群雄割拠の戦国時代、織田信長を一躍時代の主役に押し上げ、天下人への道を歩むきっかけとなった「桶狭間の戦い」。今川義元の今川軍2万5000という大軍を、信長は織田軍わずか2000という数的不利を見事ひっくり返してみせた奇跡ともいえる戦いだ。その「桶狭間の戦い」を中心に描いた、市川海老蔵主演の「十三代目市川團十郎白猿襲名記念特別企画『桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜』」が、3月26日(金)夜9:00よりフジテレビ系にて放送する。

そこで、オンエア前の作品を一足先に視聴し、見どころを紹介する「WEBザテレビジョン」試写室では、「桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜」の魅力を伝える。


■宿敵・今川義元が尾張に向けて進軍…信長が絶体絶命に


1560年、駿河の総大将・今川義元(三上博史)は、尾張を手中にせんと、2万5000の大軍を自ら率いて、尾張への進攻を開始する。今川軍が間近に迫る中、家老衆は籠城策を訴えるも、信長(市川海老蔵)はその意見を軽くあしらう。
翌早朝、信長はたった五人の小姓を従えて清洲城から姿を消し、熱田社にて自らが鍛えてきた兵を集結させ、今川軍撃破の策を練る。
信長は、木下藤吉郎(中尾明慶)ら信用できる者たちに今川軍の動向を探らせ、義元が兵糧が運び込まれた大高城ではなく、桶狭間に陣を張っていることを突き止める。
その後、信長の家老衆たちも駆け付けるが、それでも織田軍は2000の兵しか集まらず、不利な状況のままだった。


■市川海老蔵演じる信長とは?


血しぶき舞う大迫力の合戦シーンは見どころだが、今川軍の先鋒・松平元康(鈴鹿央士)の猛攻を受けた丸根砦の戦いなど、「桶狭間の戦い」に至るまでの織田・今川両軍の課程もしっかり描かれている。さらに、登場人物きっかけで信長とのエピソードが挿入されいく構成は、より作品が楽しめるはずだ。

市川海老蔵演じる信長は、謀反を企てた弟・信勝(馬場徹)にも一切容赦をしない冷徹な顔や義元の策を読み解く策略家としての顔、大うつけと呼ばれているときのコミカルな顔など、その時々に見せる表情の変化が魅力。海老蔵の手によって、カリスマ、リーダー、先進的などのイメージがぎゅっと凝縮され、昇華されている。


信長の正室・濃姫(広瀬すず)の父で、マムシと恐れられる美濃を治める戦国大名・斎藤道三(佐藤浩市)と聖徳寺での会見も見どころ。信長を見定めるために射るような視線を送る道三に対し、堂々と見返す信長の目力は圧巻。
とにかく目の演技の応酬がすごいの一言に尽きる。また、濃姫に道三との会見が成功したと無邪気に喜んで報告する信長は、どこかかわいいい。

そんな信長と濃姫のシーンからも一つ紹介したい。信長から、道三が義龍に討たれたという報を聞かされた濃姫は、道三という信長の後ろ盾が失われ、兄が敵に回ったことで「お役に立てぬ身になり申した」と自害しようとする。だが、とっさのところで信長が阻止し、「いずれ美濃も駿河も儂の国にしてみせる。そなたの国じゃ」と抱きしめるシーンは、夫婦の絆を感じられ、ほろりとさせられる。


また、冒頭の「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」と敦盛を舞うシーンは個人的な必見シーンの一つ。声、表情、雰囲気とどれをとっても鳥肌もので、一気に作品に引き込まれること間違いない。


■信長という男を見誤った今川義元


信長の宿敵・今川義元にどんなイメージを持っているだろうか? 公家文化に精通し、公家のようにお歯黒をつけ、置眉、薄化粧をした貴族趣味の人物。はたまた、敗将ということで、評価が低い。後世の創作によるイメージもあるのだろうが、概ねこんなイメージなのではないだろうか。
だが、実際は、駿河、遠江だけではなく、三河や尾張の一部まで領土を拡大させ、武田信玄や北条氏康と三国同盟を締結するなど、非常に有能な武将であるのは間違いない。そんな義元を三上博史が好演している。

劇中では、信長と互いに戦略を読み合う場面が熱いのだが、義元は信長が捨て身の合戦に打って出る、愚かな選択をするという考えに至るが、そのとき信長は「義元は今は勝ちしかみえぬはずじゃ。いや、最早勝った気であろう」と義元の策を見透かしている。
また、義元は信長を「信長の戦は己のため」と利己的だと評しているのだが、信長は兵たちに「こたびの戦は尾張を守るためにあらず。領地を奪うためでもない。我らが生きるためじゃ」と檄を飛ばしており、人物評に関しても見誤っている。

そして、下克上の流れに不満を持つ義元は、自身の血筋や戦国大名としての格、戦力差など古い考えにとらわれ、信長は「古きもの強き者に屈するな。新しき己のために戦え」と未来を見据えろと言っている。この正反対の考えを持つ二人を対比しながら、日本史上最大の逆転劇とうたわれる「桶狭間の戦い」を見てもらいたい。