今日日、テレビで見ない日はないくらい引っ張りだこのお笑いトリオ・ハナコ。「キングオブコント2018」(TBS系)での優勝をはじめ数々の賞レースを席巻してきた。そんな彼らが、約2年ぶり5回目となる単独公演『ハナコ第5回単独公演2021「タロウ5」』を6月18日(金)より3日間開催する。単独ライブを控えた今、シンプルなネタの面白さに定評がある3人に、現在のコント愛をたっぷりと語ってもらった。

■シンプルだからこそ老若男女笑えるコント
――ハナコのコントは日常生活にあるけど気付かなかった視点を軸に、秋山寛貴さんと岡部大さんが作り上げた基盤に菊田竜大さんがさりげなく加わることで面白さが増していく印象です。自分たちが思うハナコのコントの特徴と強みは?

秋山:最近、ゾフィーの上田(航平)さんがご自身たちのYouTubeチャンネル(「ゾフィーコントスタジオ ZOFFY CONTE STUDIO」)でハナコについて喋るみたいな企画(「【ハナコ秋山とコントを語る(前編)】ハナコのコントの作り方」)をやってくださったんですが、その時に「(ハナコのコントは)シンプルでいいよね。普通、もうちょっとこねくり回しちゃうというか、複雑にしようと思っちゃうところをハナコはすごくシンプルな設定でくるよね」って言ってもらって、「そうなのかな〜」と。たとえば、就活面接で「入りたい」としか言わないとか。特にシンプルさは狙ってなかったのですが、たまたまそうなっていますね。「それだけであんな出来るのすごいよ!」と褒めていただいてうれしかったです。

――たしかにYouTubeにアップしている「バイト面接に来た 碇ゲンドウみたいな男」などもすごくシンプルですよね。

秋山:あれはもう、単なる悪ふざけですけどね(笑)。

菊田:ネタがシンプルだからこそ、誰が見ても面白いってところが強みかなと。入り組んでないので考えなくてもスッと入ってくる、老若男女笑えるコントだと僕は思ってます。

岡部:秋山もツッコむし、僕もツッコむし、それでお互いボケるし、さらにそこにもう一人、菊田のちょっと変なキャラがいて、みたいな感じでいろいろなシチュエーションでバリエーション豊富なネタが出来るのが強みかなと思いますね。僕がただただ変なキャラをやるネタもあれば、秋山が飄々とボケるみたいなネタもあるし、菊田が何も喋らないけどなんとなくずっと不気味な雰囲気を醸し出しているネタもある。あと、秋山と僕でネタを書いているんですけど、お笑いの好きな系統が違うからこそ、いろんなネタが出来るっていうのもありますね。

――ファンの間では、菊田さんがネタのどこで登場するのかも楽しみの一つになっていますよね。

菊田:「全然出てこないじゃん」っていまだに言われるんですよ(笑)。もうそろそろ減ってきてもいいんじゃないかなと思うんですけど。僕の出番は後だから、そんなすぐに出てこないから、ということをわかって欲しいですね(笑)。でも、いつ出てくるのかをみなさんが楽しみにしてくれてるのは、本当にありがたいです!

■「リモートだから出来るネタもいっぱいある」
――リモートが主流となったこのご時世を活かしたネタ「バイト面接にドッペルゲンガー」など、ハナコは対応力と発想力も本当にすごいなと驚きました。

秋山:これまで舞台でコントをやるのが主だったので、リモートで撮らなきゃいけないとなった当初は、「すごく難しいな…」と思いました。3人で別の画面にいるし、身体もそんなに見えないから、出来ないことだらけで。最初は難しいとしか思わなかったんですけど、ゆっくりといろいろ試していくうちに「舞台では出来ないけど、リモートだから出来ることもいっぱいある」という考え方に変わっていって、それからはすごく楽しめるようになりましたね。岡部やスタッフさん方に「何が出来ますかね?」と相談したら、「グリーンバックでCG使ってみようか」とか「ゲーム画面みたいにしてみるのは?」とか、「岡部を二人映すことも出来るよ」とか、いっぱいアイデアをもらえたのも大きかったです。

岡部:「バイト面接にドッペルゲンガー」は撮るのに1時間くらいかかって、リモートネタの中でも長かったんですよ。

秋山:予定より長くなってしまって。まず一周目を岡部と岡部役の僕で20分くらい撮って、二周目はさっき撮った岡部を見ながら岡部が一人でやったんですよ。岡部は自分の会話を記憶して二周目に挑まなければいけなかったので、「ネタ尺は短めでいこう」みたいな作戦会議をしていたんですが、撮り始めたら岡部が一周目を延ばすもんだから。僕は終わろう終わろうとしてるんですけど、岡部は全然気にせずに伸び伸びとやっていて(笑)。「二周目大丈夫?」って心配だったんですが、岡部はちゃんと一人で何回か聞いて覚えてましたね。

岡部:単純にドッペルゲンガーに興味出てきちゃって、長回ししちゃいました(笑)。結果どっち(の岡部)が先(に撮った)かあんまりわかんなかったよね?

