5月19日(水)に大森靖子がデジタルシングル「Rude」をリリースする。同楽曲は大森とかねてより親交があるフリーランスのディレクター・三谷三四郎氏のYouTubeチャンネル「街録ch-あなたの人生、教えてください-」の主題歌として書き下ろされた楽曲で、7月7日(水)発売の提供楽曲セルフカバーアルバム『PERSONA #1』から先行で7週連続配信されるシングルの第1弾となっている。

今回は大森と三谷氏にインタビューを実施。「街録ch」に主題歌を書き下ろすことになったいきさつや「Rude」というタイトルの意味、さらに2人が興味を持つ人などについて話を聞いた。

■お互いの作品のファンの大森靖子と三谷三四郎氏

――WEBザテレビジョンで三谷さんにお話を伺うのは初めてなので、まず自己紹介と「街録ch」の説明からお願いできますか。

三谷:三谷三四郎という名前で、34歳、2020年の7月くらいまでテレビのディレクターをやってました。その年の3月くらいからYouTubeを始めて、ちょっとずつ「あ、これで暮らしていけそうだな」ってなってきたので、テレビからフェードアウトしました。だから、職業はディレクターですかね。

「街録ch」というのは、街中を歩いてる人にざっくばらんに「あなたはどんな人なんですか?」とか「どんなふうに生きてきたんですか?」っていうのを淡々と、ひたすら聞き続けるっていうチャンネルです。

一般の人と何かするのが得意だったというか、好きだったんですよ。そういうことをYouTubeでできるかな?と思って始めたっていうのが経緯で、コツコツやってきたって感じですね。それで今回、大森さんに主題歌を作っていただきました。

――お二人が直接お会いしたのはテレビ番組だったと伺っています。

三谷:「ラストアイドル」(テレビ朝日系)という番組がありまして、2017年の8月頃に始まったのかな。それより前から大森さんの歌が好きだったから「会える!」と思って、そこから近づいたって感じですかね、自分から(笑)。「大森さんの打ち合わせ僕が行きます」みたいな。そういう感じで近づいていって、仲良くなってみたいな感じですね。

――大森さんの曲を好きになったきっかけというのは?

三谷:「愛してる.com」という曲がありまして、その時がちょうど自分の生活に曲を探す余裕が出てきたくらいの時期だったんですよ。iTunesでいろいろ聴いていたら、キャッチーなメロディーで面白い歌詞だな、いい曲だなって聴いてて思ったんですよね。「つまんない男と面白い女が付き合って、仲良くなってるパターンあるよな」みたいな。僕の友達でも「彼氏全然面白くないんだよね」とか言いながら2〜3年付き合ってる人もいたから、そういう人を思い出して、面白い歌詞だなってハマっていった感じですね。

――大森さんは“主題歌書き下ろし決定”ということで「街録ch」に出演した際、以前から「街録ch」を好きで見ていると仰っていました。

大森:「街録ch」を始める前から、(三谷氏が)ちょっと癖のあるVTRをいつも作っていて。私はテレビのことはあまり詳しくないんですけど、きっと“こういうVTRを撮ってきてください”っていうのが決まってるじゃないですか。そういう決まりがある中で、面白く自分らしくできたぞっていうときは、個人的に「これを見てくれ」みたいな連絡をくれるんですよ(笑)。

三谷:(笑)。

大森:「TVerで見られるから」みたいな感じで報告をくれて(笑)。そういう回はやっぱりすごく面白くて、“こういう番組を作りたい”とか、“こういう人の面白さを捻出したい”とかっていうのはテレビのディレクターをやっていたときから感じていて、自己表現とも違うんですけど「この人はクリエイターなんだな」っていうのは思ってました。人の面白い部分って、ちょっと人と違う部分だったりするけど、そういう部分を魅力的に見せるのがうまい人なんだなって。

そういうところって、隠したい人も多かったりするじゃないですか。うまく生きていくためには人と同じじゃなきゃいけないっていう方向に社会が向いている中で、「いや、違うところ面白くね?」って言ってるのが自分と共通するところでもあったし、すごい面白いなと思って自分も普通にファンになっていたので、ZOCのドキュメンタリーとか個人インタビューを作るときにオファーさせていただいたりしました。

で、「街録ch」が始まった時に「これはこの人が作りたいものだな」って、普通に「街録ch」のファンになって見てました。

■大森「現状に満足できないって人の方が、人生がハネるって感覚がある」

――お互いの第一印象はいかがでしたか?

