約10年半ぶり、12枚目のオリジナルアルバム『THE PUFFY』をデビュー25周年タイミングでリリースするPUFFY。ユニコーン、生形真一(ELLEGARDEN、Nothing‘s Carved In Stone)、志磨遼平(ドレスコーズ)、バカリズム、tofubeats等が参加し、様々な楽曲を歌いこなしてきたPUFFYならではのバラエティー豊かな作品でありながら、25周年の道のりが綴られた曲もあり、確かな歴史を感じさせる。

大貫亜美「久しぶりのアルバムですけど、結構長い期間にわたりレコーディングしてたので、『がっつりアルバム作ったぜ』っていう感じでもないんですよね。でもいざ1枚にまとまるととてもミュージシャンらしい活動だなって。ちょっと忘れかけていたものを取り戻した感じがします」

 約5年前からK-POPにハマっているという大貫の押し曲はDJ Mass MAD Izm*プロデュースの「CHOEGOIST」だそう。

大貫「Massくんに『K-POPみたいの作ってよ』って言って作ってもらったんです。別に古参アピールするわけじゃないですけど(笑)、 K-POPポップは子供の友達にいろいろ聞かせてもらったことをきっかけに、5年ぐらい前から聴いてたんです。それでMassくんも詳しかったので、『あれのあれっぽく』とか言っても『あー、分かります』って言って反映してくれて。楽しくかつ楽チンな作業でしたね」

「育児」をテーマに、様々な言葉が飛び交うカオティックな歌詞もまたPUFFYらしい。

大貫「ちょうど私がNHKの『ハングル講座』という番組をやらせていただいたときで『ハングルっぽいのもいいよね』ってなって、知ってる単語を詰めこんだりしました。あとハングルっぽく聞こえるけど、日本語として成立する言葉も意識したり。これまでお母さんとしての気持ちを書いたことがなかったので、2人で『子育てって何が大変だったかね?』みたいなことを相談しながら書いていきました」
吉村「この曲を作り始めたのは1年以上前なんですけど、その間にK-POPの流行も変わってきたから、それも踏まえてラップの部分を増やしたりしたんです。そうやってかなり時間を空けてアレンジを変えていくのは初めてでした」
一方の吉村が特に思い入れのある曲とは。

吉村由美「『すすめナンセンス』は3年前に配信で出した曲ですけど、アニメの『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のエンディング曲ということもあって、未だにちびっ子にこの曲のことを言われるんです。『ちびまる子ちゃん』のスペシャルに私たちがキャラクターとして出たことがあるんですけど、そこで初めて子供の保育園の同級生に存在を知られたんです。『まるちゃんに出てたよね?』って。そこで急にキッズに大人気になった(笑)」

原作者のさくらももこワールド全開の歌詞はシュールさもあるが、PUFFY独自のユニゾンと違和感なく融合している。

大貫「元々メッセージ性があまりないままここまで来たのが良かったのかもしれない(笑)」

吉村「このアルバムで自分たちが詞を書いてない曲はいい意味でわけが分からないものが多いよね(笑)。自分たちで書くと少し真面目になってしまうところもあるのでちょうどいいんですよね」

ドレスコーズの志磨遼平が作曲とプロデュースを手掛けた「罪深いかもしれない」はノスタルジックでネオアコ調の曲。時間や記憶がキーワードとなっている歌詞が沁みる。

大貫「志磨くんには毛皮のマリーズをやってるときに『曲書いてほしい』って言って、『いいですよ』って言ってくれたんだけど、その後すぐマリーズが解散してちょっと戸惑いました(笑)」

吉村「『いいですよ』って言ったとき、もう解散決まってたでしょ?っていう(笑)」

大貫「そう(笑)。それで、改めて頼みづらいような時期を経て、今回こうやって書いてもらえたんです」

吉村「志磨くんは『PUFFYのイメージはこの曲です』って言ってましたね。でも志磨くんのデモテープの歌がすごく良くて、『これ志磨くんが歌った方が絶対いいよね』って思ったけど、頑張ったよね(笑)」

大貫「これ超えるのムズいなってね。歌詞は、志磨くんにどういうイメージで曲を作ったか聞いて。『昼と夜だったらどっち?』とか『キーワードみたいなの考えてた?』とか。そういうのを聞いた上で2人で持ち帰って、じゃあ時間帯はこうで登場人物はこんな感じでとか話して。そうしたら由美ちゃんが『膝を抱えている感じで』みたいなことを言って『あー、分かった分かった』って」

作詞においても2人の阿吽の呼吸が築かれているイメージがあるが…。

吉村「でもすごい簡単ですよ。一人称なのかなんなのか、朝なのか昼なのか夜なのか、色だと何色?という感じで話をして。どっちかが先行で書いたらその空いているところを見て書き足したり。ストーリーが全然違っても何となく色が同じだから違う雰囲気にはならないです。だらか『このことについて絶対書きましょう』っていうことは少なくて」

