舞台役者という枠を飛び越えて、崎山つばさは意欲的に新たな挑戦を続けている。その挑戦の一つである主演映画「クロガラス」は成功を収め、2019年に公開された2部作は上映期間が延長される好評ぶりだった。
「新宿の解決屋"クロガラス"がトラブルを解決するお話なんですが、非現実的でありながら、実は人間の本質的なものが描かれているので、多くの方に受け入れていただけたのかもしれません。解決屋のリーダーである黒斗みたいな人間性の役は、僕自身も初めて演じたので新鮮でした」

その「クロガラス」の続編「クロガラス3」(9月3日公開)と、黒斗が解決屋になる前が描かれるエピソード0となる「クロガラス0」(9月17日公開)が決まった。
「純粋にうれしかったですし、意外と早かったなと。シリーズ化できればいいなとはもちろん思っていましたが、想像より早く実現できました。続編を作ることができたのも、『クロガラス1』『―2』の上映期間が延長されたのも、見てくださる方がいるから。大人数で見ていただくこともありがたいですし、一人で何度も見てくださる方がいることもうれしいものなんですね」

撮影は今年2月に行われている。
「3は続きのお話、0は過去のお話。1と2が公開されているので、0はそこにつなげるものでなければいけないという意識が強かったです。黒斗という人間が出来上がるには、相当な過去があったのだろうと思っていたので、自分の中でそこを大切にしながら演じました。一方、3は続編ながら悠哉(植田圭輔)たちの過去も少し描かれています。ただ根本的には先に続く物語なので、1と2では点だったものが本作で線になりました。半面、0と3でまた点になった部分もあります。さらに続編を作っていくことで、そこを線にしてつなげていきたいです」

バディを組む悠哉役の植田に関して、前2部作の製作時に「彼が演じた悠哉と同様、現場のムードメーカーだった」と語っていた崎山。
「植ちゃん(植田)との絆は、本作でより深まりましたね。1と2のときはコミュニケーションを取りながら空気感をつくっていったんですけど、今回はそれを超えて、言葉がいらない関係になれたというか。"きっと、こう思っているんだろうな""こうしたいんだろうな"と悟れる域までいけたような気がして。言葉じゃなく心で通じ合える部分が、今回は多かった気がします。もし僕だけが勝手にそう思っているのなら、ちょっと寂しいですけど(笑)」

悠哉とは真逆で多くは語らない黒斗を、彼はどう見ているのだろう。
「人間的にも行動も、謎の多い人です。何を考えているか分からない。自分で演じていながら、〝黒斗だったらどう思うだろう〟という疑問に対する正解が、分からないこともあって。一筋縄ではいかない人だな、という気持ちが強いですね。そのミステリアスさがまた、彼の魅力になっていると思います」

「クロガラス」は、彼にとっても大きな存在になっている。
「初めて主演させていただいた映画ですが、初という言葉が付くものは、その人にとって一度しかない。それを『クロガラス』で彩れたことは忘れられないと思うし、何十年たったときも自分の起点になるというか、思い出すことが多いであろう大切な作品になりましたね」

上半期は本作の撮影以外にも、テレビドラマへの出演や、アーティストとして音楽活動をするなど、充実した半年間を送っていた。訪れた下半期、どんな崎山つばさを見せてくれるのだろう。
「常に新しい自分を見てもらいたいという気持ちはあるのですが、崎山つばさらしさは忘れたくないと思っています。"ああ崎山つばさ、やってるな"と思われるような(自分)っぽさを、出していきたいですね。そして今後も自分にとって、新たな発見や出会いができたらいいなと思っています」