9月2日(木)放送のドラマ特区「初情事まであと1時間」(毎週木曜深夜0:59-1:29ほか、MBSほか)第7話では、趣里と渡辺大知演じるカップルが、初情事に至るまでの直前1時間を描く。放送を前に、趣里とメガホンを取った大九明子監督にインタビューを行った。

同作品は、恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を描く恋愛オムニバスドラマ。心も体も裸になってつながるまでの、不器用で面倒くさい、だけどどうしようもなくいとおしい瞬間を切り取る。演出を手掛けるのは、橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平。監督たちが同名コミックを原作に、脚本を書き下ろす。

第7話「プラスマイナス、インタレスティング」で不幸体質の月子を演じる趣里と、メガホンを取った大九監督を直撃。二人が作品に込めた思い、大九監督が思わず高揚した渡辺のある動作など、撮影現場でのエピソードについて話を聞いた。


――原作コミック第1巻に掲載されている「霞と晴樹の場合」を基に作られていますが、原作で描かれているさまざまな話の中から、今回の話を選ばれた理由を教えてください。

大九:「初情事まであと1時間」ということで、さまざまなアプローチが十人十色あると思うんですが、その中でちょっと現実離れしたことを描いているのが際立っているなと思って。

ばかばかしくて面白いものが撮れるんじゃないかと思ったのと、女の子が一歩前に進もうとするところに私が心を寄せるところがあるので、もしかしたらコメディーを超えた何かにトライできるかなと。

――趣里さんは今回の話を聞いたときの心境はいかがでしたか?

趣里:プレッシャーなどがありましたが、「時効警察はじめました」(2019年、テレビ朝日系)ぶりに大九さんとご一緒できるのがとてもうれしかったですし、気合が入って背筋が伸びました。

――大九監督は、どの段階から月子役を趣里さんにお願いしようと決めていたのですか?

大九:「初情事まであと1時間」では、3つのエピソードを撮ることが決まっていたんですが、3話のうちどれかは趣里さんにお願いしようと初めから決めていて。「時効警察」もコメディーといえばコメディーだったんですけど、直球コメディーというのを趣里さんとやったことがなかったので、今回ふざけたことがやれるんじゃないかと。

あとは「初情事まであと1時間」ということで、同世代の俳優とがっつり演じている趣里さんを見るのも楽しみだなというものもあって、「プラスマイナス、インタレスティング」を趣里さんに演じてもらおうと思って書き始めました。

趣里:うれしい…!

■趣里「大九さんの作品に登場する女の子は共感できる部分が絶対ある」

――陽太役の渡辺さんも脚本を書く前から決めていたんですか?

大九:そうですね。渡辺さんにも出てほしいと思って、二人を脳内に召喚して、二人がこうなったら…ということを考えながら脚本を書きました。お忙しい方たちなので、こちらが勝手に出ていただきたいなと思っていても、必ずしも成就するとは限らないので…お引き受けいただき助かりました。

趣里:うれしいですね…。大九さんの作品に登場する女の子って、共感できる部分が絶対あると思うんです。救いの手があるというか…そういうところが本当に大好きです。皆コンプレックスを抱えながらも、今回の作品のように前に突き進んでいくエネルギーというのは、すごく良いなと思って、励まされながら演じさせていただきました。

――大九さんの脚本を読んでみていかがでしたか?

趣里:読みながら「大九監督のこういう感じだ…!」ってうれしくなって、「ウフフ…」って声出して笑っちゃいました(笑)。


――撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

趣里:真摯に作品を作られているという空気がその場全体を包んでいました。(渡辺)大知くんがとっても真面目な方で、私も作品を作ることにエネルギーを注げたので、それも含めて幸せな現場でしたね。あとは大九監督の演出に委ねて…。

――大九監督は、趣里さんと渡辺さんに何かリクエストしたことなどはありますか?

大九:いや…何にもないですね。もう、脚本をお渡しして、現場で一緒に作っていただければと…。

■渡辺大知の“ある演技”に大九監督「手ー!!もうこいつー!」

――撮影をする中で、大九監督が思わずテンションが上がった場面はありましたか?

大九:ベッドにごろんとなるシーンの段取り(本番前)の段階で、「ここでこうして寝転がります…」って言いながら動きの確認をしていたら、大知くんが趣里さんを寝かせるところで、趣里さんの頭の後ろに“ぽっ”と手を添えて寝転がせたんですよ。その時の手がとってもきれいで、思わず「手ー!!もうこいつー!」ってうれしくなっちゃって(笑)。

お二人が演じている月子と陽太を見ていると、「なんてかわいいカップルなんだろう、良かったな〜!かりそめの幸せを味わえ〜(笑)」って、とても幸せな気持ちになりました。

趣里:一瞬の…(笑)。

――趣里さんは、渡辺さんと話し合いながら作り上げた場面はありますか?

趣里:それが、実はなくてですね…(笑)。映画「勝手にふるえてろ」(2017年)では同じシーンがなかったので、今回がはじめましてだったのですが、段取りで動きを確認して本番を迎えるというお芝居の中でコミュニケーションを取りながら作っていきました。でも、その距離感がすごく心地よかったですね。

――月子は陽太に“タメ口”で話し、陽太は月子に敬語で話すという距離感も良かったなと感じました。

大九:勢いでシナリオを書いたものを二人に託してしまったので、せりふに「陽太くん」って書いたり「陽太さん」って書いたりしていたんですが、それを忠実に演じてくれて…。

趣里:そこは思いました!

大九:大した意味はないんです(笑)。

趣里:そうだったんですね…!(笑)

大九:付き合う前の男女って呼び方も定まらないかなっていう意識もどこかにあって、無意識に二つの呼び名を書いていたのかもしれないですね。

――大九監督が特にこだわった点はありますか?

大九:短編なので、全てこだわりながら作りました。衣装合わせの時に、趣里さんが気に入ってくれた猫ちゃんのヘアピンがあるんですが、そのヘアピンを外すタイミングはこだわりました。ちょっとホラーっぽくしたり…。

趣里:あのシーンですね…(笑)。

大九:あのシーン大好き。

――最後に、放送を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

趣里:物語を楽しんでいただきながらも、皆さんの心に何か届くものがありましたらうれしいです!