5月30日(日)昼1時30分より北海道文化放送(UHB)で、FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品「子どもたちの緊急事態宣言〜コロナ禍1年 わたしたちの声」が放送される。

2020年2月、全国に先駆けて一斉休校に踏み切った北海道。それは子どもたちにとっての”緊急事態”の始まりだった。番組では子どもたちや保護者への取材とともに、教員200人以上へのアンケートから、コロナ禍の子どもたちへの影響を明らかにしていく。取材によって感染不安による自主休校が北海道で急拡大し、学びの保障への課題も浮き彫りになってきた。

■一斉休校、その時家庭に何が
北海道が全国に先駆けて行った一斉休校は家庭にどう影響したのか。道内の教員200人以上にアンケート調査を行ったところ、一斉休校後に子どもたちが「疲れやすくなった」「集中力がなくなった」などの回答があった。ある教員は「子どもたちが授業中に座っていることができなくなった」と話す。この教員は生活リズムが戻らなかった子どもたちを起こすために、朝に家庭を訪問していた。今回のアンケートでは休校中の家庭環境によって学力差が広がったとする回答が4割にのぼった。

保護者への影響も大きい。札幌市に住む、小学3年生の蓮弥君(8)は、「自分のせいでお母さんは好きな仕事を辞めてしまった」と感じている。母親の小夏さん(28)は蓮弥君の小学校休校と3歳の長女の保育園休園を受けて、仕事を休むことになった。月の勤務は半分ほどになり、月収は8万円から3万円まで減少した。そんな小夏さんが頼ろうとしたのが「小学校休業等対応助成金」だ。

「小学校休業等対応助成金」は、子どもの世話のために休む従業員に特別休暇を与えた企業に、1人あたり1人上限1万5000円が支払われる。 しかし、制度を申請するのは企業。小夏さんは勤め先から「休まずに働いていた保護者と不公平感がある」と言われて断られた。何度も交渉したものの受け入れられず、職場に居づらくなったことから退職を余儀なくされた。

小夏さんは労働組合に相談。ほかにも同じような経験をしている保護者がいることを知り、制度の見直しを求めてSNSでデモを行うことを決めた。この動きに全国の母親たちが賛同。その後、個人でも申請ができるように制度が変更された。蓮弥君は、母親の声に応えてくれた人たちの姿を見てこう思った。「自分のせいじゃなかった」。

■感染拡大で急増…北海道の「自主休校」の実態
子どもたち自身や家族に基礎疾患があったり、子どもが感染への不安を訴えたりして学校を休む「自主休校」。国は人数を把握していない。学校に行かなかった場合、子どもたちの学びの保障はどうなるのか。北海道教育委員会へ情報開示を求めた結果、北海道内(札幌市をのぞく)の小中学校と高校で感染不安を理由に出席停止となった児童・生徒は2020年9月には906人だったが、感染が拡大した11月には4992人に急増、翌12月にも4907人にのぼっていることが分かった(同じ児童・生徒が複数回出席停止となっている場合もある)。

学びの保障はこうした実態に追いついていない。教員たちは自主休校の児童・生徒に対してプリントを配布したり、授業を収録したDVDを届けたりしてきたが、学校や地域によって対応はバラバラだ。

休校中の「孤立感」も大きな課題だ。札幌市で自主休校するりんさん(仮名・中学3年生)は先生や友達との関係が薄れて行っていることを不安に感じている。学習は市教委のホームページの課題や学校のプリントに取り組んでいる。休校のきっかけは、親戚が新型コロナウイルスに感染し重症化したこと。その経験を聞き、人と会うのが怖くなった。さらに一斉休校明けの学校で感染対策が不十分と感じたという。オンライン授業ができれば、つながりを保つことができるのではないかと感じている。ただ、市ではネット環境の整備などが十分ではないことや、授業の様子を配信する際に個人情報が問題になるとして、オンライン授業は行われていない。

■居場所がなくなった子どもたち
一方、学校がとまったことで居場所がなくなった子どもたちもいる。家庭に居場所がない少女たちはSNSを通じて出会った男性と過ごすケースもある。さらに、相談窓口が十分に機能していないことも大きな問題だ。札幌市の調査では10代後半から20代の女性のうち公的な窓口に相談している人はわずか1割にとどまっている。

こうした問題が解決されないまま迎えてしまったコロナ禍。番組では居場所のない女性たちを支援する20代の女性の活動も伝える。