7月16日(金)より、福岡・博多座で舞台「羽世保スウィングボーイズ」がスタート。博多華丸が主演を務め、物語の重要な鍵となる“タップダンス”や“和太鼓”のパフォーマンスを織り交ぜながら、九州の架空の港湾都市・羽世保(はせぼ)を舞台に、造船会社「羽世保造船」で巻き起こるさまざまな逆境に立ち向かう社員たちの姿や家族愛を描く。

華丸が演じる主人公・五代剛は羽世保造船の溶接工。五代は2人の子供を育てながら、市民フェスティバルでの入賞を目指して和太鼓部の練習に日々精を出していたが、羽世保造船の吸収合併や子供たちとのすれ違いといったさまざまな困難に直面するという役どころとなっている。

そんな「羽世保スウィングボーイズ」について、五代の娘・栞を演じる大場美奈(SKE48)と、五代の後輩・丸本淳平を演じる斉藤優(パラシュート部隊)にインタビュー。前編では、異例だという進み方をしている稽古や“座長・博多華丸”の印象などについて話を聞いた。

■異例のスケジュールで稽古が進行

――まずは今作でお二人が演じられる役柄について教えてください。

斉藤:羽世保造船という造船会社を舞台にしたお話で、華丸さんが演じる主人公・五代の後輩・丸本役です。丸本はある理由から五代の家によく顔を出していて、ほぼ居候みたいになってます。大事なポイントとしては、南沢奈央さん演じる美咲にほれている役ということで、基本的にはロマンス担当ですね(笑)。

大場:私は五代の娘の栞役で、喜怒哀楽激しめな性格のお父さんにそっくりな、結構強めの女の子です。でも、栞には大切な秘密があって、それをお父さんに徐々に打ち明けていくんですけど、お父さんにも秘密があることを何となくかぎつけて、それをどんどん調べていきます。

――お二人の共演シーンが多いと伺っているのですが、そうするとそれは五代家でってことですかね。

斉藤:そうです。何かあれば顔を出すんで、栞ちゃんからは「また来てんのかよ」って煙たがられてるみたいな。

大場:基本的に毎日来ていて、家族だけでいたい大事な日も来ちゃうんですよね。一応「またいるんかい!」みたいに言うんですけど(笑)、栞にとってはもう家族同然だからそんな本気で嫌ってわけでもなくて。

斉藤:そうですね。結構厳しく叱咤激励してもらう感じの間柄ですね。

――叱咤してもらう側なんですね(笑)。この取材の数日前に通し稽古が始まったとSNSで拝見したんですが、稽古の様子はいかがですか?

斉藤:本番まであと2週間を切ったくらい(※取材時)なんですけど、7月1日から通し稽古をやってるんですよ。いつもだったら通し稽古はあと1週間くらい後なんですけど、今回は異例の早さです。タップと和太鼓、歌もあるので、本当に早めに通しをしています。

だから、体感的にはすごく順調なんですけど、ここから細かいところを詰めていかないといけないなので、いつもより大変ですね。初日に座長がもう台本を置いていたんですけど、僕は小脇に挟んでいたんで、バレないようにそっと置きました。

大場:(笑)。

斉藤:気付いたら誰も持ってなくって、危ねっと思って(笑)。普通は顔合わせ、本読みってやっていくんですけど、いきなり立ち稽古だったんで。

――顔合わせも本読みもなかったんですね。

斉藤:スケジュールの都合とかコロナの影響もあって、もう本当に異例の早さで進んでます。

■斉藤「他県から来て博多弁を使う大変さを知っているので」

――今作はタップと和太鼓が大きな見どころだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

斉藤:僕はタップはやらないんですけど、その道のスペシャリストたちが集まっているので本当にすごいですね。稽古場の床って“鳴る”床じゃないんですけど、もう既にすごくて見ごたえがあって、そこに役者陣が一生懸命食らいついています。和太鼓に関しては先生が2人来ていて、1つ1つ見応えがあるので、それがお芝居と混ざり合って1つのエンターテインメントになっているって感じですね。

――和太鼓はすごく体を使うと思うんですが。

斉藤:指の皮がむけて、肩回りがデカくなりましたね。それくらい一生懸命やってます。

――大場さんの音楽的なところでの役割というのは?

