ボクシングのダブル世界戦の会見が16日、東京都内のホテルで開かれ、12月30日に横浜文化体育館でWBO世界スーパーフライ級王者、井上尚弥(24、大橋)が同級7位、ヨアン・ボワイヨ(29、フランス)と7度目の防衛戦を、WBC世界ライトフライ級王者、拳四朗(25、BMB)が同級8位、ヒルベルト・ペドロサ(26、パナマ)と2度目の防衛戦を行うことが発表された。

 またアンダーカードには、東洋太平洋フェザー級王者、清水聡(31、大橋)対同級14位、エドワード・マンシト(25、フィリピン)の初防衛戦、井上尚弥の弟でWBC世界バンタム級9位の井上拓真(21、大橋)対元日本同級王者、益田健太郎(34、新日本木村)とのノンタイトル10回戦が組まれた。

 井上尚にとっては絶対に負けられないV7戦である。

 当初、予定していたIBF世界同級王者、ジェルウィン・アンカハス(24、フィリピン)との統一戦は、契約書を送る段階にまできて流れ、「ランキング上位から順に声をかけたが断られマッチメイクに苦労した」(大橋会長)末に、41勝(26KO)4敗1無効試合で、現在30連勝中のフランス人、ボワイヨに落ち着いた。「パンチがある右のボクサーファイター」(大橋会長)だが、フランス国内王者レベルで井上尚の敵ではない。

「ギリギリに決まったのでまだ映像も見ていないけれど、逃げられるという危険性もあるので、いろんなことを想定して作戦を練りたい。自分のスタイルを守り追い詰めていく。気持ちを抜かないで井上尚弥らしい試合を見せたい」
 井上尚の表情に気の緩みはなかった。

 実は、この試合には、重要な意味がある。
 来年、2月24日に米国で予定されている軽量級のビッグイベント「スーパーフライ2」に、中2か月ない強行軍で出場予定で、そこで、アンカハスとの幻の統一戦が実現しそうなのだ。

 アンカハスは、この18日に英国で同級4位の19戦無敗のジェイミー・コンラン(英)との防衛戦を行う方向で、IBF王者がベルトを守ることが大前提になるが、「アンカハスとはやりたい。体が仕上がっている状態での2か月なら問題はないかなと思う」と井上は熱望する。
 
 今年9月に米国ロスで行われた軽量級のイベント「スーパーフライ」では、同級7位のアントニオ・ニエベス(アメリカ)を圧倒、6回終了時に棄権させ、全米に衝撃を与えた。プロモーターからすれば、井上尚抜きでは、「スーパーフライ2」の興行は成り立たなくなっているのが実情だ。

 前回は顔見せ的なマッチメイクだったが、次の予定は統一戦。父で専属トレーナーの真吾さんも「常に意識して練習をしている」という現最大のライバルである。

 おそらくプロモーターサイドは、ロマゴンを電撃KOで葬ったWBC世界同級王者のシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)対とファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)のタイトル戦の勝者と、井上尚対アンハカスの勝者との3団体統一戦を「スーパーフライ3」として考えているのだろうが、減量が楽でない井上尚は、これを最後にバンタム級転向を考えている。

「アンカハスとの統一が実現すれば、これを最後に階級を上げたい」

 しかも、バンタム級に転向した後も夢プランは続く。

「バンタムの後は、すぐにスーパーバンタムへ進ませたい。スパーを見る限りフェザーでも出来ると思っている」と、大橋会長は、日本人として前人未踏となる5階級制覇のプランを練っているのである。

 父の真吾トレーナーも言う。

「もう正直、教えることがなくなっている。練習での課題をそのままリングで出すことができている。完成形に近い。気持ちの面と細かい微調整だけ。今回怖いのは油断。そこだけですね」

 究極のチャンピオンへ。井上尚の挑戦は2017年の年末から始まることになる。