田中圭主演のHuluオリジナル「死神さん」(毎週金曜、新エピソード配信/全6話)が、9月17日より配信をスタートした。同作は、大倉崇裕の人気同名小説を堤幸彦がメイン監督を務めて映像化した1話完結の痛快ミステリードラマ。田中が扮(ふん)する“死神”と呼ばれる孤高のクセモノ刑事・儀藤堅忍(ぎどう・けんにん)が、警視庁内に存在する謎の部署で犯人が無罪確定となった冤罪事件を再捜査する姿を描く。

小手伸也、蓮佛美沙子、EXIT・りんたろー。、長谷川京子、竹中直人といった個性豊かなキャストが、事件ごとに替わる儀藤の“相棒”役で登場。インパクトのあるビジュアルとセリフ回しが特徴的なキャラクターを演じる田中との“化学反応”も見どころの一つ。

WEBザテレビジョンでは、ダークヒーローを演じる田中にインタビューを実施。演じる上で意識した点や、久しぶりにタッグを組んだ堤監督ならではの演出について語ってもらった。

――クセモノ刑事の儀藤はしゃべり方も独特ですが、役作りで意識した点は?

実は特に意識していませんでした。出来上がった作品を家で見ていた時に、家族から「これ、どうやって練習したの?」って言われるぐらい、息継ぎをするポイントだったり、抑揚のつけ方だったりが独特なキャラクターなんですが、自分の中では何もしていない感覚です。

――セリフの言い回しも自然とあの形に?

そうですね。何も考えていませんでした。

――儀藤は、これまでの田中さんのイメージとは180度違うキャラクターに思えます。実際に演じてみていかがでしたか?

新鮮だなとは思いました。でも、やっぱりどこまでいっても僕なんだなと。良くも悪くもキャラクターが立ち過ぎていないというか、僕がやるとフィクションになりきらないところがあるんです。これは自分の武器だと捉えていますが、どう演じても「こういう人、本当にいるかもしれないよね」という感じになる。ここまで強烈なキャラクターを演じてもそうなるのかって。

そう考えると、もっと思い切っていろいろなことができたんじゃないかなという思いがあります。機会があったら、もう一度儀藤を演じてみたいです。

――堤監督の作品に出演するのは、2007年に公開された映画「包帯クラブ」以来、実に14年ぶり。前回は、堤さんからの“ムチャぶり”がすごかったという話を聞きましたが、今回の現場では?

これは僕に対してではありませんでしたが、ある人がセリフを言う時に手を動かすような演出をされていて。それをやることによって、きっと何か違うんだろうなと思いながら見ていたことはありました。

儀藤に関しては「ここで帽子をギュッって押さえてみようか」とか、たまに演出を足されることがあって、それに素直に付いていきました。監督から言われたことを取り入れたことによって派生する感情や動きは僕らの好きにさせてくれるので。演じる上での取っ掛かりとして、監督のムチャぶりに乗っかっていた感じです。

――堤監督の演出に乗る面白さがあるんですね?

監督からリクエストされた動きをすることで、何かヒントをもらって答えを出す作業があったような気がします。ただ、僕はすごく意地悪なことを考えたことがあって。誰かが監督に「何で、そんな動きをするんですか?」って聞かないかなって思ったりしてました(笑)。すごく我の強い俳優さんだったら、そういうことを言ってもおかしくないですから。

でも、監督と僕らの間には信頼関係があって、お互いに信じているからこそ成立するやり方。堤さんの演出には、俳優にとりあえずやってみようかなって思わせる何かがあるのかもしれません。

――だからこそ“ムチャぶり”にも対応できる、と?

若い頃と違って、ムチャぶりに対して「どうしよう…」と戸惑うことはなくて。その動きをさせるのであれば、こう動いてもいいよねとか、自然の流れで生まれる何かを自分なりに作れるし、気持ち良く乗れることもできる。そういう意味では、すごく楽しかったですね。

――そんな中、儀藤は長ゼリフが多かったですね?

ただただ暗記するだけ。1文字ずつセリフを覚えていきました。

――覚えるコツは?

ないです。ひたすら黙読するだけ。もう、苦行ですよ(笑)。

――今作は、毎回儀藤の“相棒”が替わる点も見どころの一つ。

儀藤が相棒を振り回したり、逆に振り回されたりすることもあって、それぞれとの掛け合いが作品の魅力になっていると思います。だからこそ、儀藤という不思議なキャラクターは絶対的に作品の中で君臨していないといけないなと。

その中で儀藤のリアクションが変わったり、相手に与えるものが少しずつ変わったりしてくる。そのちょっとの差を楽しみつつ、儀藤として変わってはいけない部分も大切にしながら演じていました。

――儀藤の再捜査を手伝う広報課所属の巡査長・南川メイを演じる前田敦子さんの印象は?

あっちゃん(前田)とは3度目の共演ですが、過去の作品ではそんなにしっかり絡んだという印象がなかったんです。だから、初めてちゃんとお芝居をするという感覚が強かったですね。

あっちゃんが作るメイはとても彼女らしさにあふれていて、独特のキャラクターになっています。メイが儀藤のことを慕っている感じがものすごくかわいくて。ドラマの中で、いいアクセントになっているような気がします。

――儀藤の決めゼリフ「逃げ得は許しません」にちなんで、田中さんが許せないと思っていることは?

すごく頑張っている人を、全然頑張っていない人が批判するのは嫌いですね。どんな時も上を向くのは結構しんどいと思うんです。それでも一生懸命前向きに頑張ろうとしている人に対して妬んだり、攻撃するのは、上を向くことを諦めていたり、ずっと下を向いている人。そういう人たちに対してはイラッとするし、腹が立ちます。

――最後に季節ネタを1つ。好きな“秋の味覚”は?

さつまいもです。食べ方は、天ぷらが一番好き。天ぷら屋さんに行ったら、必ず食べます。


◆取材・文=月山武桜