俳優の松下洸平、生駒里奈、岡本健一らが4月2日に東京・シアター1010で行われた舞台「カメレオンズ・リップ」のゲネプロに登場。この後、約1カ月半にわたる全国公演に向けてコメントを寄せた。

「カメレオンズ・リップ」は、劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の戯曲を、才気あふれる演出家たちに預けるシリーズ「KERA CROSS」の第3弾。河原雅彦が演出を担い、音楽は東京事変やthe HIATUSの伊澤一葉が担当する。

登場人物それぞれがうそをつき、だまし合う、予測不可能のクライム・コメディーで、他にファーストサマーウイカ、坪倉由幸(我が家)、野口かおる、森準人、シルビア・グラブが出演し、新たな“ケラ・ワールド”を創り上げた。

松下、生駒、岡本のコメントは以下の通り。

■松下洸平コメント

稽古期間は、あっという間の1カ月でした。演出の河原さんが丁寧に演出してくださいました。僕らは濃密な良い稽古の時間を過ごさせていただいたので、あとはお客様がどんな反応をしてくださるかを気にしながら、稽古通りにやるだけだなと思います。

今回、すごく多種多様なジャンルの方々がそろいまして、特に我が家の坪倉さんには癒やされました。飄々(ひょうひょう)とされていながら、稽古で凝り固まっていたところも、坪倉さんがいてくださると稽古場が明るくなってとても助けていただきました。

ルーファスという役を演じるに当たり、初演の印象をどう払拭していくかが課題でしたが、日々稽古を重ね自分のルーファスを作っていくに当たり、生駒さんや岡本さんのお芝居を見ながら、だんだん自分でも思っていなかったルーファスが出来上がっていきました。

ルーファスの人間らしさを引き出していただいたのは、本当に共演の皆さんのおかげだなと思います。うそが得意と豪語していながら一番うそが下手というルーファスという存在を、どうやったら愛していただけるか、それをこの1カ月考えながら稽古をしていました。

KERA CROSSという企画はKERAさんが書かれた過去作品を、演出家とキャストを一新してお届けしていく企画ですが、全く新しい「カメレオンズ・リップ」が完成したと思っています。

本当に個性あふれるキャストの皆さんと御一緒できて、僕も本当に幸せですし楽しいです。

■生駒里奈コメント

日々のニュースを見ながら、公演ができるのかという不安を心のどこかに抱えつつ、自分は新しいことへの挑戦で稽古場でも苦戦していたので、今こうして本番を迎えられたことを、本当にうれしく、ありがたく思います。これからも感染対策をしっかりして、お客様にもご協力いただきつつ、作品を楽しむということを実践できたら良いなと思っています。

私が今まで演じさせていただいてきた中でも一番と言っていいほど難しい役を、まだ未経験のことも多い私が演じさせていただけることになり、そこは正直大変でした。

今までは自分の持っているものを放出することで形になる役が多かったのですが、今回に関しては全くそうではありませんでした。それを発見することができ、自分自身と結びつけなくて良いんだ、と個人的に思えた瞬間から、今回の役を演じることができるようになりました。

この役を通して、役の作り方や向き合い方の種類が広がったと感じています。

“うその中に隠れている本心”というものの微妙なバランスが難しかったのですが、そこは自分の中で解釈できたのではないかと思っています。お客様の前に立って、そのうそが皆さまにどう伝わるか、しっかり表現していきたいと思います。

■岡本健一コメント

濃密で濃厚な稽古期間でした。稽古場では、皆本当に面白くて、想定外の笑いがたくさんあるのですが、果たしてこれがお客様の前で伝わるか伝わらないか、どんな印象を受けるのか、楽しみでしょうがないです。

KERAさんがシアターコクーンという劇場で初めて公演した時、大衆に向けて、大きな劇場に向けて書いた作品で、気合も入っていたんだろうし、舞台ならではの演出、舞台でなければ表現できない事などがいっぱいちりばめられています。それが稽古場ではできなかったりすることがいっぱいあって、劇場に入ってみて、初めてそれを目の当たりにして、ちょっとワクワクする感じがあります。

なかなか人と会うことができない時期に、稽古場は、唯一会える人間たちということで、いろんな思いで救われる、助けられる部分がありました。

腑に落ちないところなどは、みんなそれぞれが解消するように話し合ったり、すごくオープンで良い時間だったと思います。

松下さん生駒さんたちの、若いからこそのエネルギーをオープンマインドで出す姿は、見ていて面白いし気持ち良いですし、この「カメレオンズ・リップ」という作品の中に込められている気がします。

作品自体ともつながる部分があり、トラウマを抱え合う人物が、山奥の谷のお屋敷で、唯一ここにいる同士触れ合うことで、本質を見つけてくるような、すてきなテーマだなと思っています。


◆取材・文・撮影=坂戸希和美