「第106回 ザテレビジョン ドラマアカデミー賞」(2020年10〜12月放送のドラマが対象)で最優秀作品賞を受賞したのは、木ドラ25「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(テレビ東京系ほか)。人気BLコミックを赤楚衛二と町田啓太の共演でドラマ化した本作は、ノミネート全部門で読者票1位となるなど熱烈な支持を得た。そんな同作を手掛けた本間かなみプロデューサーに、作品が生まれた経緯や赤楚&町田への思い、現場での様子など作品の裏側を語ってもらった。

■人間関係の機微や心情にフォーカスして描ける作品がやりたかった
――弊社のドラマアカデミー賞にて、TV記者と読者からの圧倒的な支持を集め、「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」が最優秀作品賞に選出されました。受賞のお気持ちをお聞かせください。

主演として作品を背負ってくださった赤楚(衛二)さんを始めとするキャストの皆さん、集まってくださったスタッフの皆さんが心を尽くして、あらゆる面で支えてくださいました。この賞は、そんな皆さんに頂けた賞だと思うので本当にうれしいです。みんなに、「ありがとう」と「おめでとう」を伝えたいです。

――本作はどのようなきっかけから誕生したのでしょうか? 原作は元々SNS発の人気作でしたが、男性同士の恋愛ものを探していたのか、それともあらゆる漫画原作の候補の一つだったのでしょうか。

人間関係の機微や心情にフォーカスして描ける作品がやりたいと思っていた中で、豊田(悠)先生の「チェリまほ」に出会いました。同性同士の惹かれ合いが繊細に描かれている様、心の声を通して人との繋がりや誰かを思うこと、人の多面性が切実に描かれている所に惹かれて企画させていただきました。

■「安達を生きます」の言葉に励まされた
――主演の赤楚衛二さんは第2位(読者票では1位)、助演の町田啓太さんは最優秀助演男優賞を獲得するなど、人気の高さが伺えました。赤楚さん、町田さんそれぞれに改めて伝えたいことはありますか?

まずは、お二人ともおめでとうございます。お二人のお芝居を見ていると、「役に息を吹き込むってこういうことなんだな」と感じていました。そんな素晴らしいお芝居に伝えきれないほど感謝していますが、赤楚さんは撮影の時に「安達を生きます」とおっしゃってくれて、心強い言葉にこっちが励まされました。そんな赤楚さんの作品と向き合う姿がスタッフにとっても刺激になって、現場を一丸にしてくださったのだと思います。とても素敵な座長でした。本当にありがとうございました!

町田さんには、たくさんのアイディアとユーモアにとても助けていただきました。黒沢の愛らしさは、町田さんの何気ない所作や、ユーモアのあるセンスが生んでくださったものだと思います。原作・脚本からすくい上げるものの広さに驚きながら、毎シーンお芝居を見るのが楽しみでした。本当にありがとうございました!

――赤楚さん、町田さんのシーンで、それぞれ印象的だったことを教えてください。

赤楚さんは、第2話で黒沢宅へお邪魔する前のシーンです。自分のほっぺを両手で叩くんですが、あれは赤楚さんのアドリブで。それまでも、赤楚さんならではの安達らしさは随所で感じていましたが、びっくりするくらい可愛らしくて印象的でした。しかもそのあとに、第11話での立ち去った安達のお芝居を撮ってるんです。瞳や佇まいの変化に、赤楚さんのお芝居のポテンシャルを感じた日でした。

町田さんも第2話で、ラストでエレベーターを待っている横顔です。ト書きには「どこか悲しげ」としか書かれていないんですが、「この人は自分の気持ちを、今までこうやって折り畳んできたんだな」という、黒沢の人間性や背景を深く感じられる表情でハッとさせられました。第1話でほくろに興奮していたお芝居を思い返すと、振り幅がすごいですよね。

――本作はYouTubeやTwitterで各国からのコメントがあふれるなど、グローバルな人気を博しました。最近はタイBLが人気ですが、そういった海外にも向けた作品として元々考えていたのでしょうか? ここまでの反響を得て、どのように思いましたか?

「たくさんの人に届くといいな」という思いはもちろんありましたが、実際には国内でも同時放送局が3局しかない作品。ご覧頂ける地域の方々、配信で見つけて下さった方々の一日の楽しみになれたらいいなと思っていたくらいで、海外の方々からの反響は本当にびっくりしました。不思議な感覚でしたが、テレビドラマの持つ可能性に感動しました。

■自然に触れ合っているためのアイディアが必要だった
――撮影中の苦労などはありましたか? 「触れることで心が読める」という設定は、まさにこの作品の特徴であり、見どころの一つだったと思います。

触れる演出は、この作品ならではの苦労だったと思います。心の声を聞いている時間が必要なので、一定の時間触れていても不自然じゃない方法で触れ合っていなければならない。監督のアイディアだったり、赤楚さんと町田さんが「こうする?」と提案して下さったりして、出来上がっていきました。

――視聴者にとっても、ドキドキしながら楽しめる場面となっていました。

赤楚さんと町田さんは、現場でよくお二人でお話されていて。そういうコミュニケーションの育みが、安達と黒沢からにじみ出るものを生んだのだと思います。あとは、風間太樹監督がすごくディスカッションしやすい空気を作ってくれるんです。1シーン1シーン、演出する立場と演じる立場での対話を積み重ねていったことが、役のふくらみに繋がったんだと思います。

――現場はどのような雰囲気でしたか? 同性が多い現場だと仲良くなりやすかったり、男子校のようになったりなどありそうですが…。

本当にみんな仲が良くて、楽しい雰囲気でした。主演の赤楚さんが柔らかい空気を作ってくださっていて。ご本人は無意識なのかもしれませんが、すごく自然な気遣いをされる視野の広い方なんだなと思いました。時々安達っぽい一面が出たりするんですが、それを町田さんがつっこんだりして和気あいあいとしていました。

■安達の“きゅるきゅる感”や黒沢の“オスみ”にこだわった
――第11話では、安達のあるモノローグをカットしたと伺いました。他にも泣く泣くカットした、または現場で急遽追加した場面などはありますか?

第10話、遊園地でのデートの練習は、本当は観覧車にも乗っていて。天空が繋がらなかったので、カットにせざるを得なかったのですが、もったいなさすぎたのでYouTubeで未公開動画として公開中です。

また、第1話の冒頭、デスク付近で転ぶ安達を黒沢が立ち上がって見るお芝居は、「黒沢の片思い感と、現状の二人の距離感を表現するために」と風間監督のアイディアで追加したものでした。

――どれもキュンとするシーンばかりでしたが、特に力を注いだこだわりシーンがあれば教えてください。

エンディングの安達と黒沢の帰り道で、黒沢が手を伸ばすお芝居を入れてもらったり、3話の屋上で黒沢が安達の首に腕を回すシーンは、“オスみ”のバランスを試行錯誤しました。あとは、1話の黒沢の妄想の中での安達は、監督と一緒にモニターを見ながら、安達の“きゅるきゅる感”にこだわってもらいました。

――最後に本間Pにとって、この「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」はどのような作品となりましたか? 続編を希望するファンの声も多いですが、ファンの方に向けたメッセージもお願いできますでしょうか。

本間:原点をくれた作品だと思います。「チェリまほ」で感じたこと、貰ったものをこれからも大切にしていきます。放送中、応援してくださる方々のおかげで、私も放送を見るのが楽しみでした。みなさんのおかげで今回の賞を頂くことができたので、本当に感謝しています。ありがとうございました!