“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)の第6週「大人たちの青春」では、主人公・モネこと百音(清原果耶)が両親・耕治(内野聖陽)と亜哉子(鈴木京香)の馴れ初めを知った。二人の知人でよねま診療所の患者・田中(塚本晋也)から聞いた馴れ初め話を、百音が妹・未知(蒔田彩珠)に伝えた際の“わちゃわちゃ”する姉妹の姿が微笑ましく視聴者の間で話題を集めた。朝ドラヒロインに多い魅力的な姉妹たちについてフリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)

■百音と未知の姉妹感がいい

百音が登米で暮らすようになって初めての冬。よねま診療所の患者・トムさんこと田中(塚本)が、父母の仙台時代の知り合いだったことがわかって百音はびっくり(視聴者はすでに第2週で知っていた)。

田中は楽しそうに両親の馴れ初めを百音に語る。おおかた耕治から好きになったと思ったら、亜哉子のほうがベタぼれと聞いて、百音はさらにびっくり。

しかも耕治は「島に忘れられない人がいる」と相手にしないのに亜哉子は諦めなかったと聞いて意外に感じる。

田中から聞いた話を2015年のお正月、帰省した百音は未知に教えようとするが、「聞きたいような…聞きたくないような」と躊躇する未知。

「う〜っ」「もう聞きたくない」「何がコージー(耕治の昔の愛称)だよ」「ださいよね」などと足をジタバタさせながらしゃべっているところがかわいらしい。

おませな未知は、百音が気象予報士の勉強を若い研修医(菅波のこと)から習っていることに何かを感じ取ってからかう。小鳥が並んでさえずっているような十代の少女たちのたわいないやりとりは、同級生とのやりとりとはまた違って見える。

姉妹ならではの独特な親密感を清原果耶と蒔田彩珠が見事に作りだしている。二人は2002年生まれの同世代ながら、清原は姉だからしっかりしなきゃと意識しながらも少しホワンとしたところのある長女感、蒔田は妹らしく甘えん坊的なところもあるがしっかりしようと背伸びしている次女感をちゃんと出しているから大したもの。

■朝ドラ姉妹は光と影

朝ドラでは、主人公に姉妹がいることがよくあり、彼女たちの関係性によって主人公のドラマが際立っていく。

例えば、百音役の清原果耶は「なつぞら」(2019年度前期)で、主人公なつ(広瀬すず)の妹・千遥を演じた。戦災孤児になった姉妹は、なつは北海道のいい家族に引き取られ何不自由なく成長したが、千遥は親戚の家から置屋の養女と転々とし苦労してきて、なつと千遥は光と影のような関係になった。

「あさが来た」(2015年度後期)でも、主人公あさ(波留)と姉のはつ(宮崎あおい※「崎」は「たつさき」)は光と影。

あさは嫁いだ夫がいい人で幸福な結婚生活を送るが、姉はつは嫁ぎ先が没落し苦労を強いられる。実は嫁ぎ先が逆の可能性があったという運命の悪戯を嘆きながらも、どんなに辛くても「お家(いえ)を守る」ことを第一に頼もしく生きたはつは、もうひとりのヒロインとして愛された。

このように、姉妹はあり得たかもしれないもうひとりの私のような存在として、主人公の生き方を多面的にする。現在再放送中の「ふたりっ子」(1996年度後期)では主人公は双子で、同じ日に生まれ、幼い頃いつも一緒だった二人が別々の生き方をしていくところがドラマティック。

姉妹両方が同じ男性に想いを寄せるエピソードもあって、その相手は誰あろう、「モネ」で耕治を演じている内野聖陽であった。

■苦労した妹は後にヒロインになる?

姉と妹の二人だとその光と影はぱっきりと明確になるが、三人姉妹の場合はちょっと違った雰囲気に。

「まんぷく」(2018年度後期)や「とと姉ちゃん」(2016年度後期)、「花子とアン」(2014年度後期)は三人姉妹で、「エール」は主人公(窪田正孝)の妻・音(二階堂ふみ)が三人姉妹で、長女は松井玲奈、三女が森七菜だった。

三人姉妹だと、二人姉妹のような極端な差ではなく、まんべんなく様々な人生が描かれる。

「まんぷく」は主人公・福子(安藤サクラ)が末娘。上の姉(松下奈緒)が画家の妻で、二番目の姉(内田有紀)は若くして亡くなり、時々幽霊になって登場した。

母と姉二人に愛されのびのび育った三女が、天才発明家・萬平(長谷川博己)と結婚し苦労しながら面白い人生を送っていく。

「とと姉ちゃん」は、「おちょやん」(2020年度後期)で主人公を演じた杉咲花が三女を演じた。主人公・常子(高畑充希)は、早くに父(西島秀俊)を失くしたため父代わりになり、二人の妹を嫁に出すことを目標に仕事に励んだ。

「花子とアン」では、「まれ」(2015年度前期)で主人公を演じた土屋太鳳が三女を、次女を黒木華が演じた。

主人公で長女の花子(吉高由里子)は女学校で勉強するが、次女は製紙工場で働き、三女は嫁ぎ先でひどい目にあったりと子だくさんの貧しい家だときょうだい格差があることが描かれた。

こうして見ると、朝ドラヒロインだった俳優が姉役で参加すること(宮崎あおいや松下奈緒など)、ヒロインの妹を演じた俳優が後にヒロインになるパターンがある。

“主人公よりも苦労した妹役”を演じた者が、後(のち)に主人公になることが少なくない。

すべてがそうではないが、今後のヒロイン予測の参考にしてみたい。蒔田彩珠がいつか朝ドラヒロインになるかどうかは、これからの未知の運命にかかっているかもしれない。