ロンドン世界選手権のマラソンは日本にとって厳しい結末が待っていた。男子はケニアとエチオピアの6名以外に、2時間8分未満のタイムを持つランナーは2名のみ。「入賞」のチャンスは十分にあったが、川内優輝(埼玉県庁)が9位(2時間12分19秒)、中本健太郎(安川電機)が10位(2時間12分41秒)と入賞には惜しくも届かない。前半積極的な走りを見せた井上大仁(MHPS)は26位(2時間16分54秒)だった。

 女子は清田真央(スズキ浜松AC)が先頭集団後方に食らいつくも、残り7kmでペースが上がると反応できない。清田は終盤に大きく遅れて16位(2時間30分36秒)。20km前後で集団から引き離された安藤友香(スズキ浜松AC)と重友梨佐(天満屋)は、17位(2時間31分31秒)と27位(2時間36分03秒)に終わった。男女そろっての「入賞なし」は、昨年のリオ五輪に続いて。世界選手権では1995年のイエテボリ大会以来、22年ぶりの“悪夢”になった。

3年後に東京五輪を迎えるなか、このまま世界との差は広がってしまうのか。それとも何か対応策はあるのか。レースを終えたばかりの男子3選手に世界で戦うために必要なことを聞いてみた。

 日本勢のなかで唯一、前半をトップ集団前方でレースを進めていたのが井上だ。
「自分の力がどこまで通用するのか。下位入賞を狙っても、今後メダルは狙えません。メダルをとるために、勝負すべきところで走りました」と果敢に攻め込んだ。井上のイメージでは30kmくらいまではつけるはずだったが、20km過ぎからのペースチェンジにまったく対応できなかった。

「限界まで頑張ろうと追いかけたんですけど、1kmほどしかつけませんでした。あのスピードに対応していくにはもっと記録を出していくしかない。2時間4〜5分台を出せるようにならないと戦えないと思います」と井上。2時間8分台の自己ベストでは勝負にならないことを痛感したようだ。

 井上がペースダウンした後、日本人トップを走っていたのが中本だ。中間点は16位だったが、「落ちてくる選手を拾っていけば、入賞ラインは見えてくるかなと思っていました」と、レース後半に持ち味を発揮。徐々に順位を上げて、39km過ぎには9位まで浮上した。しかし、「今回は入賞ラインが遠かったですね。自分の脚も止まってしまいました」と終盤に力つき、川内に逆転を許した。

 2011年テグ世界選手権(9位)、2012年ロンドン五輪(6位)、2013年モスクワ世界選手権(5位)に続き、今回が4回目の世界大会となった中本。20〜25kmの5kmが14分28秒までペースアップしたことに、「そこまで上がるのは想像していなかったですね。これが世界のレースなんだと体感しました」と驚いていた。

 日本人が世界大会で勝負していくためには、「スピード、勝負の経験、タフなレース運びなど、いろんなところが欠けています。世界をもっと意識していかないと、この差は詰まらないのかなと思います。5km14分30秒前後に上がったとき、余裕がないと勝負できない状況になっているんじゃないでしょうか」と答えた。井上と同様に、スピードへの対応が不可欠だと感じているようだった。

 今回の日本勢で最も健闘した川内はちょっと違うことを思っていた。