俳優として活躍する森崎ウィンが、ソロアーティストMORISAKI WINとして初となるフルアルバム『Flight』を完成させた。
楽曲制作の過程や歌に込めた想い、そしてライブへの想いをたっぷりと語っていただきました。

――昨年、1st EP『PARADE』を発表する際に「これまで応援してきた方が、またついていきたいと思ってくれるのか、今は勝負かな」とおっしゃってましたよね。

「ちょうどそのころは、いろいろな不安が入り混じっていたと思います。そこから無事にEPもリリースされ、『パレード - PARADE』もありがたいことにCMソングになったり、第一歩は踏み出せたかなと思ってます。あと、言葉の響き的には悪いのかもしれないですけど、開き直れた自分もして。今後の僕はこうやっていくと決めたから、という」

――アシッドジャズを取り入れたり、洋楽テイストが強めなEPはすごく攻めた内容だと感じました。

「そうおっしゃっていただくことが多いんですけど、選曲から自分が携わって、やりたいことをガムシャラにやっただけの印象が強くて。もちろん、そういった音楽が好きだし、挑戦していきたいと思っているので、こうなったのは自然なことだったりもするんです。僕はこれでいきます、ということですから」

――ソロアーティストとして歩み始めて約1年、ついに1stフルアルバム『Flight』が完成しました。より可能性や未来を伝えることができるサイズですし、感慨深いところがあるんじゃないかと思います。

「フルアルバムを作るのはこんなに大変なのか、と初めて知りました。渡された曲を歌うというスタンスの方もいると思うんですが、僕は全部に携わりたい気持ちがあって。ミーティングをして、悩んで、時間は限られているけど答えを出さなきゃいけないし、っていう。反省点もありますけど、そこで新しく見えたモノもあったりして、大きく成長できたなと感じています」
――作品全体として、どういったことをイメージしましたか?

「最初は特にコンセプトがなかったんです。EPから何曲か入れつつ、フルアルバムを作ろう、ということだけ決まっていて。流れとしては、EPがリリースされて、次は思いっきりラブソングを歌いたいという気持ちがあったんですよね。ちょうどミャンマーにも帰れないし、そういった想いを(作詞の)EIGOさんにも伝え、『Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-』が完成して。そこから、フルアルバムのことを考えたとき、『Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-』から空というワードが出てきたり。空でつながっているから、僕の好きな飛行機の曲も入れたいなと思って『Fly with me』ができたり、みたいな流れでした」

――そういったキッカケがあったんですね。

「曲を全部自分から作っているわけじゃないんですけど、上がってきた曲を歌います、というより、こういったイメージで作りたいです、ということを今回はよりできたんです。だから、EPよりもMORISAKI WINという人間を提示する、もっと自分の血が通った、濃くなった作品じゃないかなと思っています」

――1曲ずつ積み上げていき、大きな塊となったわけですが、アシッドジャズやR&B的なアプローチがありつつも、J-POPしか馴染みのない人でも惹きつけられるキャッチーな仕上がりだと感じました。

「ありがとうございます。あとは売れるだけですね(笑)」

――(笑)。確かに、そうおっしゃる意味が分かる作品だと思います。

「自分の作品ですから、好きだし、自信を持って出しているんですけど、あとは数字もついてくればいいな、って思ってます(笑)。ホントにいいチームにも囲まれてるんですよ」

――EPにも参加されたアーティストのSWEEPさんや宮野弦士さんらが今回も参加されてますよね。

「しばらく一緒にやらせてください、とお願いをしました。楽曲制作、歌詞における韻の踏み方、リズムの乗せ方、今の日本の音楽シーンにはあんまりいないけど、それを役者をやりながらの僕がやってるのがまた面白い、というのもあるし。僕自身、音楽は大好きだけど、周りのプロに比べたらまだまだ知識が足りないところがあるので、そこは教えてもらいつつ、勉強しつつ。興味が湧くから努力もできるんです。全部がマッチして作品が仕上がっていった感覚もありますね」
――作品の扉となるべき存在は「Fly with me」かなと思います。

「いちばんツルッとキャッチーだし、リズミカルで聴きやすいと思います」
――イントロから思わずハンズクラップしたくなるようなワクワク感があって、MORISAKIさんのボーカルも軽やかなハイトーンから力強さまで楽しめる1曲です。ただ、難易度はかなり高そうですけど。

「難しいです(笑)。もちろん、技術がついてこない部分もあるんですけど、一生残る作品だし、そのときのすべてを注ぎ込んでますね」

――メッセージとしては「パレード - PARADE」にも通ずるようなところですよね。

「そうですね。『パレード - PARADE』がみんなで行進していこうよ、という内容で、この『Fly with me』はあなたと一緒に行くんだよ、っていう。ただ、先ほどもお話したように、エアバスA380について書いて欲しいとSWEEPさんにお願いしたのがスタートだったんです。そうしたら、僕の気持ちを代弁してくれて、こういった内容になりました」

――エアバスA380は世界最大の大型旅客機ですが、これはWINさんのスケール感を表現したところも?

「あ〜、そんなつもりはなかったんですけど、実際はセスナだったらどうしましょうか?(笑)」

――いやいや、そんなことはないと思いますよ(笑)。

「単純に、僕が今ハマっている飛行機がエアバスA380なんです。それこそ、今回のジャケ写に写っている飛行機も最初はボーイング747だったんですけど、そこはエアバスA380にしてくださいとお願いしました(笑)」

――この曲は歌詞の大部分が英語ですが、これはグローバルスタンダードを意識していますか?

