モーニング娘。や松浦亜弥らアイドルを輩出した“ハロー!プロジェクト”(通称・ハロプロ)に魅せられた仲間たちの青春を描く映画「あの頃。」。原作となるのは、劒樹人のコミックエッセイだ。

同じ趣味を持つ仲間たちと出会い、遅れてきた青春を謳歌(おうか)しながら、次第にそれぞれの人生の中でハロプロと同じくらい大切なものを見つけていく。そんな誰もが持っている青春の“あの頃”を描いた本作。偶然耳にした松浦の音楽から一気にハロプロに青春を捧げる“ハロヲタ”になった劔樹人を演じた松坂桃李ほか、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウらが出演している。
今回は、松坂に作品の魅力、自身の“あの頃”、意外な松浦亜弥との関係について語ってもらった。

――作品の話を聞いた最初の感想を教えてください。

運命のようなものを感じました。というのも、実は僕が中学1年生のときに同じ学校の中学3年生に松浦さんがいたんですよ。最初、「“あやや”(松浦亜弥の愛称)のことを大好きな男の役です」としか聞かなかったのですが、「やります!」と二つ返事で出演させていただきました。その後に、劔さんの「あの頃。男子かしまし物語」が原作と聞き、原作者ご本人である劔さんを演じると分かってプレッシャーも感じましたが(笑)。

――誰もが持っている青春の“あの頃”の愛おしさが描かれた作品ですね。

今思うとあの頃はなんだったんだろう?と思うような時代って誰にでもあると思います。
再現しようと思っても絶対できない過去がある。責任を負わないからこそできる時間で…。当人にとっては貴重だけど、なんかすごく独特な時間(笑)。
あの頃が一番良かったかといえばそうではないけど、そういう経験があるからこそ今の自分がいるんだと思います。

――松坂さんにとっての“あの頃”はいつですか?

中学時代。スターが学校にいるというフワフワした状態だったり、部活を必死にやったりと青春の色んな感情があの頃に詰まっています。変えがたい時間です。
ただ今思うと、部活もキツかったしテストも大変だったしと楽しいことばかりではなかったんですよ。でもそれを含めて“あの頃”しかない楽しさがある。いい思い出です。



■握手会のシーンはリアルに劔のような気持ちに

――“推し”がいることについてはどのように思いますか?

没入できるものがある人は、自分の世界をきちんと作れる、居心地のいい空間を自分の中で持てる人というイメージです。推しがあることによって色んな景色を見せてもらえることも魅力ですよね。僕自身は中学生の頃、CDショップの試聴で「天体観測」を聞いてからBUMP OF CHICKEN(通称・バンプ)の大ファンで、バンプさんのおかげで楽しかった事はたくさんありますから。
人生、どこで誰を好きになるか分からないですが、推しは絶対あった方が楽しいと思います。

――本作で描かれた、オタクならではの感情の起伏には共感できたんですね。

劔が“あやや”の曲を聴いてすぐに自転車でCDショップに買いに行くシーンがあるんですが、好きになったらいても立ってもいられないあの感じ、すごく分かります。
あと劔が“あやや”の握手会に当たって握手してもらうシーンのドキドキは分かるなんてもんじゃないです。僕なんてバンプさんのライブとか全然当たらなかったので、本当にうらやましいですよ。

――今回、松浦亜弥はハロプロ所属のBEYOOOOONDの山崎夢羽さんが演じていましたが、その完成度もすごかったですね。

驚きました。あやや役って誰がやるんだろう?と気になっていたのですが、実際にお会いしてみると本当にそっくりで。山崎さんもかなり研究されたらしく、あのシャキシャキした話し方や笑顔など、僕が中学生の時に見ていた松浦亜弥さんとすごく重なりました。
握手会のシーンはリアルに劔のような気持ちになり、緊張しましたね(笑)。

――松浦亜弥さんを含め、ハロプロの曲をたくさん聞かれたと思いますが、改めてハロプロの魅力は何だと思われますか?

曲自体に強さがあってすごく元気をもらえるんですよ。
今回、改めて松浦さんの曲などを聴き直しましたが、つんく♂さんって本当にいい曲を書くと今更ながら気づきました。そして松浦さんの歌の上手さに驚きました。アイドル性はもちろんですが、アーティストとしても圧倒的。時代を築きあげたアイドルのすごさを感じました。
あと、モーニング娘。’19のライブに行かせていただいたんですが、当時のモーニング娘。から輝きが全く失われておらず、良さが脈々と受け継がれていることはすごいと思いました。皆さんの努力もあると思うのですが圧倒的ですよ。そして実際に会場に行って思ったのは、ファンも魅力的だなと。ハロプロと共に年齢を重ねただろう40代とかの根強いファンと新規だと思われる若い方々が入り交じっていて。多くの人を魅了していく素敵なグループだと改めて感じました。

――当時のことを知っている人はもちろんのこと、まだ若い人も楽しめる作品になっていますね。

改めて自分の“あの頃”について考えるきっかけをくれる作品になっていると思います。劔をはじめとした仲間たちを見て、あんな仲間がいることをうらやましいと思ってくれたらうれしいです。