上野樹里が主演を務める「監察医 朝顔」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)は、香川まさひとの同名漫画を原作に、大きくアレンジを加えて映像化されたヒューマンドラマ。2020年11月にスタートした同作は、“月9”ドラマとして初めての2クール連続放送となり、1月18日(月)の第10話から後半戦へと突入する。

上野演じる主人公の万木朝顔(まき・あさがお)は、神奈川県にある興雲(こううん)大学の法医学教室に勤める法医学者。そして、朝顔の父親・万木平(時任三郎)は神奈川県の野毛山署の強行犯係に勤めるベテラン刑事。

“法医学者”と“刑事”がタッグを組み、さまざまな事件の謎を解明していく物語だが、後半戦をより楽しむためにこれまでを振り返ってみようと思う。

■作品の根底にある“命の大切さ”と“家族の絆”

今回放送されているのは第2シリーズ。第1シリーズは2019年7月から9月にかけて同じ月9枠で放送された。母親の里子(石田ひかり)が東日本大震災で行方不明となり、父親・平と二人暮らしをしていた朝顔。

平と同じ野毛山署強行犯係の刑事・桑原真也(風間俊介)と交際し、結婚。そして娘のつぐみ(加藤柚凪)が生まれて、4人での生活を送るようになっていた。

自由に世界を飛び回る主任教授・夏目茶子(山口智子)、繊細で丁寧な仕事ぶりの法医学者・藤堂雅史(板尾創路)、歯から身元特定が得意な法歯学者で藤堂の妻でもある藤堂絵美(平岩紙)、虫に詳しい法医学研究員・安岡光子(志田未来)、博学で明るいムードメーカー的存在の検査技師・高橋涼介(中尾明慶)といった法医学教室の同僚たちも引き続き第2シリーズに登場している。

どのように事件を解決していくのかというのも、このドラマの楽しみ方の一つだが、“命の大切さ”と“家族の絆”も作品の根底にある大きなテーマとなっている。

第1シリーズは二人暮らしで始まったが、第2シリーズは朝顔、平、桑原、つぐみの4人暮らしでスタート。
第1話からつぐみが「弟が欲しい」と言って一瞬気まずい雰囲気になったりしたが、穏やかな暮らしぶりが感じられる場面が多く見られた。

そんな中、序盤に大きな動きがあった。一つは、信用金庫に勤めていた桑原の姉・忍(ともさかりえ)が38歳にして小さい頃からの夢だった“刑事”になったこと。平や桑原と同じ野毛山署に配属され、いろんな意味でにぎやかさが増した。

そしてもう一つは母親・里子のこと。時間があれば、平は里子の遺体を探しに東北・仙の浦へ足を運んでいたが、仙の浦に住む祖父・嶋田浩之(柄本明)が里子のものと思われる“歯”を仏壇に隠し持っていたことが発覚。

見つけた朝顔に「自分が死ぬまで調べないでほしい」と頼むが、のちに「やっぱり調べてほしい」と考えを改めた。
母親が行方不明となったことが朝顔にとっても深いトラウマとなっているので、この歯が里子のものなのかどうかが、今後のストーリー展開にも影響を与えそうだ。

平穏な4人暮らしにも変化が訪れた。第5話で桑原が銃を発砲するという事件が発生。助けを求めてきた女性を、その女性の元カレが警官から奪った銃で撃とうとした瞬間、桑原が犯人の足に発砲。しかし、女性は倒れてしまい、頭部には銃で撃たれた痕…。

犯人の姿が監視カメラの死角となっていて映っておらず、桑原が容疑をかけられるという窮地に追いやられるが、朝顔たち法医学チームと平たち強行犯チームが懸命に真相を究明し、嫌疑を晴らした。

ただ、このまま何もお咎めなしというわけにはいかず、桑原は長野に転属し交番勤務へと逆戻り。上層部から自主降格を勧められ、その理不尽さに悩むが、銃を奪われた警官が亡くなったことを知り、その警官に対する上の人たちの態度に「命を軽く見ないでもらいたい!」と啖呵を切り、突っぱねた場面はとても印象的だった。

