2020年に開催される東京オリンピックのボランティアをめぐって様々な議論が行われています。報道されたボランティア要件の素案の内容が厳しすぎるとの批判も出ていますが、人手不足の中、十分な数のボランティアを招集できるのでしょうか。

なかなか厳しいボランティアの要件

 東京オリンピック・パラリンピックのボランティアには、主に競技会場などで運営を支える大会ボランティアと、空港や主要駅などで旅行者に対応する都市ボランティアの2種類があり、合計で9万人以上の人材を確保する必要があるといわれています。正式なボランティアの要件はまだ確定していませんが、新聞報道などで明らかになったボランティアの要件はなかなか厳しいものでした。

 特に大会ボランティアについては、活動日数は10日間以上、オリンピック・パラリンピック競技に関する基本的知識を有し、スポーツボランティアなどの経験が必要です。また書類選考や面接といった試験もあり、合格した場合には、研修に参加することが求められます。

 さらに英語その他の言語スキルといった項目も含まれていました(語学については、あくまで持っているスキルを活かせますというスタンスですが……)。ボランティアですので、対価は支払われませんし、東京までの交通費や都内での宿泊も自腹となっています。

 ネット上ではこの要件を見て「条件キツすぎ」「まるでブラック企業」といった批判が数多く飛び交いました。本当に9万人を集められるのかという疑問の声も聞かれます。

 これはあくまで案であって確定したものではないのですが、2012年に開催されたロンドン五輪でも、似たような要件が課されていることを考えると、東京五輪のボランティア要件案だけが特別に過酷なわけではなさそうです。これだけ厳しい条件でも、ロンドン五輪では7万人の定員に対して24万人もの応募があり、1年かけて選考が行われました。

結局、企業に協力を呼びかけることに?

 もっとも英国と日本では事情が異なるとの指摘もあります。このところ働き方改革によって生産性の問題がクローズアップされていますが、日本と英国とでは生産性にかなりの開きがあります。

 つまり日本の場合、社会として同じ稼ぎを得るために必要な人数や労働時間が長く、社会に余裕がありません。ロンドン五輪開催時の英国の失業率は8%あり、現在でも4.4%と日本より高い数値です。社会にはまだまだ人が余っているわけです。

 一方、現在の日本は空前の低失業率となっており、ほぼすべての労働者を動員して経済を維持している状況です。労働者の実質賃金は上昇していませんから、仕事はあるものの、生活が苦しいという人が多いと考えられます。

 この環境で、一定以上のスキルを持った人を無償で10日間確保するというのは、確かにかなりハードルが高いでしょう。本来のボランティアとは趣旨が異なりますが、企業に協力を呼びかけるといった措置も必要となるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)