「こうした旅は今回で最後に」

 昨年、有給休暇を使って、夢だった自転車での南極点到達を果たした神戸市須磨区在住の会社員、大島義史さん(33)が11日、米国で最も暑いとされるデスバレー国立公園への自転車旅へ出発した。今回は会社のお盆休みを利用しての自転車旅ということだが、大島さんは「こうした旅は今回で最後にします」と語っている。

学生時代に自転車旅に魅せられる

 大島さんは高校時代に国内各地の遺跡を自転車で回ったことをきっかけで自転車旅に魅せられ、大学時代にマウンテンバイクを購入後は国内から世界へと広がっていき、北極海からアメリカ、オーストラリアの砂漠などを自転車で走り続けるなどした。

 大学時代に地元の図書館で南極旅の本を見て以来、南極を自転車で走るという夢を持ち、会社員になってもその夢を持ち続け「仕事をしながら、有給休暇で行ける範囲で旅をしたい」という目標をたて、約5年にわたり会社や家族と話し合いを重ね、昨年1月にとうとう自転車で南極点到達を果たした。

扇風機がついた服などを用意

 妻と子ども2人という家族を持つ大島さん。南極では1200万円の借金をしたが、大手企業の経理マンという仕事の腕を生かし、家族の生活には支障をきたさない計画を立てて旅をしてきたため、南極から帰国後も自分の小遣いは「ほとんどなし」にし、仕事や家族サービスをしながら借金は順調に返済を続けている。また、テレビなどでもこれらの旅が取り上げられ、講演活動や書籍の出版なども行うなどし、それらも返済に充てているという。

チューブは破裂すると思うから予備を持っていく

 しかし、あれだけの大きな旅を成し遂げ、なぜ再び世界で最も暑く、乾燥もしており「死の谷」として知られるデスバレーへ自転車で旅を続けるのだろうか。10日午後、自宅でデスバレー自転車旅の準備をしていた大島さんを訪ねてみた。

 自転車はすでに成田空港へ配送済み。部屋には旅で着る服などが積まれており、緊急事態の時などに備えた衛星携帯電話などもあった。

 また、筆者はなにやら小型の扇風機が装着された服を見つけた。聞けばこれは「空調服」だという。「南極は僕が言った時は氷点下40度でしたけど、デスバレーは気温50度を超えるところもあるところなんで」と話す。

 最近、どこかの工事現場で扇風機がついた服を着ていた作業員を見かけ「その方に聞いたら『空調服』を教えられ、ホームセンターで揃えました。メーカーに確かめたら、気温的には大丈夫だろうということです」と続けた。

 着るものは熱をはじくため、あえて会社などへ着ていっている白のYシャツなどを着て走るなど、笑顔で話す大島さんだが、不安も募る。海抜下86メートルの灼熱砂漠から標高3368メートルの高山まで、様々な場所を持つこの公園、砂地にはガラガラヘビやサソリもいるなど、やはり「怖い」という。それに、気温50度を超えるなら、地面がアスファルトの場合はさらに熱い。「おそらくタイヤはとけて、チューブは熱で膨張して破裂すると思うんで、予備をたくさん持っていく」という。