秋山:本当はそれくらいやるべきなんだけど、出来ないと思っちゃってたから。でも、ギリ出来ましたね。あれはすごかったなぁ〜。

――菊田さんは「バイト面接にドッペルゲンガー」の完成品を見てみてどうでしたか?

菊田:…まだ見てないですね、すみません。

秋山:あんな攻めたネタを!? じゃあ結局、一周目(の撮影で)しか見てないってこと?

菊田:そうね。

岡部:あれ? 一周目いたっけ?

秋山:一周目はいたよ。…あれ?

菊田:いたいた。だって、出番あるし。

秋山&岡部:ああ、そっか。

■「(シソンヌ)じろうさんが女装するコントから影響を受けて…」
――(笑)。岡部さんは、「漫才よりもコントをやりたい」という理由で以前のコンビ・エガラモガラを解散したということですが、その時と比べて今、コントへの熱量や取り組み方に変化はありますか?

岡部:ハナコをやり始めた頃の方が、今よりも単純にコントをやっていた気がします。最近はシソンヌさんや(東京)03さんをはじめ他の芸人さんのネタをたくさん見て、演技面などで「ああ、こういうやり方もあるんだ!」と気付かされることが多いので、いざ台本を持って合わせる時にいろいろと試すようになりましたね。

秋山:幅が広がってきてるよね。

岡部:特に(シソンヌ)じろうさんが女装するコントとかは、「本当にこういう人いるよな」と妙に説得力があって、すごく感動します。そういうところから影響を受けて、だんだん自分も女装が好きになってきて、ハナコでの女装コントが前よりも多くなってきているような気がします(笑)。

秋山:前回の単独(ハナコ第4回単独ライブ全国ツアー2019「タロウ4」)、女装コントがちょっと多めだったよね。単独では、そういうハナコ内のちょっとした流行りみたいなものも出ます。

――秋山さんはコントへの情熱はずっと上がり続けていますか?

秋山:そうですね。舞台だけでなく、テレビやYouTubeなどやれるジャンルが増えてきたので。知らずにテレビコントにも憧れていたようで、実際に触れてみると「こんな感じなら、こういうこともできるかも!」とやってみたいことがどんどん出てきて、今すごくコントに対しての天井が上がってきているように感じます。やりたいことが多すぎて整理しないとヤバいなという時期で。『キングオブコント』を優勝した時に、なんとなく自分の中で芸人として半分くらい達成したかなと思っていたのですが、今は「あれ?まだ1、2割かもしれない…」っていうくらい達成率が減っている感じがして。それはコントだけではないんですけど。やればやるほど、やりたいことが増えてますね。どんどんいろんなことをやっていきたいです。

■「フワちゃんを見て『あ、一本コント書けるな』と思った」
――そんなコントに対する探求心が強いお二人ですが、どういう時にネタが思い浮かぶのでしょうか?

秋山:日頃、ネタになりそうなことをメモしていますね。さっきも、収録中にアーティストさんの新曲が流れたのですが、一緒にスタジオにいたフワちゃんが、初めて聞くはずの曲なのに口ずさもうとしてて、「あ、一本コント書けるな」と思いました。そういう初めて聞く曲を瞬時に口ずさめる人がいたらちょっとおかしいじゃないですか? ほとんどコントにはならないんですけど、そういった感じの細かいメモを集めといて、いつか急に「あ! 出来そう!」みたいな感じで生まれますね。

岡部:僕は、秋山とネタの話をしている時に思い付くことが多いですね。

秋山:話が脱線して思い付くっていう。

岡部:「このコントとは関係ないんだけど、こういう設定どうかな?」みたいな感じで、アイデアが急に出てきます。

――一方で菊田さんはもともと漫才師に憧れていて、「コントは他人になり代わらなければいけないから出来ない」と言っていましたが、実際に「ハナコのBuzzリサーチ」(岡山放送)などで自身でネタを書くところから漫才をやっていましたよね。

菊田:2回ほど漫才をやったのですが、今だに漫才師への憧れも漫才欲も変わらないですね。ずっと、できるものなら漫才をやりたです。カッコイイじゃないですか?