三谷:僕は一方的にMVとか、何ならライブもテレビ局のコネを使って「近くでやってんじゃん! しかもこの時間空いてる!」みたいな感じで観に行ったりしてたから、普通に「あ、大森靖子だ!」みたいな感じでしたね。

大森:(笑)。

三谷:テレビ局の打ち合わせで、打ち合わせって大して説明することがないときもあったりするんですよ。その時もそうだったんですけど、無駄にめっちゃしゃべってた気がしますね、緊張して。いらないこともしゃべってましたね。「ライブで大森さんの後ろで(夫の)ピエール中野さんがドラムたたいてるのを見て、サザンオールスターズの逆版だと思いました」みたいなことを無駄にしゃべってましたね(笑)。

大森:言ってた(笑)。

――大森さんは、三谷さんと最初に会った時の印象はどうでしたか?

大森:“テレビ局にたまにいる変な人”だなって。ちゃんと仕事してる人がいっぱいいて、そんなに変な人っていないじゃないですか。だけど、たまに何を言ってもちょっと掛け違って、勝手にもっと面白く解釈して、勝手にもっと膨らませて「やばいっすね!」「いいっすね!」って言ってくれる人が知り合いに1人いるんですよ。で、(三谷氏も)「このパターンね」って思いました(笑)。「あ、本当の面白い人だ」って。

――それで今回「街録ch」の主題歌オファーがあって、動画内で三谷さんからは「誰の人生でもすてきに見えるような曲を」とリクエストがあったと思うんですが、それを聞いてどんなイメージを持ちましたか?

大森:今まで「街録ch」を見てきて、みんながすごくカッコいいなって自分には映っていたんですよ。人生いろんなことがあって大変だし、そのいろんなことって社会がそうであるとか、本人の意思に関係なかったりするけど、今生きていてそれを語れるって、サバイブした人しかできないことだから、カッコいいことじゃないですか。

それを“社会の闇”って言われることはすごい気に入らないし、自分はカッコいいって思ってて、三谷君もカッコよく演出しているはずで。それを“闇”とか“暗い”とか、「日本はこういうところがあってダメだ」っていうふうに受け取るのは解像度が足りないなって思う部分で、そこから生き抜いたこととか、向き合い続けたこととか、サバイブってやっぱり向き合い続けて「こっちは違うから、あっちに行かなきゃ」ってやらないと、人生って次の大変な局面に遭わないと思うんですよ。

その環境に諦めて「これでいいや」ってやってると、面白いことって起こらないし。大変なことも起こるかもしれないけど、現状に満足できないって人の方が、人生がハネるって感覚があって、それをちゃんと残す番組ってすごく面白いと思うし、自分もそういうものにしか興味がないって歌を書き続けているところでは、そういう人たちと出会うようにして歌を書き続けてるところがあるので、そこをきれいにじゃないですけど、良く見せられるように描ければいいなと思って曲を作りました。

――出来上がった曲を聞いた時の感想はいかがだったでしょうか。

三谷:めっちゃいい曲だなって思ったのと、本当にピッタリで「合うだろうなぁ」って。最初にギターの弾き語りのデモ音源を頂いたんですけど、それをスマホに入れてロケに行く時に毎日聴いてましたね。これが編曲されたりして、もっとパワーアップしていくんだろうなって、完成するのが楽しみでしたね。

「街録ch」に出てくる人たちが聴いたら心を動かされるだろうなっていうような歌詞がいっぱいちりばめられていて、それこそ曲が出来上がった時、取材した彫刻家の人がたまたま大森さんのファンで、何の気なしに「聞いてみます?」って言ったんですよ。発表前の曲なんで、本当はダメですけどね(笑)。

大森:(笑)。

三谷:でも、聴いてもらったら1フレーズ目でもう泣いていて、すごい破壊力だなと思って。“生きることは優しさ”っていうのがAメロのスタートなんですけど、それを聞いた瞬間にポロッと泣いていて、それでもう確信しましたね、「街録ch」に合っている曲だなって。