斉藤:言ってやんなよ(笑)。

大場:私は全く関係ないんですよ(笑)。

斉藤:(笑)。唯一と言っていいくらい関わらないよね。

大場:歌やダンスをやる方もいますけど、一切関わらないです。お芝居オンリーで。

斉藤:それがまた重要で、関われない理由もあるんですよ。

大場:そうなんです。やれない理由があるんです。

――大場さんは今作の稽古、調子はいかがでしょうか。

大場:初日から楽しいです。私、人見知りなので知らない人が多い場所はいつも緊張するんです。でも、ここは初めて来たときから、“初めまして”のあいさつをしてからの急な立ち稽古も楽しくて。まだお芝居について指導してもらうこともあるんですけど、それに落ち込んでいるより、いろんな人を見て毎日笑ってます。

稽古場の雰囲気がすごく良くて、例えば誰かがちょっと博多弁を間違えちゃったりして1つ笑いが起きたときに、そのシーンに出てない人も笑っていたりして、お芝居のことをみんなで共有して進めていってる感じがすごく楽しいです。お芝居に関してはヤバイヤバイ!って内心すごく焦ってる部分もあるんですけど、その感情をうまく切り離しながら毎日過ごしてます。

――今回のセリフは博多弁なんですね。

斉藤:ほぼみんな博多弁です。僕は大阪出身ですけど、福岡にもう16年住んでいるので、もはや教える立場ですね。他県から来て博多弁を使う大変さを知っているので、理解できないところも詰まるところも気持ちが分かるなって。

言葉って感覚的なものじゃないですか、だから、「みんなここが言いにくいんだろうな」みたいなところも分かるので、気になったところはできる限り「そこは捨ててここだけ言おう」みたいなことを言うようにしています。

――斉藤さんから見て、大場さんの博多弁はどうですか?

斉藤:大場さんは全然良いと思います! 堂々としてればいいんですよ。

大場:(笑)。

斉藤:(栞は)結構気が強い役で、博多弁ってちょっと強めのイメージもあるから、お芝居に合ってると思いますけどね。

大場:皆さんが「ここ違うよ」とか「アクセントこうした方がいいよ」とか、逐一教えてくれて。それこそ、斉藤さんがいなかった日なんですけど、華丸さんに「斉藤君は大阪からの博多弁だから、斉藤君に聞いた方がいい」って言っていただきました。

斉藤:(笑)。そうですね、改めて学んだタイプなので、みんなの気持ちは分かりますね。でも、やっぱり福岡の博多座でやる舞台なので、よりナチュラルな方がお客さんも喜んでくれると思うんですけど、今はもうみんな博多の人も気にならないような感じになっています。相当苦労したと思いますけど。

大場:南沢さんとか昨日もずっとつぶやいてましたよ。下向いてある一部分だけ。

斉藤:セリフ(=意味)を覚える、お芝居(=感情表現)をする、博多弁にするっていう、三段階ある感じだと思いますね。

大場:そう、感情を乗せると余計分からなくなっちゃうんです。先生から“こういうふうに言います”みたいな資料的なものはもらったんですけど、自分のお芝居に乗せたときに、例えば怒った表現にしたときに「ここは上がるの? 下がるの?」みたいな。

斉藤:それでも堂々としておけば大丈夫だから(笑)。

大場:(笑)。

■2人が語る“座長・博多華丸”の姿

――斉藤さんは華丸さん主演舞台には全て出演しているということですが、今回の華丸さんを見ていて何か感じていることはありますか?

斉藤:あんまりよく分からないですけど、“大きな舞台の座長”っていう雰囲気じゃないと思うんですよね。いつも2人で言ってるのは「とにかく怒られたくない」。

大場:(笑)。

斉藤:「俺が!」って感じじゃ全然ないんですよ。演出のG2さんに言われたことを一生懸命やるっていう感じで。「みんなが滞りなくやるためにどうしようか?」みたいな、“庶民的座長”っていう感じですね。この前もマネジャーと「差し入れをいつ入れるか」でもめてましたね(笑)。みんな何時くらいがおなかが減ってるか、すごく細かくミーティングしてました(笑)。

――華丸さん主演舞台初出演の大場さんは、“座長”華丸さんの印象などいかがですか?

大場:ものすごく助けていただいていて、私はまだ演出家さんに指導していただくことも多いんですけど、それを一緒に細かく聞いてくださっていて、私がその感情を出しやすいような演技を何パターンもやってくださるんです。その中で私にハマるものがあったら、それにしてくれる、みたいな。特にそういうやりとりはしていないんですけど、自然とお芝居中にアイコンタクトでやってくれるので、こんな優しい人いる?ってくらい優しいです。