岡部:軽いな…(笑)。実際、番組で漫才をやってみてどうだったんですか?

菊田:そうだね…あとはまぁ、稽古次第かな。

秋山:(笑)。悪くなかったってこと?

菊田:そうそう! ネタは悪くないから。

岡部:すごく自信があるね(笑)。でも、ビックリした。ネタ中にボケたら菊田がすっごく笑うから。「あ、笑った…」と思って。たまに思わずネタ中に笑っちゃう人はいるけど、菊田はめちゃくちゃウケてくれて大爆笑してるから。相方があんなに爆笑するのは、初めてでしたね。

菊田:「ここ面白いだろうな」っていう岡部のパートが、ちゃんと面白かったので、「わぁー!! オモシレェーーー!!!」って思って、興奮しちゃったんだよね。本当、楽しかったな〜。

■「最強に面白い漫才ネタがもう一つ出来たら『M1』に!」
――今も漫才のネタを集めたりしてるのですか?

菊田:一つ、最強に面白いヤツは蓄えてるので、もう一つ出来たら「M1」(「M-1グランプリ」テレビ朝日系)にエントリーしようかなと思ってます。

秋山&岡部:(笑)。

――最強に面白い漫才、楽しみにしています(笑)。では、同じトリオとして尊敬したり憧れたりするお笑い芸人は?

秋山:(即答で)バビロン。

菊田:バビロンかいっ! いやでも、面白いよね。

岡部:(笑)。

秋山:僕たちと全くタイプが違うので憧れます。生まれ変わったらバビロンになりたい。

菊田:確かにいいよなぁ〜バビロン。絶対売れるもんな、そのうち!

秋山:おかしいよな〜、何でまだ売れてないんだろう? 早く世間が気付いてほしい!

菊田:絶対売れるよ!! あいつらめちゃくちゃオモロイもん。僕はロバートさんですね。ちょっと…あの方たちを超えるトリオはもう出てこないんじゃないですか、多分。僕、年末年始に、放送してたネタ番組を全部見たんですよ。そしたら、ロバートさんが…面白過ぎましたね。あと、ナイツさん! これが僕の二大巨頭です。ロバートさんは、秋山(竜次)さんの無敵感というか…。何なんですかね!? 秋山さんのあの感じ! 秋山さんがやるキャラは絶対にいないのに、何故かいる感じがするんですよ。あの絶妙な感じが唯一無二と言いますか。演技じゃないんですよね。本当にあの役になりきっているというか、なりきり過ぎてるというか…(ネタのキャラ)そのものなんですよ。

秋山:憑依型だよね。

■「チョコプラ松尾さんとジャンポケ太田さんが凹んでいて…」
菊田:この前、「キングオブコントの会」(TBS系)という番組でロバートさんのコントに参加させていただいたんですけど、秋山さんの独壇場で。秋山さんが大物司会者の役で、強メンを束ねていて…ジャンポケ(ジャングルポケット)さんやチョコプラ(チョコレートプラネット)の松尾(駿)さん、あと…バイきんぐさん! あれ、いたっけな?

岡部:ちょっと! いなかった人言わないで(笑)。

秋山:大先輩を“強メン”でまとめんなよ(笑)。

菊田:(「キングオブコントの会」の出演者一覧を見て)あーはいはい! 他にもロッチさん、03の豊本(明長)さんと飯塚(悟志)さん、シソンヌの長谷川(忍)さん、ライスの関町(知弘)さんとかもいて。もーう! 他の芸人は何も出来ないんですよ。松尾さんと太田(博久)さんが「秋山さん見ると、何か凹むんだよな。もうムリじゃん、勝てないじゃん。って思って、めちゃくちゃ凹む…」みたいなことを言ってて。あのめちゃくちゃ面白いお二人が言うんですよ!? それを聞いてやっぱり秋山さんすごすぎるなって改めて思いました。

秋山:菊田さんも凹む?

