20歳の俳優・前田旺志郎が3月22日放送の連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)第76回から出演し、注目を集めている。千代(杉咲花)と一平(成田凌)のもとに転がり込む少年・寛治を演じる旺志郎は、兄弟漫才師として人気を集めた“まえだまえだ”の弟。そのイメージが強い一方で、実は俳優としてもその才能を開花させつつあることをご存じだろうか。20歳に成長した今、さわやかなルックスと演技力でますます注目を集めそうな存在なのだ。


■6歳で「M-1グランプリ」準決勝進出

3月22日からは第16週「お母ちゃんて呼んでみ」(第76〜80回/3月22〜27日)を放送している。劇団の座長だった父親を亡くし、ひとりぼっちになってしまった寛治(前田旺志郎)。第76回では、そんな寛治がひと月ほど鶴亀家庭劇に預けられ、千代と一平のもとで暮らし始めたいきさつが描かれた。

千代たちの家にやってきた寛治は、ニコニコと「こない狭いとこに押しかけてしもて、えらいすんません」と悪びれず口にするなど、天真らんまんで素直そうな一方、お調子者の気配も。夕飯時にはおひつのご飯をひっくり返してしまい落ち込んだそぶりを見せたが、それも実は“ウソ泣き”。千代に慰められると一転、元気よくご飯をかき込み始めた。

寛治役の前田旺志郎は2000年12月7日生まれ、大阪府出身の現在20歳。6歳だった2007年に2歳年上の兄・航基と2人で漫才コンビ「まえだまえだ」のボケ担当として「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)や「エンタの神様」(日本テレビ系)などバラエティー番組に出演し、大人気に。同年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)に出場し、史上最年少での準決勝進出を果たした。

■大河ドラマ「平清盛」では主人公幼少期役も!

そんな旺志郎は、兄とともに子役としても早くから活躍してきた。旺志郎は2005年ごろからさまざまなドラマや映画に出演。2011年には、是枝裕和監督の映画「奇跡」でオーディションを経て兄弟で主演を務めた。

是枝監督は、子役の自然な演技を引き出すため、出演する子役には台本を渡さず、その場でシーンの大まかな状況や展開を伝えて撮影する手法を取っているが、「奇跡」もその方法で撮影された。旺志郎はその後、同じく是枝監督が手掛けた「海街diary」にも出演した。

2012年には航基とともに大河ドラマ「平清盛」(NHK総合ほか)に出演。旺志郎は松山ケンイチが演じた主人公・清盛の幼少期・平太役を務め、会見では漫才師として鍛えた度胸とトークスキルで「この顔があの松ケンになるか心配」とリップサービスも披露した。同年放送の連続ドラマ「浪花少年探偵団」(TBS系)にも兄弟で出演。なお、「浪花少年―」で同じクラスの生徒役で出演していた浜辺美波と旺志郎は同い年。その後進学した堀越学園では同級生だったという。

■「MIU404」ゲスト出演で話題

中高生時代もコンスタントにドラマに出演し、演技経験を積んできた。映画「レミングスの夏」(2017年)で単独初主演も経験。国民的アニメ初の実写化、しかも生放送ということで話題を呼んだライブドラマ「銀河鉄道999」(2018年、BSスカパー!)では、星野鉄郎役に抜擢。メーテル役の栗山千明も「現代っぽい、カッコいい鉄郎ですね。人間らしいというか、人の気持ちを動かせる少年というイメージ」と絶賛の、魅力あふれる演技を披露した。

2019年春には慶應義塾大学に進学。2020年に成人し、持ち前の人懐こいキャラクターに人生経験と大人びた表情が加わった。その精かんな顔立ちは、「今夜くらべてみました」(日本テレビ系)で指原莉乃も「カッコいい!」と絶賛したほど。さらに近年は、深みのある演技でも話題を集めている。

ドラマ「MIU404」(2020年、TBS系)第3話にゲスト出演し、いたずら心で犯罪に手を染めてしまう高校生・勝俣を演じた。終盤、自らの罪を涙ながらに悔いる場面では、綾野剛や星野源らレギュラー陣に見守られながら熱のこもった演技を披露し、ゲスト出演ながら鮮烈な印象を残した。

■主演ドラマ「猫」で見せた温かいキャラクター

DISH//の大ヒット曲をドラマ化した「猫」(2020年、テレビ東京ほか)では、小西桜子とともにW主演。脳に腫瘍があり「いつ死んでもおかしくない」というみねこ(小西)を優しく、包み込むように愛する青年・光司を、穏やかに、あたたかく演じた。

みねこを不安にさせまいと明るくふるまう光司。だから第1話ラストで光司が「俺はみねこが死んでも、みねこの思いをちゃんと抱いて生きていく。だから、みねこが死ぬのは怖くないよ。ただ…ただ俺が怖かったのは、俺の思いをみねこに伝えられないことだった」と泣きながら素直な思いを打ち明け、みねこを抱きしめたシーンは、旺志郎の飾らない人柄がそのまま光司と同化したかのようだった。その演技にはリアルな一人の青年の切ない独白を聞いてしまったようなやり切れなさが漂い、見る者の胸を締め付けた。

「おちょやん」で演じる寛治はどうやら天真らんまんな少年のようだが、お調子者の性格にはどこか危なっかしさも感じられる。父親を亡くし、ひとりぼっちになってしまったばかりという寛治だけに、その胸の内には周囲には見せない孤独を抱えているのかもしれない。

そんな寛治とのやり取りに、ふと「子どもいてたら毎日こないなんやろか」という思いに浸る千代。この週のサブタイトルは「お母ちゃんて呼んでみ」。前田旺志郎演じる寛治が千代たちにどんな影響を与えていくのか注目していきたい。(文=ザテレビジョンドラマ部)