第99回全国高校野球選手権、西東京大会の準決勝、早実対八王子が28日、神宮球場で行われ、早実の清宮幸太郎が、高校通算最多タイ記録に並ぶ107号を放つなどして4−1で勝利、2年ぶりの決勝進出を果たした。清宮がメモリアルアーチを打ったのは、2−1で迎えた7回の第4打席だった。先頭打者として打席に向かう清宮に和泉監督は「しっかりチャンスを広げてくれ」と声をかけ、清宮も「ホームランではなくつなごう」という意識だった。

 初球はスライダーがボール。2球目はインサイドをえぐられ後ろに跳びはねるようにして避けた。そして、その次のボール。
「チェンジアップか何か、遅い球でずっと抑えられていたので、インコースの真っすぐか、外のチェンジアップかと思っていた。狙い通りに来た」
 八王子の背番号「1」米原のゆったりとしたフォームから投じるアウトコースの低めへと落とす115キロのチェンジアップを読んでいた。思い切りためて振り抜いた打球はライナーで左中間スタンドの最前列に飛び込んだ。昨年の夏は、八王子に準々決勝で敗れた。3点差で迎えた9回一死一、三塁で、この日、先発した米原と清宮は対決していた。結果は、ライトへの大きなフライ。あと5メートルが届かなかった。

「このチームは八王子のあの負けから始まっていると、新チームの最初のミーティングから言っていた。自分も、あの打席からこの1年は始まったというのがすごくある。あの打席を思いつつ、この1年、トレーニングとか練習をずっとやってきた。やり返してやるという思いは強かった」

 これで西東京大会5試合で4本塁打。そのうち2本が逆方向の左中間である。しかも、15打数立ってまだ三振がひとつもない。清宮に関して厳しい辛口評論を続けてきた球界の大御所、元巨人、元西武、ヤクルト監督の広岡達朗さんまでが成長を認めた。

「最終学年になって成長していると思う。スイングが明らかによくなっているね。速さもやわらかさもあり、下半身が使えるから、逆方向への打球に飛距離も出ている」

 そのスイングスピードを広岡氏は絶賛した。

 だが、辛口の指摘も変わりなかった。

「ただ、本塁打数に関しては評価に値しない。打っている投手のレベルがあまりに低い。東京では、特にドラフトにかかるような投手と、ほとんど対戦していないだろう。それと、これはずっと言っていることだが、足の遅い選手はプロで大成しない。走りこんでいる体つきじゃないだろう。もっと走るべき。そもそも、そういうポジションを守らせないと足は速くならない。プロへ進むのは大学で鍛えてからでいいでしょう」

 清宮は、この日、3回に先頭打者として四球で出塁、続く野村のセンター左への打球で、一塁から長躯、三塁を蹴ってホームインした。エンドランでスタートを切っていたといえど、2−1の勝ち越し点を奪う激走だった。走る意欲、意識は見せたが、“将来プロで大成するかどうか”の視点で見る広岡氏からすれば、まだまだ物足りないものなのだろう。

 春夏連続出場となる甲子園に王手をかけた。30日に神宮球場で行われる決勝の相手は、4年連続で決勝へ進出した東海大菅生。「決勝までになると、どのチームも強いと思うので自分たちの野球をやることだけをしっかりと心がけたい」
清宮は、そう決意を語った。