「相棒season19」(毎週水曜夜9:00‐9:54※最終回は夜9:00‐10:24、テレビ朝日系)は、3月10日に放送された「暗殺者への招待」より続くストーリーで、17日(水)に最終回を迎える。「暗殺者への招待」は、今シリーズの第1・2話「プレゼンス」から連なるもの。白バイ隊員・出雲麗音(篠原ゆき子)が銃撃された事件の首謀者でありながら、罪をまぬがれたIT長者・加西周明(石丸幹二)をめぐる警察・政府関係者の陰謀が描かれ、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)が再び真相究明に挑む。

最終回放送を前に、事件の被害者という立場に乗じて捜査一課に異動した、相棒シリーズ新メンバー、出雲麗音役の篠原に取材した。

――まずは、「相棒season19」の撮影を終えられて、率直な感想をお聞かせください。

クランクアップは、特命係のセットでの撮影でしたが、「カット」の声がかかった瞬間にまぶしい安堵と寂しさが一気に押し寄せました。それと同時に水谷さんと反町さんとスタッフさんたちの笑顔が目に入ってきて、思わず涙があふれました。ジェットコースターのような、あっという間の、最高の7カ月間でした。

――篠原さんの初登場となった第1話、最初に台本を目にした際のことをお聞かせください。

まずは相棒っぽいインパクト大の「出雲麗音」という役名がうれしくて、台本を開いた途端ニヤニヤしてしまいました。そして、白バイ警官、銃撃、捜査一課などなど、目に飛び込んでくる全てのキーワードに胸が躍りました。今まで割とお母さん役など女性っぽい柔らかめの役が多かったので、全てがとても新鮮でした。

――スタート時のコメントで「コンプレックスを持っているからこその繊細さ」「弱者側に対する優しさ」「新入りのパワフルさ」を出雲の特徴として挙げられておりました。それが表われているエピソードを教えてください。

第13話「死神はまだか」(1/20放送)の落語界でひどいセクハラに遭っていた路里多さん(立石晴香)、第15話「薔薇と髭の不運」(2/3放送)のセクシャルマイノリティーであるヒロコママ(深沢敦)、このお二人に対しては強いシンパシーを感じるととともに、絶対に守ってあげたいと思いました。

第10話「超・新生」(12/16放送)は、なかなか動かない捜査一課にしびれを切らして、特命係にスパイという名目で潜り込んだりと、新入りだからこその図々しさやパワフルさがあったかなと思います。

■篠原「秘密にしておきます!」

――終盤へと進むにつれ、出雲には図太さやしたたかさが出てきたのではないかと思います。そうした「変化」に対して思うところがあればお聞かせください。

正直なところ、撮影中は自分の力不足を感じて落ち込みながら帰宅することがよくありました。でも落ち込んでも、最終的には「楽しいし自分がやりたいんだから、意地でもしがみつこう」という結論で、翌朝の撮影に向かう日々でした。(その気持ちが)結果として、出雲麗音の図太さやしたたかさにつながったのかもしれないです。もしそうだとしたら、あの頃の落ち込みまくっていた自分に教えてあげたいです。

――出雲麗音について、何か裏設定があるようでしたら教えてください。
家に帰ったらバイク雑誌を眺めながら一人晩酌が日課。捜査一課配属直後は髪形をオールバックにして、なめられないようにした(つもり)。好きな音楽はエレファントカシマシ。生い立ちや過去のバックグラウンドはいろいろありますが秘密にしておきます!


――水谷豊さん、反町隆史さんとのエピソードを教えてください。

お二人には温かい言葉やアドバイスをいただいたばかりでなく、撮影中にたくさん和ませていただきました。ヒロコママの回(第15話「薔薇と髭の不運」)の撮影中、スナックでの待ち時間に、反町さんが水谷さんに「豊さん、もう一回あの話してくださいよ、あの話」とうれしそうにおっしゃって。

