芳根京子主演の映画「Arc アーク」が、6月25日(金)より公開される。

本作は、世界的作家であるケン・リュウの短編小説を、「蜜蜂と遠雷」(2019年)などを手掛けた石川慶監督が映画化した作品。人類で初めて“永遠の命”を得た女性・リナの物語が描かれ、芳根はそのリナを熱演。17歳から100歳以上までを繊細に演じ分けた。

芳根「最初に脚本を読ませていただいたときに、とてもステキな作品だなと思いました。でも、今の自分の年齢や経験値では、この役の人間的な深みを表現するのは難しいと思い、自信がありませんでした。それを監督の石川慶さんに正直にお話ししたら、全部受け止めてくださって。『自分が思う最高のスタッフを集めました』とまで言ってくださったので、これは断る選択肢はないなと思って。どこまで自分ができるのかは分からないけれど、このチームでやってみたいと思い、出演を決めました」

17歳で生まれたばかりの息子と別れ、放浪生活を送っていたリナ。19歳で師となるエマ(寺島しのぶ)と出会ったことから、彼女の運命が動きだす。

芳根「10代のときのリナは、自分には全くないものを持っている印象です。もちろん、彼女なりに抱えているものはありますが、10代であそこまで自分を持っているのは、うらやましく感じる人も多いのではないかと思います」

数奇な運命をたどることとなるリナを、どのように演じた?

芳根「10代のリナには伸び伸び生きてほしいと思いながら演じていました。逆に30代以降のリナは、ガチガチに固めるのではなく、現場で感じたことをそのまま出すようにしていました。自分自身かお芝居か分からなくなるぐらい、リナと共に生きられたと思います」

リナがエマから学ぶ“プラスティネーション”と呼ばれる技術。それは、最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生前の姿のまま保存できるようにする仕事だった。

芳根「もし自分が最愛の人を亡くしたらと考えると、難しいですよね。確かに大切な人に会えなくなるのは寂しいけれど、だからこそ死を受け入れることができるのかなとも思いますし…。そういう技術が当たり前の時代になったら、多分考え方も変わってくると思いますが、今の時点で『自分の大切な人をそうしますか?』と聞かれたら、私は即答できないです。答えの出ない難しい問題だと思います」

そしてエマの弟・天音(岡田将生)は“プラスティネーション”の技術を発展させ、ストップエイジングによる不老不死を完成させる。死生観にも通じるテーマから、本当の幸せとは何なのかを問い掛ける意欲作だ。

芳根「私は心も体も健康に毎日楽しく過ごせていたら、それ以上の幸せはないんじゃないかなと思います。ただ、この作品に参加して気付いたのは、今までは生きることと死ぬことが一直線上の対極にあると思っていたんです。だから『死ぬまで頑張ろう』と思っていたのですが、実は生きることと死ぬことは、『Arc アーク』=円弧というタイトルのとおり、円を描いたときの隣同士にあるものなんだと気付いたんですよね。それを知れただけで自分自身がすごく豊かになりましたし、だからこそ一日一日を大切に生きようと思うようになりました」

永遠の命を得たリナが下す重大な決断とは何か。現実と延長上にある未来の物語には、さまざまなメッセージが詰まっている。

芳根「ご覧になった方は、きっと『初めてこんな作品に出合った』と思われる方が多いのではないかなと思います。それぐらい新感覚の映画になっていますし、見てくださる方の年齢や性別によっても感じ方が違う作品だと思います。今はこんなご時世ですが、もしちょっとした息抜きにこの作品を選んでいただけたなら、ぜひ感想を頂けるとうれしいです」