稀代のポップマエストロとしてさまざまなフィールドを縦横無尽に行き来するビッケブランカ、シンガー・ソングライターという枠組みを飛び出し、俳優業にも挑戦するマルチな才能を発揮している岡崎体育という非凡な2人が手を組み、令和を代表する友情ソング「化かしHOUR NIGHT」が完成。前編では、二人の出会いから、楽曲制作にいたるまでをインタビュー。
■男性ソロアーティスト同士ということでライバル視してたというか、ちょっとバチバチもしてて

――まずはじめに、お二人の出会いから教えてください。

岡崎:もともとで言うと、5年ぐらい前に東京・渋谷でサーキットイベントがあって、そこで同じステージかつ出番が前後だったんです。ただ、そのときは男性ソロアーティスト同士ということでライバル視してたというか、ちょっとバチバチもしてて。あいさつとしても会釈ぐらい。お互いに踏み込むこともなかったんですよ。

――その後、一緒にオンラインゲームをする仲になったのはどういう流れがあったんですか?

岡崎:僕が京都でやってるラジオ番組のディレクターさんがいるんですけど、その方が新作のキャンペーンに来たビッケさんからフォートナイトというゲームをやってると聞いて、「体育さんもやってるんですよ」とつないでくれたんです。そこから実際に音楽の現場で会うことはなかったんですけど、オンライン上で一緒にゲームをするようになって。それが2年か3年前。

――交流する前はお互いにどんなイメージを持っていましたか?

ビッケブランカ:サーキットイベントで一緒になったときは、お互いにそうなんでしょうけど、変な名前だなと感じてて(笑)。その後、体育さんの「MUSIC VIDEO」のMVがヒットしたとき、「この曲って歌う意味ないよね」って誰かに言った記憶があります。

――完全なるディスりじゃないですか(笑)。

岡崎:だから、最初からお互いにめちゃくちゃいい印象だったわけじゃないんですよね。僕もサーキットイベントで(ビッケブランカを)観たとき、水平さんの帽子をかぶってたから「あぁ、コンセプティブな人やな〜」って感じてたし。とは言え、同じ男性ソロアーティストやから気にはなるわけで。うちのオカンがビッケさんのことを「すっごいアーティストがいるよ」って言うてたり、新曲がラジオから流れてきたりすると「結構いいやん」と感じて。そこから徐々に凄く音楽が好きで真摯に向き合ってる人なんやなと考えるようになりましたね。
ビッケ:それこそ、僕も初めて体育さんのライブを観たときは、映像を使ってふざけたこともしてたから、「お笑いの劇場でやればいいのに」ぐらいのことを思ってて。でも、バラードの「エクレア」を初めて聴いたときに「この人は分かってやってるな」と。ただおちゃらけてる調子乗りじゃなくて、音楽的なことを分かりつつ、あえて変化球を投げてる。そこは自分と通ずるものがあるし、印象が良くなっていったんです。

■ビッケさんって、いまだに敬語なんですよ、僕に対して

――お互いの印象が良くなってから改めて接すると、距離も一気に縮まりますよね。

ビッケ:でも、最初に比べたらマシかもしれないんですけど、根っこの根っこをたどると、お互いに友達をめっちゃ作りたくもないし、作るのが上手くもないってい性格だから、いきなりウェーイってなれたわけでもなくて。オンライン上で適度な距離感を保つ時期もあったり。
岡崎:ビッケさんって、いまだに敬語なんですよ、僕に対して。

――新作に収録されているオーディオコメンタリーでも敬語混じりでお話されてましたよね。アーティスト同士って、仲良くなると年齢差をあんまり気にしない場合も多いじゃないですか。

岡崎:僕は(ビッケブランカより)デビューも遅いし、年齢も2つ下なんで敬語でいいと思ってるんですけど、ビッケさんがずっと敬語を外してくれないから「何なんだろうな?」とは思いますよね。
ビッケ:ハハハハ(笑)。でも、オレは昔からそうなんですけど、タメ口が苦手で。ちょっと話は変わりますけど、女の人に対しても、どれだけ仲良くなっても○○さんとしか言えない。呼び捨てができないんです。そういう感じなんで体育さんって言っちゃうんですけど、最近はちょっとずつそうじゃないことも出てきて。w-indsの(橘)慶太さんも一緒にオンラインでゲームをしてるんですけど、そのときに体育さんのことを「岡ちゃん、パス出さなきゃ!」とか言ってるのを聞いて、見様見真似でそう呼んだりもしてます(笑)。

――そういった距離感の中で、一緒に曲を制作するところに行き着いたのは?