平は里子を探すため前々から東北に引っ越すことを考えていたが、決断して辞職願いを出し、入院中の祖父・浩之の家で新たな生活を始めた。桑原が長野に単身赴任、平も東北に移住し、朝顔はつぐみとの二人暮らしとなった。第2シリーズ序盤の頃の4人で暮らしていた雰囲気を知っているだけに、視聴者もどこか寂しさを感じているのではないだろうか。

■法医学教室に“新しい風”、そして…

法医学教室にも変化が訪れた。雑誌の読者モデルとして人気の女子大生の連続刺殺事件が発生し、犯行を疑われていた交際相手の男性が自殺。法医学教室でアルバイトをしている牛島翔真(望月歩)が遺体の写真を撮り、その友人たちがSNSにアップするとたちまち拡散されていった。

「そんなに悪いことしましたか? みんなが知りたいことを伝えただけ」と開き直る牛島に、朝顔は「その男性は犯人ではないと思う」と再解剖の結果を踏まえて伝え、法医学者は憶測や情に流されてはいけないと諭した。涙を流しながら「私たちは死と向き合うからこそ、生きることの尊さを深く知っていなければいけない」と。

そのやりとりを聞いていた主任教授の夏目はあることを決断した。「失敗を悔いるのであれば、失敗から学んで、死者から託された命を生きてください。未来を自分の手で変えていってください」と、牛島に今後も法医の道に進むよう勧め、「私、辞任いたします。新たな冒険の旅に出ます」と、自分で決めた“さよなら”の気持ちを法医チーム全員に直接伝えた。

これからの後半戦、法医学教室に夏目はいなくなってしまうが、朝顔を中心により結束力の高まったチームで難事件の真相を究明してくれそうだ。

第9話で気になったことがもう一つ。それは電話で朝顔と話していた平が切る間際に「じゃあな、里子。朝顔によろしく」と言ったこと。つぐみと散歩に出掛けていた時に道を忘れて間違えたシーンもあったことから、平に“異変”が感じられた。朝顔たちと離れて暮らし始めた状況なので非常に気掛かりだ。

私生活でも仕事場でも朝顔の周りにさまざまな変化が訪れた前半。いろんな変化や出来事を経験したからこそ、物語のテーマである“命の大切さ”と“家族の絆”をより実感することができたのではないだろうか。

さて、18日から始まる後半戦。第10話は、ビルの屋上から転落した清掃員の遺体が運ばれてくるが、単なる転落事故ではなく、自ら安全ベルトを外したという目撃情報があり、自殺の可能性も。朝顔のサポートで安岡が執刀を担当するが、解剖の結果、遺体の男性にはある秘められた謎があることが分かった。

他に、興雲大学の構内で移動販売をしているパン屋「ホワイトベーカリー」のアルバイト・北村愛菜(矢作穂香)が新キャラとして登場する。

検査技師の高橋が思いを寄せるが、愛菜も少なからず好意を持っている様子。どのようにストーリーに絡んでくるのか、後半戦のキーパーソンの一人として注目してもらいたい。

また、後半戦へ向けて「監察医 朝顔」の金城綾香プロデューサーよりコメントが届いた。

■金城綾香プロデューサーコメント

第1シーズンで、岩手の地を訪れることができるようになった朝顔が、父の平、夫の桑原、娘のつぐみと共に健やかに生活しながら、さまざまなご遺体に向き合う姿を前半では描きました。
母の死を乗り越えた朝顔だからこそ、法医として成長した言葉をご遺族に伝えることができるようになりました。

今、平は東北へ移住し、桑原は長野へ異動(交換教養として)してしまいました。つぐみと2人きりで生活することになった朝顔に、法医として、母としてさまざまな事件が降りかかります。

苦しくなるような事件でも、朝顔は前向きに丁寧に一つ一つの事象と向き合っていく姿勢は変わりません。どうか、朝顔を応援するような気持ちで2021年もご覧いただけますと幸いです。

朝顔たち万木家は、どんなことがあってもお互いを思いやり、温かい愛情に包まれています。ぜひ見守ってください。


◆文=田中隆信