菊田:俺はもう全然凹まなかった! むしろエンターテインメントを間近で楽しませてもらったから、「すごいなぁ〜! 素晴らしい‼」と感動したね。

秋山:客だな〜(笑)。

菊田:僕ちょっとそれで松尾さんに怒られましたもん。…怒られたというか、別のところで「松尾さんはやっぱり面白いですね」って言ったら、「いやいやいやいや、お前見ただろ? 秋山さんのあの感じ。めちゃくちゃ面白い…。俺ももっと面白くなりたいんだよ」って悔しがっていたので、「まだその気持ちあるんですね!?」って驚いたら、微妙な顔されて。だって僕、衝撃だったんですよ。松尾さんもめちゃくちゃ面白いじゃないですか! あんなに面白いのに、胡坐をかくこともなくまだまだ上を目指し続けるんだなって。同時にそれを松尾さんに思わせる秋山さんも「やっぱすげぇな!」と思いましたね。

■「東京03さんはすごすぎて怖い…」
岡部:僕はやっぱり03さん。

秋山:うん、無敵!

岡部:見れば見るほど、知れば知るほど、すごいから。怖いですね…。今年も単独(第23回 東京03単独公演「ヤな因果」)を拝見して、面白すぎて何かもう怖かったです。またちょっと芸風が変わっていて、「あ、こんなこともするんだ!」って。

菊田:新しいことやるんだ。

岡部:そう! 進化し続けてるんだよね。「えぇ〜!? また面白いじゃん!!」って常に過去の面白さを超えてくるので…怖いですね。

――ではネタ番組ではなく、トークを求められるバラエティ番組やロケなどに出演して、芸人としての難しさや壁を感じたことはありますか?

菊田:トークバラエティは収録時間内に収まるように、自分のターンがある程度決まっているんですよ。そのターンが、あっても2〜3回とかなので、とにかく少ないんですよね。だから、そこでちゃんと展開とかを作れないと本当にスーッとあっという間に終わっていくので、難しいなと思います。

――なるほど。少ないチャンスをものにしないといけないんですね。では、そんなトーク番組やロケで「すごいな」と思う芸人は?

菊田:誰だろうな…みんなすごいけどな…。あ! ジャンポケの太田さんです。僕、太田さんはバラエティの天才だと思ってるんですよ。オールマイティだなと。リアクションもツッコミもボケも全部出来て、しかも高水準なものをされるので。ジャンポケさんに太田さんがいるって強すぎるなと思いますね。

岡部:ロケはかまいたちさんが、めちゃくちゃ面白かったです。一つのバスでいろいろなところを巡るロケを一緒にやらせていただいた時に、行く場所場所でずっと面白かったんですよ。関西のロケバラエティで鍛えられてきた方々の地肩の強さには毎回本当に驚愕しますね。

■「南キャン山里さんと初共演した時に痺れた!」
秋山:僕は初めて共演した時に痺れたのは、南海キャンディーズの山里(亮太)さん。面白いのはもちろんなんですけど、収録で対面するとパスやフリ方が優しいんですよ。すごく気遣いが見えるというか、「君はこういうことは苦手だけど、これならやりやすいだろ」みたいな感じで話をふってくれて。共演はまだ少ないんですけど、それでもとんでもない能力をお持ちの方なんだろうなと思いました。

菊田:僕はライブでの活動がメインだった時に、今まで会った芸人の中で、トンツカタンの森本(晋太郎)が一番面白い、「こいつ天才だ」と思っていたんですよ。だから、森本にも「お前は天才だから、絶対に売れる。お前は一位だ」ってずっと言ってたんですけど、山里さんにお会いして、「あ…とんでもない人ってやっぱりいるんだ。お笑い界ってやっぱりすげぇな」って思って。その収録が終わった後すぐに森本に「お前、一位じゃなかった」って電話しました。

岡部:ちゃんと伝えてあげるんだ(笑)。

菊田:うん。「お前二位だったわ」って。

秋山:!? 今、暫定二位?

菊田:二位。

秋山:すごいじゃん。

菊田:山里さんは僕の中で衝撃でした。秋山の言う通り、面白いし優しさがすごいんですよね。本当にすごいとしか言いようがないです。

――では、菊田さんの中では今、一位が山里さん、二位が森本さん、三位がロバートの秋山さんということですか?

菊田:あー…それは…別ですね。

岡部:あ、そうなんだ…。別ってどういうこと?

菊田:平場とコントは別。

秋山:なるほどね。でも平場の二位は森本なんだ。

菊田:そう。

岡部:(笑)。

秋山:何か気になって、頭に残っちゃうよ(笑)。

取材・文=戸塚安友奈