子ども番組「天才てれびくん」(NHK Eテレ)の舞台化第2弾「天才てれびくん the STAGE 〜バック・トゥ・ザ・ジャングル〜」が、6月21日(月)から東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで上演。主演を矢部昌暉(DISH//)が務める。

大人になったてれび戦士たちが、失われた“娯楽”を取り戻すため、大昔のジャングルを舞台に戦いに挑む姿を描く本作。脚本は、お笑いから演劇まで幅広い作品を手掛ける川尻恵太、演出は俳優や演出家、脚本家などマルチに活躍する小林顕作が担当する。

現在ダンスロックバンド・DISH//のギター・コーラスを務めている矢部は、かつて“てれび戦士”として番組に出演。同じく「天才てれびくん」シリーズにレギュラー出演していた長江崚行、伊倉愛美、千葉一磨がキャストに名を連ねる。

さらに、今も番組にレギュラー出演中のチャンカワイ(Wエンジン)、舞台版オリジナルキャストとして、伊藤理々杏(乃木坂46)、健人、加藤将、伊藤裕一ら個性あふれる俳優陣が舞台を盛り上げ、「天才てれびくんYOU」で人気キャラクター“マーヴェラス西川”を演じた西川貴教が映像で出演する。

「今の自分があるのは『天才てれびくん』のおかげ」と話す矢部に、当時のエピソードや主演を務めることについての思いを聞いた。

■今舞台をやる意味があると思う脚本

――再び「天才てれびくん」に携わることが決まった時の心境から教えてください。

「天才てれびくん the STAGE」の第1弾が2020年に公演していたのは知っていて、「あ、やるんだ」と注目はしていました。なので、まさか第2弾で呼んでいただけて、しかも僕が主演だなんてと驚きました。今の自分があるのは「天才てれびくん」のおかげと思っているので、その恩返しじゃないですけど、当時いろいろお世話になった気持ちを込めて、しっかりやっていきたいなと思います。

――台本を読んだ感想は?

コロナ禍でいろいろ規制がかかっている世の中で、今舞台をやる意味があるんじゃないかなと思う脚本でした。娯楽がテーマになっていますけど、本当に娯楽って必要なのかが分かりやすく描かれています。子どもが見ても面白いし、大人の方が見ても何か感じ取るものがあるんじゃないですかね。

――大人になったてれび戦士という役どころですが、ご自身を演じるのは難しそうですね。

難しいですよね。演出の小林さんは「自分自身のパーソナルな部分を出してもらいたい」と仰っていたので、何かキャラクターを作るというよりは、素の自分を演じたらいいのかなと思っています。

――素の矢部さんってどんな方なんでしょうか?

素って言ってもいろいろあります。お仕事で人前に出る矢部昌暉は、人前に出る矢部昌暉という役を演じている感覚なんですよ。明るくて、台本に一発ギャグと書いてあれば一発ギャグもしますし。普段はへにょへにょしているけど、やるときはしっかりやるみたいな。本当のオフの時の矢部昌暉とは全く違うんです。なので舞台では、人前で見せる矢部昌暉をそのまま見せられたらなと思っています。

■地方ロケで大目玉「めちゃくちゃ怒られた」

――「天才てれびくん」出演はオーディションだったそうですが、緊張しましたか?

最初は緊張したんですけど、オーディションの内容がおかしくて(笑)。物ボケをやらされたりとか、好きなことと好きなことを組み合わせて、それを披露してくださいとか。僕は寿限無を暗証しながら反復横とびをしました。いわゆる普通のオーディションとは違って、緊張も吹っ飛んで「何やらせるの?」「楽しみだな!」という気持ちになったのは覚えています。

――その後、長江さんと共に「天才てれびくん」にレギュラー出演するんですよね。

この間まで「青山オペレッタ」という舞台に一緒に出ていました。「天才てれびくん」のステージに出ることも決まっていたので、お互いにその話をして「懐かしいね」みたいな。「天才てれびくん」をやっていた時に、僕と崚行ともう一人で歌って踊っていた曲があるんですけど、それを「久しぶりにやってみようぜ! 覚えているかな」って一緒に踊って、「懐かしい! よく覚えているね」って話を(笑)。

――他に「天才てれびくん」で思い出に残っていることはありますか?

「天才てれびくん」のドラマの撮影が当時あって、共演したてれび戦士たちと地方に行って泊まりで撮影したんです。それで盛り上がりすぎて、お風呂に入らないまま夜ふかしして、次の日の撮影にみんなで遅刻しました(笑)。そこでめちゃくちゃ怒られて、その経験がすごく記憶に残っていて…。そのおかげで、今では寝坊では遅刻することが一切なくなりました。

――他に成長したなと思う部分はありますか?

当時、中学1、2年生ぐらいだったというのもあるんですけど、何も考えずにスタッフさんに指示されたことをこなしていたんですよね。だけど、大人になって自分から何かを考えて「ここはこうするべきだ」と実行できるようになりました。「天才てれびくん」に出演していたときって、物事を深く考えていなかったので成長したと思います。

――矢部さんの子どものころが気になりますね。

むちゃくちゃな子どもでしたよ。すぐけがするし、友達にイタズラしちゃうこともあったし(笑)。怖いもの知らずというか、みんなが嫌がるものに突っ込んでいきたくなっちゃうんですよね。おばけ屋敷とかみんな怖がると思うんですけど、自分は全く怖くないので一人でズカズカ歩いて行っちゃったり、ゲテモノ料理とかも興味本位の方が勝って「あ、おいしい」みたいな。昔からそういうところはありました。

――友人からは何て言われていました?

「変わっているね」とはよく言われていましたね。あとは「サイコパスでしょ絶対」とか(笑)。自分じゃ分からないんですよね、それが普通だと思って生きているので。ファストフードがこの世で一番好きな食べ物なんですけど、毎日、毎食食べても大丈夫なんです。そういうところは変わっているなと。仕事柄、食事は気を付けてはいるんですけど、気を付けなかったらずっとハンバーガーを食べていると思います。

――今回は座長としてもみんなを引っ張っていくことになります。最後に意気込みを教えてください。

僕にとって「天才てれびくん」は原点なので、その原点にまた帰ってこられる喜びと、その当時を知っているスタッフさんだったり、視聴者だったりに、矢部昌暉も成長した、大人になったと思ってもらえたらと思います。

あとは座長としてみんなを引っ張って、全員で笑えるような楽しい作品にしたいです。稽古、頑張ります!

◆取材・文=鳥羽竜世