■大森「自分が歌っている人たちは面白くてカッコいい人たち」

――「Rude」という英単語は辞書を引くと「失礼」という意味ですが、どういうニュアンスでこの言葉をタイトルにしたんでしょうか。

大森:意味的には「失礼」というそのままで、それこそさっき話した「これを闇って言うなんて失礼だよね」っていうところですね。私は結構社会の弱者に向けて歌っているって言われることが多くて、弱者の立場にされている人たちはたくさんいるとは思ってるけど、自分が歌っている人たちは面白くてカッコいい人たちだってずっと思ってます。

「女性が弱者だから、女性を歌っています」というわけではなくて、面白いから歌ってますって。こんなに魅力的な人をないがしろにしたり、おかしいって言ったりする方が失礼ですよね?って気持ちがいつもあって、そういう気持ちを込めてはいるんですけど、ただ、基本的には言葉の響きで選んだっていうところが大きいです。短い英単語ってすごく残りやすいし、あんまり他の歌手の方がタイトルに使っていないっていうのが大きいです。

三谷:「Rude」ってタイトル、僕も意味を調べて「失礼」って見たときに「あ、俺のことかな?」って思いましたね。

大森:ウケるー(笑)。

三谷:僕、いろんな人から「失礼ですよ」みたいなことをめちゃめちゃよく言われるんで(笑)。それが取り柄だったりもするし、武田真治さんを武田真治さんとして扱わないっていうロケのVTRで東野(幸治)さんに覚えてもらったっていう経緯があるので。

武田真治さんにパンプアップしてもらって「ヘラクレスみたいですね」って言ったら武田真治さんが「会ったことあんの?」って言って、それがめちゃウケたんですよ。だから失礼なのが持ち味ですね、僕は。

あとは「口の利き方が失礼だ」とか「こんなところで立ち話させるなんてありえない」とかよく書かれるから、自分にもピッタリだし、「街録ch」にもピッタリだなって思いました。

大森:「俺の歌でもあるな」って(笑)。

――大森さんが出演した「街録ch」では、“(世間から)はみ出ちゃう人”に興味があるという話がされていたんですけど、今そういう点で興味がある人っていますか?

大森:たたかれてると、擁護したくなるってわけじゃないけど、何かあるんだろうなって思うんですよね。この社会にそぐわない部分が何かあるってことじゃないですか。「それって何だろう?」って思って、その人のことをめちゃめちゃ調べちゃうんですよね。その人が好きっていうよりは、「だからこうじゃないか」って映ってない可能性みたいなものを考えるのが好きってところはあります。最近何かあったかな…? 

三谷:僕はいっぱいいますけどね。松本人志さんにもお話を聞いてみたいですけど、あんまり現実味がないじゃないですか…あ! 僕、「笑っていいとも!」(1982〜2014年フジテレビ系)のADをやってたんですけど、テレフォンショッキング中、天海祐希さんがしゃべってる時にケータイを鳴らしちゃったことがあるんですよ。しかも電話じゃなくてアラームが謎の暴発をしたんですけど(笑)。だから、それを謝るついでに天海さんにインタビューしたいなって(笑)。

天海さんがコントっぽく「あれ、どうしたのかな?」って面白くしてくれたんですよ。すごいなと思ったので、「あの瞬間どう思ったんですか?」とか聞きたいし、そもそも天海さんがどうやって“天海祐希”になったのか、普通に聞いてみたいですね。

あと、最後の「曜日対抗いいともCUP」の優勝が金曜日で、その時は僕が金曜日の担当だったから、その優勝賞品のリングを各マネジャーに渡さなきゃいけなかったんですよ。でも、それをいまだに渡せていなくって。

大森:(笑)。

三谷:だからその時の金曜レギュラーメンバーをインタビューしたいですね。インタビューしたついでに1人ずつ渡していきたいです。「すいません」って。7年前くらいになるんですけど。でも、メンバーが豪華過ぎるんですよね。草なぎ剛さん、関根勤さん、爆笑問題の田中(裕二)さん、劇団ひとりさん、木下優樹菜さん。

大森:木下優樹菜さん会いたーい。ユッキーナの「街録ch」見たいな。

三谷:木下優樹菜さん、めっちゃカッコいい人でしたからね。だから普通に復活してほしいなって思うし、会いたいですね。