劇的な展開ながら、日本はロンドン世界陸上の男子4×100mリレーで銅メダルを獲得した。昨年のリオ五輪(2位)に続くメダルで、2020年の東京五輪では「金メダル」の期待が高まりつつある。果たして、その可能性はどれぐらいあるのか? 日本チームの現状と、今大会におけるライバル国の戦力を比較して、3年後の活躍を占ってみたい。

 陸上競技の世界は4年に一度のオリンピックをピークに、競技全体のレベルが上がる傾向がある。

 4×100mリレーも同様だ。ジャマイカが36秒84の世界記録を樹立したのはロンドン五輪で、日本も昨年のリオ五輪で37秒60の日本記録を刻んでいる。別な言い方をすると、ひとつの五輪が終わると、4年後に向けて新チームを徐々につくりあげていくかたちになることが多い。

 日本が世界大会で初めてメダルに到達したのは、2008年の北京五輪(塚原直貴、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治)だ。4年前のアテネ五輪メンバーと1〜3走が同じで、チームとして“完成系”を迎えたことが、快挙につながった。一方、2012年のロンドン五輪(山縣亮太、江里口匡史、高平慎士、飯塚翔太)では高平を除く3人が新メンバーで平均年齢が急降下した。そのとき若手だった山縣と飯塚が4年後のリオ五輪では中心選手となり、北京を超える、銀メダルをもたらした。

リオ五輪のメンバーは、1走・山縣亮太、2走・飯塚翔太、3走・桐生祥秀、4走・ケンブリッジ飛鳥。最年長は飯塚(現在26歳)で、4人全員が東京五輪を走ってもおかしくない年齢だ。

 さらに今回のロンドン世界選手権では21歳の多田修平がリレーメンバーに食い込み、リレー出場を断念した19歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)が200mで決勝に進出した。高校生にはインターハイ100mを2連覇した宮本大輔(洛南高)という逸材もいる。3年後をイメージすると、日本代表の戦力は史上最強になると考えていいだろう。

 もう少しデータ的な面を紹介すると、日本記録の37秒60を樹立して、銀メダルに輝いたリオ五輪時のリレーメンバー100mベストの合計タイムは40秒38だった。現在、トップで活躍する選手の自己ベストはというと、桐生10秒01、山縣10秒05、サニブラウン10秒05、多田とケンブリッジ10秒08で、上位4人の合計タイムは40秒19まで短縮。3年後は、合計タイムが平均10秒00となる40秒00に急接近していると筆者は予想している。ロンドン世界選手権では世界が注目する19歳の起用はなかったが、日本が導入している「アンダーハンドパス」をサニブラウンがマスターすることができれば、適材適所のオーダーを組むことができる。