上川隆也、綾辻行人の“館シリーズ”がお気に入り「僕は3作目が好きです」<遺留メモ(7)>
<「遺留捜査」第7話あらすじ>
1カ月前に閉店した飲食店で、暴力団幹部・金子仁(本宮泰風)の刺殺体が見つかった。元店長の久保田英二(増田修一朗)が備品整理のため店を訪れたところ、遺体を発見したという。
臨場した糸村は、現場で2つに割れたクルミ大の石を発見。何の変哲もなく、しかも2つに割れた石を暴力団幹部がなぜ持ち歩いていたのか、疑問を抱く。
間もなく、金子が5年前、敵対する組織に狙われた組長をかばって左胸に被弾した過去が判明。このとき、金子が左胸に入れていた小石に弾丸が当たって一命をとりとめたため、“不死身の金子”と呼ばれるようになったという。
以来、金子はその石をお守り代わりに持ち歩いていたらしく、石は事件とは無関係と思われた。
それでも、石の“意味”を探ってあちこち訪ね歩いていた糸村は、偶然一人の青年・掛川春人(濱田)と出会う。春人は中学のときに母が他界、15歳で施設を逃げ出してからはアルバイトで食いつないできたと、糸村に天涯孤独の身の上を語る。そのときすでに、彼は「危険なバイト」へと手を伸ばし始めていた。
その矢先、捜査は急展開を迎える。先日、内勤に異動した岩田信之(梶原善)が特別捜査対策室に衝撃の情報を持って来るとともに、捜査線上に一人の女性・末永節子(根岸季衣)が浮上。やがて、“割れた石”が、バラバラな事件のピースをくしくもつなぎ合わせていく。
■「遺留メモ」連載第7回は『小説』
WEBザテレビジョンでは、毎週木曜のドラマ放送日の掲載で、上川の“おすすめエンタメ”にまつわるエピソードと共にストーリーを紹介する連載企画「遺留メモ・令和版」を展開中。第7回となる今回は、好きな小説にまつわる話をしてもらった。
――好きな小説家、もしくはよく読んでいるジャンルはありますか?
随分昔の話ですが、ミステリー作家の綾辻行人さんが書かれた「館」シリーズが好きでよく読んでいました。ちょうど“新本格”ブームの盛り上がりと僕がミステリーにハマったタイミングが同じぐらいだったものですから、当時は書店に行くと必ず誰か新しい作家が見つかる、そんなワクワクを楽しんでいた時期でした。
今は第1弾の「十角館の殺人」が漫画化されて「月刊アフタヌーン」で連載中。もともと、小説だからこそ盛り込めるトリックで成立しているだけに、いかに漫画で成立させるのかという好奇心とともに楽しみながら読んでいます。
いわゆる“叙述トリック”の面白さを味わうにはちょうどいい入り口となっている作品ですので、ミステリーにあまり触れて来なかった方にも十分楽しんでいただけるのではないかと思います。
もし「十角館の殺人」を気に入っていただけたのであれば、その後に続く「館」シリーズも読み進んでいただけたらと思います。ちなみに僕は3作目「迷路館の殺人」が好きです。
◆取材・文=月山武桜