ビッケ:しゃべり方は適度な距離感がありますけど、僕は岡崎体育のことを本物だと思ってるんですよ。音楽をやるべき才能を持ってると認めてるし、心のつながりは浅くないというか。そこまで含めると、一緒に曲を作るのはおかしなことでもない気がしてて。

――具体的なキッカケは何かあったんですか?

ビッケ:オレが新作のリリースを考えてたとき、「カップリング曲で何かやりましょうよ!」と声をかけたら、「いいよ」と言ってくれて。2人の間でそう話したのがキッカケでしたね。
岡崎:だから、最初はフィーチャリングで、ワンコーラスだったり、サビでちょっと重ねるぐらいのニュアンスやと思ってたんです。でも、話していくうちに「どうせやるんだったら、2人の連名にして、バッと出した方がいいんじゃないか?」という話が出てきて。僕自身もそっちの方がいいなと思うようになりましたね。

――岡崎さんはたくさんのコラボをされてますけど、客演が多いですよね。

岡崎:そうですね。今までだとMONKEY MAJIKさんや慶太さんもそうでしたけど、向こうに乗っかってワンフレーズを歌わせてもらうようなことが多くて。今回は、ビッケさんとは曲に対する考え方や作ってるときのマインドが結構似てるなと思ってたし、2人で作ったらどんな曲ができるのか、単純に興味もあったんです。そういう気持ちが強い結果、共作という形になりましたね。

■「ビッケブランカにしか書けない、特徴的な曲を差し上げます」って返してるんです

――また、お二人ともドラマやCMへの書き下ろしも数多く手掛けています。そういったものとは違う感覚も生まれたり?
岡崎:全然違いますね。例えばドラマのタイアップやったら、その雰囲気や意図を汲んだものになるわけですけど、今回はお互いに作りたいものをただ作っただけっていう。そこが大きいです。言うたら、遊びの延長に近いかも。
ビッケ あぁ、そうだね。
岡崎:2人で好きなものを作って、「いいのができたね。リリースもしようよ」ぐらいの気持ちというか。

――連名の作品というところでプレッシャーがあったりは?

ビッケ:全然なかったですね。 岡崎:同世代で同じ形式のソロアーティストとしてやってるんで、僕もそれはあんまりなくて。もし、(相手が)僕よりも10歳、20歳上やったら緊張してるとは思うんですけど。それに普段も一緒に遊んでる仲ですから、楽しくできましたよ。

――少し余談にはなりますが、ビッケさんはHey! Say! JUMP、岡崎さんは関ジャニ∞というジャニーズのグループにも楽曲提供されてますよね。注目度も桁違いでしょうし、特に考えるようなことはあったりされますか?

ビッケ:実はそんな話を2人でしたばっかりなんですけど、特別どこかに合わせようとは考えてなくて。例えば、「ビッケさんの良さを出して、ライブで盛り上がる曲を書いて欲しいです」みたくフワッと投げてもらえたら、「ビッケブランカにしか書けない、特徴的な曲を差し上げます」って返してるんです。そうすれば、後は自由に作るだけというか、振り切ってやればいいだけだし。
岡崎:それはホントにその通りだと。もし、ガチガチのアイドルソングを求めてるのだとしたら、それは職業作家にオファーするわけだし。僕らみたいな表の演者に頼む場合、そうではなくて、僕らみたいな曲が欲しいんですよね。だから、アイドルっぽい曲を書こうとするのは完全なる間違い。ビッケさんやったらビッケ節、僕やったら岡崎節を向こうは望んでるんで、気負うことはそんなにないですね。

――新曲に話を戻しますが、今回はクレジットとしては作曲がビッケブランカ、作詞がビッケブランカ/岡崎体育、編曲がビッケブランカという形になっています。

座組としてはさまざまな選択肢があったと思いますが、そのあたりについては?
ビッケ:クレジットはこうなってるんですけど、ぶっちゃけ作曲に関しても体育さんは関わってて。自分のパートをお互いに作ってるみたいな感じなんですよね。 岡崎 全体で言うと、曲の構成や雰囲気はビッケさんが作ってくれて、その隙間というか、僕が歌うところのメロディーや歌詞を自分で考えたっていう。形式としてはスタンダードな感じになったのかな。