変化をもたらすのか? そんな疑問に応えた本が発売開始から約1か月で12万部と大きな反響を呼んでいる。『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)。著者は、10年以上にわたり少子高齢化問題を追い続けている産経新聞社論説委員の河合雅司氏。河合氏に話を聞いた。

■最新データからひも解いた現実

── 「未来の年表」を読むと少子高齢化社会で何が起きるのか具体的に描かれていて、日本社会の将来に強い危機を感じました。

河合氏 この本の特徴の1つは、どの統計・調査も最新のデータを使っている点です。今年4月、「日本の将来推計人口」が5年ぶりに改訂されたので、その最新データにもとづいて将来、起こり得ることを予測しました。

── 現状でもっとも精度の高い予測ということですね。

河合氏 それともう1つの特徴としては、特定の問題を深掘りするのではなく、全体を俯瞰して書いているということです。これから起きることはあまりに大きな社会の変化なので、1つ1つの問題を追究してしまうと全体としてどういうことが起きるのかわかりにくくなります。人口問題というのは、中長期的に考えなければいけない問題と短期的に考えなければいけない問題が混在していて、しかも地域偏在がある。人口減少がすごく進む地域もあれば、東京のようにまだ増えているところもある。1つ1つの点や面を取り上げていくと問題がどこにあるのかわからなくなってしまう。問題を整理してトータルで見ていかないと理解が深まらない、ということでどのように少子高齢化問題、人口減少問題を危機として共有していくのか、その切り口として年表というスタイルを考えたのです。

── 2020年には女性の2人に1人が50歳以上に、2025年にはついに東京都も人口減少へ、2040年には自治体の半数が消滅の危機に、といった具合に起こり得る変化を年表で示しています。いずれも明るくない未来です。

河合氏 この問題がすごく難しいのは、「昨日と今日」、「今日と明日」の変化を感じにくいことです。少子化は大変なことだ、いずれ国が成り立たなくなるほどに人口が減るということは知識として多くの人がもっていますよね。次の世代が生まれてこないということは社会が続いていかないということはわかるわけです。ですが、危機として認識できるのか、そして、これは大変なことだと思っても、その危機意識が持続できるのか、こうした点がなかなか難しいわけです。

── 日々の生活の中で問題に直面しているということではないですからね。

河合氏 まさに火が燃え盛っている火事現場にいるような危機とは違う。だから、私はこの問題のことを「静かなる有事」と名付けたのです。高齢化は進み、子供の数が減っていくという現実は避けて通れない。東京に住んでいようが、地方に住んでいようが、その時に高齢者であろうが、若者であろうが、必ず今のままではいられないという問題なのだということを、この本を通じて1人1人が考えるきっかけになってくれれば有り難いですし、それがこの本を書いた大きな目的です。