「そこは強く意識してるんですけど…そのときに表現したいことをやる、っていう方が強くて。特にこういったダンサブルな楽曲になると、ボーカルも一種の楽器なので、英語で音としても楽しんでもらえたらいいな、ということを含め、英語を多くしてます」

――その後に続く「パレード - PARADE」はやはりいい曲だなと再確認させられました。

「曲が仕上がってから、これだけ時間が経つと死ぬほど歌ってるし、めちゃめちゃ聴き込んでるので、どこがツボなのか麻痺してくるところもあるんですけど、いまだに憶えてるのがデモを初めて聴いたときのことなんです。聴いた瞬間、でっかいステージで歌って、駆け回って光景が見えた。ブワーッとたくさんの候補曲がある中、この曲は絶対にやりたいと思ったんです」
――他にも気になる曲はたくさんあるんですが、「START IT OVER」は最たる曲かなと。今回、ダンサブルで楽しげな曲も多い中、シンプルなアレンジをバックに、語るように言葉を紡いでいく曲です。

「これ、面白いのがデモとしては「パレード - PARADE」と同時にもらったんです。しかも、そのころはガチガチにダンサブルなアレンジ。曲としてはすごく良かったので、フルアルバムには入れたいと思いつつも、どういった方向性にするかは決まってない状態。そんなときにみんなでスタジオへ入って、もともとのアレンジで聴いてたときに、ギター1本にしてみたらどうかな、と思いついたんです」

――また、「Midnight」はWINさんが作詞をされてますよね。

「これ、僕が作詞、SWEEPさんが作曲とクレジットは分かれてますけど、2人で一緒に作ってるみたいな曲なんですよ。曲の叩き出しは僕が作って、トップラインをSWEEPさんがブラッシュアップしてくれて、という」

――深夜に抱える寂しさが綴られた曲になっています。

「家に帰って、深夜0時手前とかになると、結果一人か、と感じることが多くて(笑)」

――ハハハハ(笑)。この曲、イメージとしてはラブソング?

「そう感じる人も多いと思うんですが、抽象的に捉えてもらえたらいいかな、と。一緒に仕事をしている人や仲間って、家族よりも長い時間を過ごすときもあるし。それを恋人と表現したら気持ち悪いかもしれないですけど(笑)」

――でも、それぐらいの親しい存在ではありますよね。

「僕は自分自身を客観視するのを忘れないようにしてて。だから、今日はこれが伝わらなかったな、とか、もっと自分の気持ちを表現するべきだったな、と考えるんです。いつも、そうやって一人で振り返ってたりして」

――そうなると、この曲の世界観は、深夜のWINさんを描写してるような。

「まさにそうですね。ただ、僕はちゃんと諦めずに伝え続けるよ、という。最初に書いたときは、僕はずっと一人なんだ、という感じで終わってたんですけど(笑)」

――救われないですね、それ(笑)。

「まさにそうスタッフから言われて、諦めたくない自分がいるから、それをそのまま加えました」
――この「Midnight」を挟むように、アコースティックアレンジの「パレード - PARADE」、「Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-」、「WonderLand」が収録されています。これは今回のひとつの特徴ですよね。

「ラジオへゲスト出演したとき、アコースティックバージョンで歌うという企画をやらせていただきまして、それが好評だったんです。それこそ、アコースティックバージョンだけの作品というのも考えたんですけど、せっかく初のフルアルバムだから、そこに入れ込んじゃうのもいいんじゃないか、って」

――3曲とも、息遣い、声の張り上げ方、タイム感が生々しいなと。

「この3曲に関しては、歌と楽器を同時に録ってるんです。お互いを見ながら、まさにライブ感覚でしたね。ミスったときも、その部分だけやり直すこともできるんですけど、お互いに音楽人として、もう1回やるか、となったりもして」

――この生々しさは一発録りだからなんですね。

「とは言っても、集中力も持たないし、トータルで3回ぐらいしか録ってないんですよ。その中でいちばんいいテイクを使ってます」

―ボーカルの力が試される場だったと想像しますが、プレッシャーはいかがでした?

「いや、意外とこっちの方がなかったんです。むしろ、ビート感が決まってて、トラックとして完成してるところへ自分の歌をカチッと落とし込む方がたいへんというか。でも、アコースティックはその場で生まれるモノだし、息を合わせながらできる分、やりさすさがあったりもして」

――ライブと同様、その瞬間だから生まれるニュアンスも良かったりしますよね。

「この「Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-」の最後、一瞬だけ引っかかって声が出なかったところがあって。自分で歌ってても、これは神がかってるな、と思いました」

――今、思うようにライブができない状況があり、5月8日に昭和女子大学人見記念講堂で予定されていた「MORISAKI WIN FIRST FLIGHT」は延期になっていました。

「それこそ、ずっとそのライブへ向けて動いていて。延期にはなったけど、リハだけは進めていたんです。まだ制作段階ではありますが、死ぬほどアイデアが出てくるし。やりたいことがありすぎるんです。この状況を悲観的に捉えるのではなく、同じモノでも、見方を変えるとマイナスではなくなったりするじゃないですか。限られた中だとしても、いかに細部までクリエイティブなモノを作れるのか。それをすごく楽しんでます。
もちろん、延期になったことは残念なんですが、新たな日程は作品がリリースされた後になるじゃないですか。そうなると、ちゃんとお客さんも清書された曲を聴いた上でライブへ向けて動ける。より生の良さを伝えることもできるだろうし。だから、準備期間が増えたんだと超プラスに考えてます」

――今後、ソロアーティストとしてさらに蓄えていきたいことは何ですか?

「もちろん、音楽は奥深いから、もっと知りたいし、勉強したい。今の力じゃ、作曲等も含めて、音楽人として自分を語るにはまだまだ足りないですから。あとは、やっぱり健康ですかね。もっともっと自分の体に対して敏感になって、プロとして長くステージに立てるようにしていかなきゃと思ってます」