振り込め詐欺などの特殊詐欺犯罪からお年寄りをどうしたら守れるのか? さまざまな試みの末にたどり着いたのは可愛い少女人形だった。「あんしんみーちゃん」。静岡県警が1年かけて企画・開発し、現在、その効果を検証中の人形だ。

ランダムにおしゃべり、内容は5種類

 電話機の横に座るみーちゃん。電話がかかってくると胸のブローチが赤く光り、みーちゃんが話し始めた。「『お金がすぐに必要といったらサギだよ』」「騙されたら、みーちゃん悲しいな」「あのね『携帯電話が変わった』って言ったらサギですよ〜」……。

 受話器をとるとみーちゃんの声は止むので、電話の会話の妨げにはならない。みーちゃんは、電話が鳴り始めてから受話器をとるまでのわずかな間だけ詐欺電話への警戒を呼びかける人形だ。内容は5種類あり、ランダムにおしゃべりする。

 「音や動きが必要と上司から言われたのがきっかけでした」と企画した静岡県警生活安全企画課の担当者。警察では、詐欺電話に応じないように繰り返し注意を促しているが、被害がなかなか減らない実態がある。静岡県内でも昨年1年間に332件、9億1800万円の被害が出ている。

ポスターやワッペンは日常風景の一部に

 詐欺電話は1人暮らしの女性お年寄り宅の固定電話にかかってくるケースが多いという。警察は、注意を促すポスターを作ってお年寄りの自宅に貼ってもらったり、ワッペンを作って電話機に貼ってもらうなどしてきたが、貼ったポスターやワッペンはいつしか日常風景の一部と化し注意喚起の効果がなくなってしまうという。

 そこで「音や動きが必要」という上司のひと言となったわけだが、上司の言葉を受けて担当者が最初に思い浮かべたのは、音に反応して踊るタカラトミーのおもちゃ、フラワーロックだったという。担当者は、静岡市内の玩具メーカーに相談し、インターネットで情報を集めるなどし、そしてある人形を発見する。それが「おしゃべりみーちゃん」だった。

お年寄り宅などに配布して効果を検証

 株式会社パートナーズ(東京都新宿区、盛田慎二代表)が製造、販売する「おしゃべりみーちゃん」は、お年寄りが孫のように感じながら会話をすることができる音声認識人形(会話ロボット)。

 話しかけるとその内容に応じて返事をするほか、ひとりごとを言ったり、日時を教えてくれたり、朝、起こしてくれたり様々な機能をもつ。担当者が株式会社パートナーズに相談したところ、技術的に可能との回答が得られたため、静岡県警で仕様書を作成し予算をつけて作ったのが「あんしんみーちゃん」だった。

 静岡県警は「あんしんみーちゃん」を500体つくり、今年4月から県内2警察署の管内のお年寄り宅などに配布、利用の実態や犯罪抑止効果を検証している。