連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)に千代(杉咲花)の継母・栗子役で出演する宮澤エマが、視聴者の心をつかんでいる。4月28日放送の第103回では、千代に対して長い間抱えてきた自責の念を抑えた演技で表現し、見る者の涙を誘った。


第21週「竹井千代と申します」(第101〜105回/4月26〜30日)では、道頓堀を去った千代の1年後が描かれている。

行くあてのない千代に声を掛けたのは、34年前に口減らしのため9歳の千代を奉公に出させた栗子だった。あの時おなかにいた子の娘、つまり孫の春子(毎田暖乃)と2人で暮らしているという。

千代が出ていったあと、テルヲ(トータス松本)がさらに酒とばくちに溺れるのを見て飛び出したという栗子。苦労もしたはずだが多くは語らず、「娘の名前な、さくらていうねん。ホンマに可愛らしいて…あの子と一緒にいてるだけで、幸せやった」「けどな、そないな気持ちになったらなるほど…あんたのこと思い出してしまうねん」とぽつりぽつりと語り、千代への贖罪の気持ちをにじませた。

■初舞台で40歳…ミュージカル畑で磨かれた演技力

60歳になる栗子を演じているのは、現在32歳の宮澤エマ。ミュージカルを主戦場とする舞台女優だ。第78代内閣総理大臣を務めた宮澤喜一氏の孫としても知られる。

芸能活動の早い時期から、一貫してミュージカルの舞台で活躍してきた。

デビュー後、バラエティー番組などに出演を続けた後、2013年のミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング〜それでも僕らは前へ進む〜」で女優デビュー。出演が決まったと聞いた時は「ただただ嬉しくて、5分ぐらい泣いていた」という。

宮本亜門演出のこの作品でいきなりメインキャストの一人・演劇ライターのメアリーとして40代から20代へと遡っていく難しい役を務め上げると、翌2013年にはミュージカル「シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを〜」で帝国劇場デビュー。その後も「ラ・マンチャの男」(2015年)、「ジキル&ハイド」(2018年)、「PIPPIN」、「ペテン師と詐欺師」(2019年)、「ウエスト・サイド・ストーリー」Seazon2、「女の一生」(2020年)、「ウェイトレス」(2021年)などに出演し、キャリアを重ねてきた。

■「誰かが、見ている」香取慎吾との即興ダンスも話題に

近年は、三谷幸喜作品でも“常連”となりつつある。三谷氏新作ミュージカル「日本の歴史」(2018、2019年)に出演したのを皮切りに、映画「記憶にございません!」(2019年)では有能だがどこかつかみどころのない個性的な通訳ジェット・和田を好演。Amazonプライムビデオオリジナル作品「誰かが、見ている」では主人公・舎人真一(香取慎吾)の友人・曽我そと子役。香取とのコンビで見せたコミカルな即興ダンスは、大きな話題を呼んだ。

そして2022年には、三谷幸喜脚本の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で大河ドラマ初出演を果たす。役柄は、主人公・北条義時(小栗旬)の妹・阿波局(あわのつぼね)。出演に際し、宮澤は「初めて出演した映画も三谷さんの作品だったので、初めての大河ドラマが三谷作品で大変うれしく、光栄に思っています」と、4作品目の“三谷組”参加を喜び、「三谷さんには『阿波局の人生を思い切り明るく演じてほしい』と、言われました」と、三谷氏からの信頼の厚さをうかがわせるコメントも残した。

■視聴者くぎ付け「演技力凄すぎない?」

「おちょやん」で光ったのも、舞台で培ったその演技力。メイクに頼ることなく、低めでしわがれた声色や少し丸くなった背中、ゆっくりとした動作や視線の動きなどで年齢を重ねた姿を自然に表現している。当郎(塚地武雅)が訪ねてきた時のにぎやかな会話で見せたツッコミがコメディエンヌとしての力も感じさせるし、「おちょやん」のために練習した三味線も、まるで昔から嗜んでいたように板についている。

千代を追い出した34年前、色気にあふれた若い時代ももちろん宮澤が演じていて、第1週と第21週の写真を並べてみただけでも、34年間に刻まれた年輪がありありと伝わってくるようだ。

栗子が再登場した今週、早速Twitterでは「宮澤エマ」「栗子さん」がトレンドワード入り。視聴者から「宮澤エマさん、演技力凄すぎない?」「年老いた栗子の演技は只者ではない」「宮澤エマさんの栗子から目が離せなかった」「32歳なのにここまでお年を召した役を違和感なくやれるのすごい」と絶賛の声が続々と上がった。

千代はいまだ、頑なに女優復帰を拒んだまま。千代が“大阪のお母さん”とよばれる女優となっていくためには、女優復帰という大きな山を越えねばならない。そんな重要な週で、約5か月ぶり、劇中の時間軸でいえば34年ぶりに再登場した栗子がどんな役割を果たすのか、ますます目が離せない。