“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)の第10週「気象予報は誰のため?」で第2部東京編が始まった。主人公・モネこと百音(清原果耶)が気象予報士の資格試験に合格し上京、いきなりテレビの天気予報を手伝うことに。百音の前に現れた気象予報士・神野マリアンナ莉子(今田美桜)は百音と真逆の魅力で、SNS でも話題に。本作で朝ドラデビュー、東京編を彩る莉子役・今田美桜の魅力をフリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)

■癒やしの百音に対して明るく元気な莉子

「おかえりモネ」東京編で、百音は銭湯をシェアハウスにリノベーションした汐見湯に住み、テレビ局Jテレの朝の情報番組「あさキラッ」の天気予報コーナーに関わる。

「あさキラッ」では朝岡(西島秀俊)が人気気象予報士で、神野マリアンナ莉子は現場から中継を担当する、いわゆる“お天気お姉さん”的役割を担っている。

莉子は百音と同世代くらいだが、見た目も性格も百音とは正反対に見える。百音は思っていることを周囲にあまり言わずに抱え込んできたし、そもそも自分の気持ちも明確にわからず何年も悩み、ようやく、自分の気持ちに整理がついたところ。

一方、莉子は、どうやら明確な目標があり、そのために今の仕事を頑張っている。チャンスは逃さず常に全力投球。セクハラまがいの男性局員の言動もにっこり笑顔でかわす。が、初対面の百音にもつい「あー会社辞めて事務所入ろうかな 別に私、朝岡さんのポジションにいきたいわけじゃないし」と本音を漏らす隙もある。

莉子が野心と本音を隠し他者を出し抜くようなキャラではないことがわかりホッとした。莉子のポジションは、以前だったら、最初は百音に冷たく当たる意地悪キャラの可能性もあっただろうが、昨今のドラマはあからさまに意地悪な役割は視聴者をしんどくするため、出さないように配慮がされてきているので、莉子もそうではないだろう。

早くも第49、50回では百音と協力して番組のピンチを乗り切った。ふたりがアイコンタクトして息を合わせて番組を進行する姿は麗しかった。

■主人公の友人役を確かな技術で好演

外見も飾り気ない百音に対して、莉子はヘアメイクもファッションも垢抜けて華やか。民放の女子アナのよう。例えば「スッキリ」(日本テレビ系)の岩田絵里奈アナのような感じだろうか。

極上の笑顔をキープし声も張りのある高音で、見る人を元気にする莉子。癒やしの百音に対して元気な莉子を演じる今田美桜は福岡県出身。高校2年生のときにスカウトされて、地元で芸能活動をして人気を獲得し、東京へ活動拠点を移すと俳優としても活躍。

今年2021年4月期の連ドラ「恋はDeepに」(日本テレビ系)にもレギュラー出演していた。主人公(石原さとみ)が所属する海洋学の研究スタッフのひとりの役で、ここでも主人公のいい仲間の役だった。

昨年(2020年)放送された「親ばか青春白書」(日本テレビ系)でもヒロイン(永野芽郁)の大学の同級生で親友役。奥手気味のヒロインと比べて恋多き人物。主人公のお友達役でいい仕事をする俳優は芝居が達者というのが筆者の持論である。

主人公を立てつつ主人公を補う。出すぎず引っ込み過ぎず、ドラマを盛り立てる役割を担うにはセンスや技術が必要だからである。その点、今田は申し分ない。

ヒロインとして主人公を支える役割も担っている。日曜劇場「半沢直樹」(TBS系)シリーズのスピンオフで吉沢亮が主演した「半沢直樹スピンオフ企画 狙われた半沢直樹のパスワード」(2020年 TBS系)ではヒロイン役で、吉沢が演じた主人公と同じ会社の新人。半沢直樹の出向先、東京セントラル証券の新人として吉沢演じる主人公と共に奮闘する姿がいかにも希望に満ちた“次世代”でとても爽やかだった。

ハツラツとした役が多く、「3年A組−今から皆さんは、人質です−」(2019年、日本テレビ系)では、読者モデルもやっていて華のある生徒を演じていた。信念を持って自分を磨こうと努力している点において、この役が「おかえりモネ」の莉子には少し近いかもしれない。

■「花のち晴れ」では小悪魔的ライバルキャラ

そんな今田にもちょっと小悪魔キャラの時代もあった。杉咲花が主人公を演じた「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(2018年、TBS系)ではいわゆる主人公のライバルで、貧しい主人公に対して上から目線のご令嬢。まさに少女漫画から飛び出したようなキラッキラの光を放っていた。

いずれにしても曇りない明瞭さはエンターテインメントには必要である。公開中の映画「東京リベンジャーズ」ではヒロイン。主人公(北村匠海)の彼女役を演じている。いま最も旬な俳優といっていい今田。「おかえりモネ」東京編での活躍も期待している。