童貞のまま30歳を迎え、「触れた人の心が読める」魔法を手に入れた主人公・安達清(赤楚衛二)と、そんな安達のことを一途に想い続ける黒沢優一(町田啓太)のピュアな恋愛模様を描くドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(テレビ東京系ほか)。そこで安達と黒沢の後輩・六角祐太役を演じているのが草川拓弥(超特急)だ。キュートなルックスと、いい意味で空気を読まないイマドキな青年を好演する彼に、六角を演じるにあたってのこだわりや撮影現場でのエピソードを語ってもらった。

■六角は今まで演じてきたキャラクターより人間味に溢れてると思います

――最近はイマドキな若者役を演じることの多い草川さんですが、今作への出演が決まったときの印象を教えてください。

草川:出演が決まって台本と原作を読んだとき、自分でもこういうテイストのキャラクターが多いなかぁと思いました。「家売るオンナの逆襲」(2019年/日本テレビ系)での鍵村とか、「美食探偵 明智五郎」(2020年/日本テレビ系)の六郎とか。でも、それはこの世代でそういうキャラクターを演じられるのは僕だって思ってもらえていることでもあるのかなって。そういう意味でも、出演が決まったときはうれしかったです。

――公式サイトに掲載されているコメントでは、その中でも「(過去の作品とは)違った奥深さや、十人十色の新しい世界観をお届けできると思います」と語っていましたが、実際に演じてみて感じたこれまでの役柄との違いは何でしたか?

草川:六角は今まで演じてきたキャラクターと比べて、割と人間味に溢れている気がします。ただ、原作に描かれている六角のキャラクター像を、限られた登場シーンから汲み取っていかなきゃいけない部分があって…。でも、逆に限られた中から見いだす分、自由度が高いとも言えて。僕個人の気持ちとしては、同じ若手社員でも鍵村のようなダメダメ社員というよりは、昔はヤンチャだったけど、今は黒沢のような憧れの先輩がいて、仕事も楽しくやっていてという、誠実なキャラクターにしたいなと思いました。

――漫画が原作ということで、ビジュアル的にこだわったところもありますか?

草川:そうですね。原作では六角の髪型がマッシュルームカットで、それは問題なかったんですけど、僕、この撮影に入る前は髪の色がオレンジだったんです。さすがにそのままだとダメだねってなって(笑)、初日に備えて黒く染めたのですが、ブリーチした髪だからどんどん色が抜けていっちゃうんですよね。なので、途中で2回くらい黒に染め直ししながら撮影に臨んでました(笑)。細かい部分だと、例えばバッグの持ち方とか。原作に1コマだけ出てきた六角が仕事用のバッグを持つカットを再現したり、他にも自分なりに考えていろいろやっているので、見ている方に気付いてもらえたらうれしいです。

■初めて“現場ロス”になりました

――監督の一人、風間太樹さんは映画「チア男子!!」(2019年)などで知られていますが、草川さんと同じ20代の若手監督とのお仕事はいかがでしたか?

草川:やっぱり年齢的に近いこともあってか、親しみやすいというか、監督が親身に寄り添ってくださいました。本番前とか、みんなが楽屋で待機しているところにわざわざ来て、このシーンはこうしたいんだけどどう思う?って、一緒に話し合う時間を設けてくれたりして。しっかり伝えてくれるので、自分が用意してきたものが監督の意見と違ったとしても、最終的に納得して挑めたのが自分的にもよかったなと思いました。

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

草川:現場は本当にもう、幸せオーラ全開で(笑)。僕は人見知りで、初めての現場に入るときは、ちょっと気が張るんですけど、赤楚くんや町田くんをはじめとするキャストのみなさんが気さくに話し掛けてくださったので、すぐに打ち解けられました。撮影中も「楽しい現場だね」ってみんなで言い合うくらい、本当にいい雰囲気でした。

――待ち時間や楽屋でもいろいろ話したりしてたんですか?

草川:場所の都合もあって、今回の楽屋は全員一緒だったんです。だから、必然的にみんな集まるし、そうなるとやっぱり話すし。もちろん、ちゃんとソーシャルディスタンスは保ちつつですけど。でも、みんなと同じ空間で過ごせたのは、作品にもすごくいい影響があったと思います。

――自分が出演するシーンについての話もしたりしましたか?

草川:特に赤楚くんと町田くんと僕の3人のシーン、それこそ6話(11月12日放送)で出てくるタコパのシーンとかはいろいろ話し合いをしました。それで台詞の順番が若干変わったりもしているんです。最初に3人で考えて、それを監督に伝えみようって言ってOKをもらえたから変えたみたいな。

――みんなで一丸となって作っているような現場だったんですね。

草川:本当にそうでした。僕、初めて“現場ロス”になりましたもん。マネージャーさんにもアツいメッセージを送ったりして。

――草川さんにもそんなアツい一面が(笑)。

草川:そういう面に関しては、自分で言うのもなんですけど素直なんです(笑)。でも、本当に楽しい現場だったので。赤楚くんとも「寂しいね」とか「終わるのがイヤだね」とか言い合っていました。赤楚くんも結構寂しがり屋らしく、1人で家にいられないと言っていて(笑)。僕も、約1カ月の撮影期間がこんなにあっという間に感じたのは初めてでした。

――撮影で特に印象に残っているシーンやエピソードはありますか?

