コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は関野葵さんがTwitterに投稿し話題となった、京都の縁切り神社での出来事を描いた「元カノと縁を切る話」(原題「縁を切る男」)を紹介。
■“共依存”のカップルに訪れる、切なく幻想的な別れ

京都の安井金毘羅宮という神社は、全国から縁を切りたい人が集まる、通称「縁切り神社」。とあるミュージシャンの男性は、別れて半年経ってもつきまとってくる元恋人・玉山タマとの縁を切るために、その神社を訪れる。すると後日、“くるり”と名乗る怪しい風貌の男から変わったかたちの自転車を渡される。その自転車に乗り、縁を切りたい相手と夜中の二時に神社に来れば、確実に縁が切れるというのだ。

いざ元恋人とその自転車に乗ってみると、ふわりと車体が浮き上がり、不思議な提灯や光とともに二人は安井金毘羅宮に導かれ、“縁切り”の儀式が始まる。空中に浮いた二人は複雑に絡み合ったたくさんの糸で繋がっており、くるりはそれを見て「共依存の典型だ」とつぶやく。

どこからともなく現れた神様がその糸を断とうとすると、男性は心臓が破かれたような強烈な痛みを感じ「縁を切られるってこんなに痛いのか」と叫ぶが、本当にその縁に苦しんでいる人たちは全く痛みを感じないらしく、「あんた本当は切りたくなんてないんだ」と指摘される。

すると男性は、自分の弱さに寄り添ってとことん尽くしてくれる元恋人のことを思って、無理やりにでも縁を切らなければならないと思ったという本心を語り始める。彼女にはパティシエを目指すという夢があるのにもかかわらず、自分が甘えて足を引っ張ってしまっているという罪悪感があり「かっこ悪くて本当のことを言えなかった」と告白する。

そんな本音の告白がありながらも“縁切り”の儀式は無事終わり、縁が切れてしまった二人はお互い「お菓子頑張って」「君も音楽、頑張ってね。」と短い言葉を交わしながら物語は幕を閉じる。

しかし、実は二人の間にはたった一本だけの細い糸が残っており、その余韻を感じさせる終わり方や別れの苦しみを描いた展開に「これは泣く」「切なすぎて刺さる」「“縁”の捉え方が好きです」「また二人はきっと巡り会えるのでは」「二人の今後を応援したい」などのコメントが集まっているほか、8月11日時点で約2.8万いいねを獲得するなど、大きな反響が寄せられている。

今回は、漫画の作者である関野葵さんに、創作の背景などを伺った。

■「縁」という、抽象的だけど確かにあるものを描く

――この物語はどのようにして生まれたのでしょうか?

学生時代、京都に住んでいまして、ある日ふらっと立ち寄った、安井金毘羅宮の存在感に感動して題材にさせて頂きました。

「縁」という、抽象的にも関わらず確かにある、と感じるモノに興味があります。

――特に気に入っているセリフや場面などありましたらお聞かせください。

提灯が付いてきてるシーンが好きです。自分が背景もキャラクターの一部のように描きたいと思っていて、まるで生きもののようだったり、主人公の心情が背景に現せられたり、そういうふうに出来たらなと思っています。

――一方で、描くのが難しかった場面はありますか?

木です。植物は好きですが、どこにベタを入れたらいいのかずっとわかりません…

あとは人間の表情が苦手なので、いろんなものを見て、読んでくれた人がもっと引き込まれるような、そんな表情を描けるようになりたいです!

――Twitterでのアップ後、とても大きな反響があったかと思います。特に印象に残っている読者からの反響があれば教えてください。

実際に神社に行ったことがあるという方々のコメントが興味深かったです。当たり前ですが、人それぞれに膨大なストーリーがあるなと改めて感じました。