「映画 太陽の子」(8月6日[金]より全国公開)の完成披露上映会が、7月7日に東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、主演の柳楽優弥、有村架純、國村隼、黒崎博監督が登場。それぞれ作品の見どころや、役に対しての思いを語った。また、当日が “七夕”であることにちなんだ祈願も行われた。

同映画は、柳楽、有村、三浦春馬さんの共演で、”日本の原爆開発”を背景に、時代に翻弄されながらも全力で駆け抜けた若者たちの、 等身大の姿を描いた青春グラフィティ。

太平洋戦争末期に存在した、「F研究」と呼ばれる“日本の原爆研究”。「この研究が成功すれば、戦争は終わる」──そう信じて、実験に没頭する若き科学者・石村修を柳楽が、戦後の未来を見据えて力強く日々を生きている幼なじみの朝倉世津を有村、修の弟で父親の意思を継ぎ軍人となった石村裕之を三浦さんが熱演。

そして、若者たちの未来を守り、彼らの道を厳しくも温かく導く研究室のトップ・荒勝文策に國村、時にいさめながらも子が信じる道を支える愛深き母・石村フミを田中裕子が演じ、どんなに厳しい状況下でも一生懸命に生きる若者たちの姿を描いている。

監督・脚本は「青天を衝け」など多くの話題作を手がける名手・黒崎。彼が10年間大切に温め続けたこの企画に共鳴し、柳楽、有村、三浦、田中、國村、イッセー尾形、山本晋也、そしてピーター・ストーメアが参加。

音楽にはアカデミー賞5部門ノミネートの「愛を読むひと」のニコ・ミューリー、サウンドデザインに「アリー/スター誕生」のマット・ヴォウレスと、ハリウッドスタッフが続々と参加。主題歌は、製作陣の熱い思いを受け止めた福山雅治が担当し、バラード「彼方で」で物語を彩っている。

■語られるチームワーク「この映画にとっての恩人」

主演の柳楽は、冒頭「本日は、このようにお客様がたくさん入ったうえで舞台挨拶をできて大変うれしく思っております。ありがとうございます」とあいさつ。

続けて、有村は「2年前に撮影をして、ドラマの放送も経て、本日無事に完成披露会を迎えることができてとても幸せに思います。この2年の間にも本当にいろいろなことが起きて環境も変わってきましたが、改めてこの作品を皆さんに見ていただいて今一度ご自身の考え方を見直すきっかけになればいいなと思います」と胸の内を語った。

構想に10年の年月をかけたという黒崎監督は、キャスト陣に向けて「『絶対にこれを実現させようよ』と背中を押してくれたメンバーでもあります。僕にとっては、大事な大事な一緒に作った仲間であり、この映画にとっての恩人でもあります」と力強くアピール。

続いて、「脚本を読んでの感想、出ようと思ったきっかけは?」との問いに、柳楽は、「まず、脚本を読み終わった後に、『素晴らしいな、絶対参加したい』と思いました。ただ、実際に研究を重ねていたという事実を知らなかったですし、日米の合作映画になるということで、日本のお客様にどう見られるんだろう、アメリカのお客様にどう見られるんだろうというのがちょっと怖くもあって、簡単にやりたいですというより、覚悟をして参加させてもらいました」と答えた。

さらに、「本当に貴重な時間になりましたし、勉強にもなりましたし、僕自身知らないことがたくさんあったんだなと思いました。僕とか、架純ちゃんとか春馬くんとか、30歳前後の俳優がこういうしっかりとしたテーマの作品に参加して、伝えていくことは意味があることだなと思えるので、本当に最高な時間でした」と振り返った。

有村は「脚本を読んだときに、恥ずかしながらその事実があったことを知らなくて衝撃を受けて、この話を世の中に送り出した時にどうなるんだろうという怖さもあり、責任、覚悟が必要になってくるかなと思いました。」と葛藤があったことを明かし、「黒崎さんが10数年かけて練られたこの企画という事で、すごく熱量を感じました。私は『ひよっこ』で黒崎さんと1年以上過ごさせていただいて、とても信頼している監督でもあったので、ぜひ一緒に挑戦させてくださいということでお話を受けました」と、出演に至った経緯を明かした。

國村は「黒崎監督とは昔からの関係でございまして、よく知っていて、その黒崎さんが『一緒にやろう』とおっしゃてくれたんです。(脚本を)読ませてもらったら『こんなことやるんだ』と。この話は非常にスケールが大きいけれど、歴史的にもすごく大事なことが含まれているなと思いながら脚本を読ませてもらいました」と語った。

■「春馬くんをこれからもずっと愛して大切にしていきたい」

また、「印象に残っているシーンは?」との問いには、柳楽は「海のシーンですね。とても難しいシーンで、陽の関係や、海に入ったりするので衣装などが(濡れてしまうので)一発OKじゃないと駄目という緊張感がありました。映画の撮影現場なんですけど、緊張感は舞台の本番の初日前みたいな。実際本編を見て、すごくいいシーンになったと感じたのは、あの緊張感があったからだと、達成感としてすごく印象に残っています」と語った。

