ハロー!プロジェクトOGによるコンサートツアー「M-line Special 2021〜Make a Wish!〜」が大好評だ。

田中れいな(元モーニング娘。)、鈴木愛理(元℃-ute)、夏焼雅(Berryz工房)、宮本佳林(元Juice=Juice)といった各グループ出身のエースがそろい踏みし、ハロプロ&モーニング娘。のリーダーだった道重さゆみは鈴木と「桃色片想い」をアイドルオーラ全開でデュエット。さらに、17年ぶりのあぁ!(田中、夏焼、鈴木)の復活、つばきファクトリーからソロに移った小片リサの参加、今は女優として活躍する工藤遥(元モーニング娘。)の新曲披露など、わずかな触りだけでもハロプロファンの琴線を刺激するパワーワードがずらりと並んでくる。

今年(2021年)1月から始まったこの「M-line Special」。言うなればOG版のハロコン(ハロプロメンバー総出演の合同コンサート)だが、メンバー構成、セットリストの強さが話題を呼び、半年を過ぎた今も続くロングラン公演となっている。

■磨かれた“現役OG”たちの圧巻パフォーマンス

「M-line Special」の楽しさを挙げるとすれば、まずは贅沢なメンバー構成だろう。冒頭のメンバーはみな、つい数年前までハロプロの看板だった精鋭たち。しかも、グループ卒業後もソロや新ユニットで歌い続けてきた現役パフォーマーだ。便宜上OGと記すものの、進化こそあれブランクは一切ない。圧倒的な“現役感”で見せる歌にダンス、磨き抜かれたステージングはひいき目なしに圧巻だ。

また、共に参加する音楽ユニットBitter&Sweet(田崎あさひ、長谷川萌美)のソウルフルな歌声も聴きどころで、6月末、惜しまれつつも解散したPINK CRES.(夏焼、二瓶有加、小林ひかる)もレギュラーメンバーとして引けを取らない存在感を見せてきた。

そんな彼女たちが作るセットリストはまさに変幻自在。公演ごとにメンバーが頻繁に入れ替わり、顔触れが変わればセットリストもガラリと変化する。鈴木&宮本というレアユニットから始まる公演もあれば、出演全メンバーによるモーニング娘。や℃-uteのヒットナンバーから幕が開けるという公演も。

グループの垣根を越えたメンバー構成、選曲は、さまざまなシャッフルユニットで楽しませていたころのハロコンを彷彿させ、お祭り感あり、驚きあり、懐かしさありのスペシャルな内容だ。また、公演によっては現役ハロプロメンバーもゲスト出演し、これでセットリストはさらに変化する。

■Zepp Tokyoと中野サンプラザホールのセットリスト

例えばこちらは、鈴木、宮本、PINK CRES.による東京・Zepp Tokyo(2月27日)でのセットリスト(Zeep Tokyoセトリ)と、道重、田中、宮本、PINK CRES.、ゲストにモーニング娘。’21の譜久村聖、シークレットゲストに高橋愛が参加した東京・中野サンプラザホール(6月20日)でのセットリスト(中野サンプラザホールセトリ)。

刺激満載の組み立てで、新旧問わず、これを見てワクワクしないハロプロファンはまずいないだろう。前者はまさかの「初恋サイダー」から始まるBuono!祭り。後者は高橋、道重、田中、譜久村が揃ったことでモーニング娘。ナンバーが主軸になり、加えてパートナーを次々に変えていく譜久村シフトも会場を大いに湧かせてくれた。

他公演でも激レアな組み合わせと選曲が出し惜しみなく投入され、高橋がゲスト出演した埼玉・戸田市文化会館(6月26日)では、田中とのモーニング娘。プラチナ期ツートップが復活。さらに鈴木、夏焼、宮本が加わるエースのファイブカードは、純度の高い「ハロプロの歌」を強烈に飛び込ませてくれた。

ちなみにこの「M-line Special」、感染予防策のため声出し禁止、着席厳守だが、ステージを見る、歌を聴くということに集中できるので、この観賞スタイルも決して悪くない。

■ソロコーナーで見えるOGの今のすごさ

そして、忘れてならないのがソロコーナー。各々のファンにとってもっとも楽しみなのはやはりここになるだろう。

田中の圧倒的なリズム感、道重のフェミニンな世界、鈴木のパワフルなボイス、宮本の透明感ある表現力、PINK CRES.のダンスミュージックなど、それぞれが独自のカラーでステージを染め上げながら、グループ時代のソロ曲、卒業後のオリジナル曲を次々と披露していく。工藤からは新曲発表というとっておきのサプライズもあり、女優転向後はステージに立つことが滅多にない彼女だけに、駆け付けたファンにとっては最高のプレゼントになったことだろう。

現在、コロナ禍で単独公演が中止になっていることもあり、ファンにとっては一瞬足りとも目が離せない貴重な時間だったに違いない。

このソロコーナー、イチファンの目線で言えば、他のOGファンに自分が追い掛けるOGの今を知ってもらえるといううれしさもある。本人たちは当然その思いだろうが、ファンにしても、今の楽曲、今のすごさを知ってもらいたいという思いが強くあるものだ。また、ハロプロ出身ではないため、Bitter&Sweetの生歌はここで初めて聴いたという方もいるかもしれない。ハロプロとは毛色が異なる、ハーモニーをメインにした2人の歌唱力、音楽性はきっと耳に響いたことだろう。

■ハロプロの財産をOG流でアップデート

観客にとって馴染み深いハロプロ曲が一番に盛り上がるのは当然だが、「M-line Special」は決して懐メロ大会と揶揄されるものではない。ステージに立ち続けている“現役OG”だからこそのクオリティー、歌唱の圧力は半端なく、鈴木がパワフルに空気を震わせれば、田中は突き抜けるような歌声を響かせる。

グループ時代を調和とするなら、ここでの彼女たちは“個”を前面に出し、非常に攻撃的だ。それでいてぶつかり合う先で、新たな楽曲表現を作り出す。過去のハロプロ曲がメインであるのには違いないが、楽曲は受け継がれる財産。それをまた今、OGたちがアップデートさせているのだ。

最後になるが、「M-line」とはハロプロ卒業メンバーが所属するファンクラブ「M-line club」のことを指す。おそらくこの「M-line Special」は、個別の単独公演が打ちにくいコロナ禍の現状で模索された合同コンサートなのだろう(昨年、単独公演は全て中止された)。単独公演が待ち遠しい気持ちはもちろんあるものの、グループパフォーマンスの、しかもこのメンバー構成での楽しさは間違いなく別格だ。

今のハロプロはグループが5つ、メンバーは総勢58人(記事時点)という大所帯になっている。それだけに今後、卒業後は「M-line club」に移り、ライブステージを継続するメンバーが増えていくだろう。「M-line club」がOGファンクラブという枠を超え、ハロプロのような大きなプロジェクトになり、ソロ活動と「M-line Special」が両輪されていけば非常に面白くなるはずだ。

現在、「M-line Special」は8月公演まで発表されており、これまでゲスト出演だった小片リサも主軸メンバーとしての本格参加が決まっている。地方公演も多く組まれているので、今のハロプロファンも、かつてのハロプロファンも、機会があればぜひ一度は足を運んでみてほしい。

※「M-line Special 2021〜Make a Wish!〜」は政府ガイドラインに沿った感染症対策の下に行われ、立席禁止、マスク着用、声出し禁止となっています。

文:鈴木康道