大貫「それで最終的に、こういう言い方をするとこっちと合わなくなるからこっちを変えようとか。そういう調整をしていきますね。誰か書いてくれたらいいんですけど(笑)」

吉村「でもちゃんとイメージを説明できないよね。説明したくもないしっていう悩むところがあって」

大貫「確かに説明するの野暮よね」

ラストに収められたtofubeatsによる「ALWAYS」は洒脱なビッグバンド風だ。

大貫「まさかこんな曲調でくると思わなかったので、『本当にこれいただいていいんですか?』っていう感じでした。急な大人っぽさに一瞬構えちゃいそうになったけど、すぐに『いつも通りでいいんだ』ってなりましたね」

歌詞にはPUFFYがさまざまな出来事を経て辿りついた、今の境地が滲み出ている。

大貫「経験が出ちゃったみたいな(笑)」

吉村「昔のことを思い出すわけでもなく未来でもなく、現在の社会の中の自分について書きましたね。最後は絶対新曲がいいという想いが大きかったのでこの曲を最後にしました」

デビューから25年と訊くとどういう実感が湧いてくるのだろうか。

大貫「短かったのかな? でもその間にいろんな人に出会って。最近デビュー当時のPUFFYのことを好きだったっていう人に話を聞くと、『若いのにすごい知ってんじゃん!』って思うことが多いんですよね。若い子がそこまで知っているということはそれだけ自分も年を重ねてきたんだなって思うと『25年も経つわ。自分怖っ!』て(笑)」

吉村「20周年から25周年まではビックリするぐらい早かった気がしますね。だからそのスピード感で30周年を迎えるのが恐ろしいです(笑)。まさかそこまでやってないだろうなって思いながらやってたんで」

大貫「30年同じ仕事してるの、怖っ!」

吉村「そう。世の中の定年にしてはまだ早いんだけどね」

ただ、PUFFYではない2人を想像できないところがあるが…。

吉村「だって1人じゃ何もできない」

大貫「かわいい〜(笑)。でも楽しいからな、2人組。それがないときっと何もしてないというか。『PUFFYが一応本業でいいんですよね?』っていう感じで外でいろんなことやったりしてましたけど」

吉村「それにPUFFYじゃないとこんなに楽曲に恵まれないと思う。今急にソロになってもこんなすごい人たちは曲書いてくれないよ」

大貫「良かったよね、PUFFYで。楽しいよ。こんな経験できないし」

吉村「多分同世代で音楽やってたらPUFFYのこと羨ましいだろうし、嫌いになるだろうなって思う。いろんな人と仕事したりとか。好きなことやらせてもらっているイメージもあるから『ずるい』ってなるだろうなって思うくらい、PUFFYで良かったなって思う」

大貫「しかもそう思われたとしても、こっちは何も考えてないイメージがあってさらに腹立たしくなるかもしれない(笑)。でも、よくやってるよっていう感じもあるよね」

吉村「いや、頑張ったよ。大変なこともあったでしょうにね」

そもそもPUFFY結成のきっかけは、ソロでデビューする準備を進めていた大貫が同じ事務所にいた吉村に声をかけたことがきっかけだ。

大貫「出会ったときは、由美ちゃんは大阪から出てきてさぞ寂しいだろうと思ってしゃべりかけたんですけど、『…はい』としか返ってこなくて。でも事務所で会う度に話しかけては、『あ、そうすね…』って言われて(笑)。野良猫を手なずけるようにちょっとずつ餌をあげて、だんだん『あ、手から食べた!』みたいなことになるんです。由美ちゃんはすごくかわいかったので、諦めずに手なずける快感を覚えてました(笑)」

吉村「私は話し掛けられても何も考えてなかった。人と話すのが苦手だったから」

大貫「『優しいな』とか思った?(笑)」

吉村「それも思わなかった(笑)。来る人に対して拒みはしないし、嫌な気持ちはしないけど自分からはいけない。だから友達も、ガチャッって鍵空けて土足で入ってくる人と仲良いんですけど、(大貫は)まさしくそういうタイプだから打ち解けやすかったんです」

2人でいるときの自然体な雰囲気は25年ずっと変わらない。

吉村「20代からの友達と会うと自分の態度も昔と変わらなかったりするじゃないですか。あの頃のまま年齢を重ねていて変わりようがなかったり。でも、私たちの場合変わり方もわからないよね」

大貫「変わり損ねたよね。そのタイミングを逃したとしか言いようがない」

吉村「ずっと一緒にいるしね。何年か会わない時期があったりしたらね」

大貫「そこが『変わったな』っていうタイミングになったりね。この25年、1カ月会わなかったこともないんじゃない? 怖い(笑)。でも結局、由美ちゃんとしゃべってるのが一番面白いんですよね」

吉村「話のテンポ感が合わない人としゃべるのってこの世の中で3番目くらいに疲れることなんですけど、そのテンポ感とか言葉のチョイスが合うから楽しいんだと思う」

大貫「話の内容はくだらないけどね(笑)」

取材・文=小松香里