さらに、「春馬くんとは10代前半くらいから一緒にオーディションをしたりするような仲だったんですけれど、戦友というか、ライバルというか。今回は兄弟という関係で関わらせていただいて、春馬くんがこの作品に愛を持って参加してくれたように、僕自身も、参加したメンバーみんなで、春馬くんをこれからもずっと愛して大切にしていきたいなと、そう思える大切なシーンです」とコメント。

有村は「柳楽さんも春馬さんもお仕事をしたことがあったので、自然と幼なじみという関係性ができていて、現場もすごく穏やかでした。作品は戦時下という厳しい環境にありましたが、撮影の合間はすごく笑顔も多かったかなと思います。」とし、「縁側で未来について語り合うシーンがあって、もしかしたら(修と裕之と世津の)3人で会える最後の夜かもしれないというとても切ないシーンではあったのですが、未来に対する望みの詰まったシーンになったかなと思います」と印象に残るシーンを語った。

また、「台本にはなかったのですが、言葉じゃないもので伝えたいなと思って、2人の手をにぎらせてもらったんです。3人の空気感が穏やかでほほ笑ましいシーンになってよかったなと思います」と明かした。

それに対し黒崎監督は「有村さんは普段とても理知的な雰囲気を醸し出していらっしゃる方で、でも演じる時になると、時としてびっくりするような本能的なお芝居をされることがよくあるんです。それをよく存じてましたので、あまりびっくりはしませんでした。“きたな”と思いました」と笑顔。

また、「実在する人物を演じることになってどうでしたか?」との問いに、國村は「実在の人物をコピーするのではなく、あくまでも脚本の世界の中の住人を自分の中でイメージするようにしていました」と答えた。

それを受け、黒崎監督は「当時の日本の学問を引っ張っていた代表的な学者でもあるので、そこはぜひ実在の人を実名で描かせていただきたいというふうに思いました。ただ、この映画は非常にコントラバーシャルな危険な部分もある映画であると覚悟しています。その中で、実在の名前を背負って演じていただくことの覚悟が必要と思い、國村さんにご提案しました。その時國村さんが、『それを映画でやらないと意味ないだろう』とパッと答えてくださって、そのこともまた僕たちを勇気づけてくれました」と感謝を述べた。

■「映画の力でみんなに元気を」七夕の願い

七夕にちなんだ「今年の抱負もしくは願い」を披露する場面では、それぞれ、「映像の力が世界中の人に届きますよように」(黒崎監督)、「やすらぎ」(國村)、「安心安全な世界が訪れますように」(有村)、「映画の力でみんなに元気を」(柳楽)と言葉を掲げた。

有村は「世界中が今混乱状況にあるのかなと思って、いつになったら何も心配事がなく、全世界の人たちが平和に暮らせるんだろうかというのが、永遠のテーマなのかなと改めて思いました。なので、安心安全な世界が一刻も早く訪れてほしいなと思っています」とコメント。

柳楽は「正直今、舞台挨拶が久しぶりで、汗をけっこうかいてきちゃいました(笑)」とおちゃめに額をぬぐいながら、「やっぱりいろいろと予期せぬことが起きている中で、自分も“しっかり前向きに変換していかないと”と心を強く持ってやっています。中でも映画とかエンターテインメントで支えられているなと感じる時があるので、皆さんに元気を与えられるような作品に参加して、ポジティブさを与えていけるような俳優になりたいと思っています」と語った。

最後に、主演の柳楽が代表し「こういう時期にも関わらず来ていただいたことに感謝しています。そして、この作品がこの状況で公開されるという事にすごく意味を感じます。第二次世界大戦中に懸命に生きた人たちから得るヒントのようなものを感じていただけたらうれしいなと思っております。とても意味のある映画ができたと思っておりますので、ぜひ楽しんでください」と呼び掛け、イベントは終了した。

■“僕たちは、未来を作っていると思っていた”

戦況が激化し、最終局面を迎えた1945年の夏。軍から密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室で研究に勤しむ実験好きの若き科学者・石村修(柳楽)と研究員たちは、「今研究しているものが完成すれば、戦争は終わる。世界を変えられる」と、託された国の未来のために情熱的に原子核爆弾の研究開発を進めていた。

研究に没頭する日々が続く中、建物疎開で家を失い、修の家に住むことになった幼なじみの朝倉世津(有村)。時を同じくして、修の弟・裕之(三浦)が戦地から一時帰宅し、3人は久しぶりの再会を喜んだ。3人でのひとときの幸せな時が流れる中、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見た修と世津。

一方で物理学研究の楽しさに魅了されていた修も、その裏側にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。

日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも修は新たな光を求め前を向く。