草川:たくさんあるんですけど、一番は自分のクランクアップのシーン……って、これは書けないか(笑)。でも、そこは自分でもすごく好きなシーンなので、最終話でぜひ見てもらいたいです。書けるところで言うと、六角のシーンではないんですけど、2話で安達が黒沢の家に行ったシーン。安達が黒沢から借りたマフラーを「洗って返すね」って言ったときに、黒沢が「いいよ!」の後に心の声で「もったいない!」って言うところのタイミングと、台詞のスピードと、全てが完璧過ぎて本当に面白かった(笑)。ここは完パケの映像を見た後、オンエアでも見たんですけど、何度見てもやっぱり面白かったです(笑)。

■黒沢の切なさはドラマの中でもナンバー1だと思います

――安達、町田、六角、柘植、湊の中で、草川さんが一番共感を覚えたり、自分に近いなと思うのは誰ですか?

草川:ん〜……やっぱり六角なような気がします。あ、いや、違うのかな。六角の仲間を大事にするところはすごく共感できますけど、お調子者なところや、元気な感じっていうのは持ってないので(苦笑)。そこは逆にいいなぁって思う部分でもあります。それから、共感とか自分に近いとかとは違いますが、黒沢の一途さは切ないですね。安達のことを一番に想っていて、自分のためじゃなく好きな安達のために行動するっていう。黒沢の切なさはドラマの中でもナンバー1だと思います。

――六角の台詞に「安達さん、めっちゃキクバリストですね」と言うシーンがあります。草川さんが身近でキクバリストだなと思う人は?

草川:ドラマの現場だと、町田くんには本当にお世話になりました。シーンを作っていくときには「大丈夫? やりづらくない?」って聞いてくださったり、休憩時間にも「コンビニ行くけど何かいる?」と声を掛けてくださったりして。頼れるお兄ちゃんであり、キクバリストだなって思いました。

――ところで、安達は心の声が聞こえる魔法を手に入れますが……。

草川:僕だったらどんな魔法が欲しいか、ですか? たくさん聞かれそうな質問(笑)。

――確かに(苦笑)。では、心の声が聞こえる魔法があったら欲しいですか?

草川:絶対いらない!

――即答ですね(笑)。

草川:たまに聞けたらいいなと思う場面もあるんですけど、大抵のことは聞かない方がいいと思うから。もし私生活で心の声が聞こえてしまったら、ドラマ序盤の安達みたいにそれを頼りにしちゃうし、きっと人生が楽しくなくなる気がします。この人何考えてるのかな?って考えるのが好きなので。それが触っただけで簡単に分かっちゃうのはつまらないなって僕自身は思います。

――たまにあるという、聞けたらいいなと思うのはどういうときですか?

草川:え〜、何だろう。何かをやらかしちゃったときとか? 例えば、仕事に遅刻しちゃったときに「全然大丈夫だよ」って言ってくれてる人に、パッて触るとか(笑)。

――それはむしろ知りたくないような(苦笑)。

草川:相当恐ろしいかも(笑)。だから、大抵のことは知らない方がいいんです(笑)。
■きちんと「ありがとう」と言える人間でありたいです

――今作にはいろいろなメッセージが含まれていると思うのですが、草川さんが視聴者に感じてほしいメッセージは何だと思いますか?

草川:僕は、このドラマはただただキュンキュンするドラマじゃないと思っていて。それぞれが真っすぐというか、誰もひん曲がってない(笑)。現実では状況によって人との関わり方が変わっていっちゃうのは必然のことなんですけど、それでもこのドラマの登場人物たちのように、僕自身も相手に伝えたいことを言い合えるような関係を築き上げていきたいなと思いますし。それから、自分のためじゃなく誰かのために何かをしてあげるっていう、思いやりの気持ちが伝わってくれたらうれしいかな。簡単にできることじゃないけど、それがその人との関係値になってくると思うので、やって損はないと思います。

――人との関係性の中で、草川さんが普段から心掛けていることはどんなことですか? 劇中では、登場人物のみんなが「ありがとう」と相手に伝えるシーンが印象的ですが。

草川:僕も「ありがとう」は直接、面と向かって言いたいなって思います。直接言うのが無理なときは、せめて電話で。メールとかで伝えるのは……なしではないんですけど、やっぱりちゃんと自分の口から伝えたい。それは友達とかだけじゃなく、コンビニの店員さんだったり、タクシーの運転手さんだったり、日々の生活で関わるいろんな人たちに対して、そう思います。どんなこともやってもらって当たり前じゃないから、きちんと「ありがとうございます」と言える人間でありたいです。

――では最後に、今夜放送の第6話の見どころを教えてください。

草川:やっぱり安達と町田と六角、3人のタコパのシーンです。3人の仲の良さを感じ取ってもらえたら。僕個人のことで言えば、六角のいびき。いびきを自分で意識して出すのってなかなかないから、ちょっと苦戦したんです(苦笑)。なので、そこにも注目してもらえたらと思います。