佐藤健主演による映画「るろうに剣心 最終章 The Final」(公開中)と「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(公開中)の表現の違いについて、アクション監督・谷垣健治のコメントとともに掘り下げていく。

観客動員数1400万人を超え、日本映画の歴史を変えたエンターテインメントの頂点として君臨するアクション大作「るろうに剣心」シリーズが完結。

かつて誰も体験したことのない衝撃的なスピードで繰り広げられる超高速アクションと、エモーショナルな人間ドラマが融合したエンターテインメントである「るろうに剣心」シリーズは、日本だけでなく世界中を熱狂させ、世界100カ国以上で配給、世界50以上の国際映画祭に出品され、絶賛された。

そして2021年、2部作連続公開となった映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」で10年の歴史に幕を閉じる。

「The Final」はシリーズ2作目「るろうに剣心京都大火編」(2014年)を超える2021年度実写映画No.1のオープニング興収の大ヒットを記録し、「The Beginning」は、週末動員ランキングで初登場No.1を獲得。

「The Final」も同ランキングで2位となり、日本映画史上初となる1位、2位独占の快挙を達成した。6月22日の時点で「The Final」の累計動員数は275万人、興行収入は38.7億円を突破、「The Beginning」の累計動員数は109万人、興行収入は15.4億円を突破し、2部作合計で観客動員数は384万人を超え、興行収入も54億円を突破している。

そして、「The Final」は緊急事態宣言の影響で、一部地域では映画館で映画を楽しむことができないという状況が公開3日目の4月25日から2カ月間続いてきたにもかかわらず、6月20日時点で興行収入38億円を記録した「花束みたいな恋をした」を超え、2021年の興行収入No.1の実写映画となっており、その勢いはまだまだ続いている。

10年の年月を経て完結を迎えた「るろうに剣心」シリーズ。緋村剣心を演じ続けた佐藤をはじめとする役者陣に、全シリーズの指揮を執った大友啓史監督は、“前作を超える”という信念のもとに常に進化を続け、最終章までたどり着いた。

今や日本を代表するエンターテインメント作品へと上り詰めた同作だが、10年間メインスタッフが変わることなく、作品を重ねるごとに常に進化を続けてきた。そんな今作を支え続けたプロフェッショナルたちがいたからこそ、「るろうに剣心」シリーズは日本を代表する大ヒットシリーズになったと言える。

そこで今回、10年間シリーズを支えた男たちの執念と最終章2部作に込めた思い、さらにこれまでのシリーズで描かれてきた明治の新時代を舞台にした「The Final」と、シリーズ完結作にして動乱の幕末というこれまでのシリーズとは全く異なる時代を舞台にした「The Beginning」の表現の違いについて掘り下げていく。

前作「京都大火編」「伝説の最期編」(ともに2014年)のキャッチコピーは「さらば、剣心。」。そのコピーの通り、アクションもこれまでの3作品でやれることはやり尽くしたような気分があったと、映画「るろうに剣心」公式noteに掲載されたインタビューで谷垣は語っている。

では、そんな中でどうやって「最終章」のアクションを構築していったのか? その答えは“観客”だった。「お客さんが期待している『るろうに剣心』、そしていわゆる“るろ剣アクション”の可能性をどう発展させていくかに注力しました。『The Final』ではキャラクターもたくさん集結しますからね。縁(えにし)という強力な存在がいるにしても、どこか『アベンジャーズ』のような“全員エンターテインメント感”を意識しました」。

そんな“全員エンターテインメント感”のあるアクションを考える工程を、谷垣は“こんな剣心を見せたら、お客さんは喜ぶんじゃないか”と誕生日プレゼントを選ぶような気で臨んでいたという。

「1作目(『るろうに剣心』)のときに、僕らが当時イケてると思ったものを打ち出したら、幸福なことにお客さんにも受け入れられ、喜んでいただけた。物作りをする中でこういうゾーンに入ることは、そうそうあることではないですから。そうすると今度は、どんなことをしたら喜んでくれるかな?ビックリするかな?というね、ちょっとしたサービス業みたいな気分にもなっていましたね(笑)」。

「The Final」では、これまでの集大成といわんばかりのお祭り映画として、「こんな剣心が見たかった!」と感じてもらうことを意識していたというが、「The Beginning」では逆に「こんな剣心は見たことがない…」と、これまでとは全く違う剣心を見せることをとにかく考えたという。

「これまでの剣心は、逆刃刀を使いますから、“連撃”を用いたヒッティング、つまり自然と手数の多い戦いになるわけです。しかし、『The Beginning』では剣心は人斬り抜刀斎であり、真剣を使うので、斬れば血も出るし、当然斬られた相手は死にます。逆刃刀の“ヒッティング”に対してこちらは“スライス”。 つまり、“斬撃”ですね。この違いと、冒頭で見せる凶暴性。そして、瞬殺の殺陣の先にあるものを体感してほしいと思います。そして、『The Beginning』の最後のアクションはドラマ性が強く出ます。そこをどう見せていくか。現場でもギリギリまで話し合いました」とこれまでのシリーズとの決定的な違いを解説。

最後に、谷垣は「るろうに剣心」の現場の醍醐味(だいごみ)について「最初からきっちり決め込むわけではなく、いろんな可能性を泳がせておく。でも、図らずして、ふと決定的なことが起きる。スタッフも役者もずっと『よりベストな何か』を考えているからこそ、そういうことが生まれる場になる。それが僕が感じる大友組の面白さであり、ダイナミズムだと思っています」と語っている。