そうしたら、水谷さんがイタズラを始める前の子どものような表情で「あぁ、あの話?」と、物まねをしながらある飲食店の面白い店員さんのお話をしてくださったのですが、その店員さんの物まねがめちゃくちゃ絶妙でクオリティーが高くて。「あぁ分かる!そういう人いる!」と爆笑してしまい、刑事モードを取り戻すのに苦労したことがありました(笑)。

とにかくお二人が誰よりもハードなスケジュールなのに、いつも明るく現場にいてくださることが、「相棒」という作品の要になっているんだなと思いました。

――同じ捜査一課刑事役の川原和久さん、山中崇史さんとの関係についてもお願いします。

川原さん、山中さん、お二人とも、本当に底無しに温かいお人柄です。演じるシーンについての具体的な相談もさせていただいたりして、本当にたくさん助けていただきました。

お二人とは、やはり一緒に撮影する時間が一番長かったので、月日がたつうちに自然と3人でいるときの役割や空気が生まれてきて、それと同時に芝居もリラックスしてご一緒できるようになってきた気がします。

毎朝メイクルームにお二人が「おはよう〜」と順番に入ってこられると、なんだかワクワク楽しい気分になるんです。

――「相棒season19」で印象に残っている回を、第1・2話以外で挙げていただけますか。

第10話「超・新生」は、警視庁VS半グレ集団のアクションシーンがあったり、内村刑事部長(片桐竜次)が死んでしまうかも…という緊迫の展開があったりして、レギュラー陣の一体感を感じるシーンもたくさんあって楽しかったです。

元日スペシャル「オマエニツミハ」は、少年犯罪と被害者家族という重いテーマでしたが、水谷豊さんと岸谷五朗さんの濃厚さがとにもかくにもすごかったですし、お正月にあえてこのテーマに踏み込んだ製作陣の覚悟も感じました。右京さんの傷を知った亘さんの寄り添い方もすてきでした。

あと、TELASAで配信されているスピンオフも、キャスト・スタッフみんなが楽しみながら作った感じが出ていて面白かったです。

■篠原ならではの相棒の楽しみ方とは?

――「相棒」シリーズ全体で、お好きなキャラクターを教えてください。

やはり強い女性キャラクターが登場するとワクワクします。いつか、社美彌子さん(仲間由紀恵)、片山雛子さん(木村佳乃)が、小料理屋「こてまり」に集うシーンを見てみたいです。そこになぜか遠峰小夜子さん(西田尚美)、そしてヒロコママの姿も…。かなり末恐ろしいシーンになりそうですね!(笑)

――篠原さんならではの「相棒」シリーズの楽しみ方はありますか?

レギュラーメンバーの方々、それぞれの初登場回を見た後、直近の回、もしくは最後の登場回で、どのように変わったのかを観ると楽しいです。

相棒は監督や脚本家の方が何人もいらっしゃるので、エピソードやシーズンを重ねることで、キャラクターに肉付けされたり削ったりと粘土細工のようにして作られていっているんだなと思います。

――「相棒」出演を通じて、視聴者に届けたいものは何でしょうか?

特に最近、今まではなんとなくで済まされていた社会における女性のあり方について、「いや、やっぱりおかしくないか?」と異議を唱え、改善しようという風潮にあると思います。

「相棒」という老若男女幅広い視聴者がいらっしゃる国民的番組だからこそ、男社会の中で働く“出雲麗音”という一人の女性を通して、さまざまな思いを共有していただけたらうれしいです!

――最後に、最終話を楽しみにしている視聴者へのメッセージをお願いします。

最終話では、黒煙のように姿を表さない人物によって出雲麗音襲撃事件の真相が隠されてしまいます。そこに、謎めいた女性たちが次々と登場してきます。事件の被害者である出雲麗音もその一人です。

自分とは関係ないところでうごめいているものによって、自分を殺しかけた加害者が裁かれない。そんなとき、警察としての正義を選ぶのか、それとも被害者としての権利と正当性を選ぶのか。彼女の選択と結末は…。

そして、全てを白黒つけずにグレーでごまかそうとする大きな黒煙パワーに対し、杉下右京と冠城亘はどう立ち向かっていくのか…。相棒ならではの現代社会を風刺したお話だと思います。皆さま、乞うご期待くださいませ!