ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズや舞台版「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」などの人気舞台に多く出演し、その高いパフォーマンス力で注目と人気を集める高野洸。2019年からソロとしてアーティスト活動もスタートさせ、今年3月には1stアルバム『ENTER』をリリース、同アルバムを引っ提げた初のライブツアー「高野洸1st Live Tour“ENTER”」も開催した。

この初のソロライブツアーが映像化、10月27日にDVD&Blu-rayで発売されることを記念して、高野に取材を敢行。俳優とアーティスト、どちらの顔も持つ高野ならではの思いや、ライブのこだわりを語ってもらった。

――初のライブツアーを終えて、どんな感情が大きいですか?

高野 不安が大きかったので、達成感が8割くらいですね。でも予想以上に楽しくて、「ライブってこんなに楽しいんだ!」って思いました。1人で歌って踊って、1時間半のライブをやるのが本当に心配で。歌も「最後の方は無理だろうな」とイメージしていたんですけど、始まったら意外と慣れて、だんだんコツをつかんでいく瞬間もまた楽しいですし。パフォーマンスがお客さんに届いて、「ここがまたスタートラインなんだな」と思うとより楽しかったです。

――舞台作品の座長や、役柄としてのライブも経験されていますが、それとはまた違った難しさがあったのですね。

高野 そうですね。体力的な難しさもありましたが、集中力が本当に大事で、全然気が抜けません。舞台では座長だったとしても、自分が出ていないシーンがたくさんあります。だからこそ、自分が出るシーンは決めどころを分かった上で「ここはこうした方がかっこいいな」と思って出ているんですけど、ライブは全部がそこなので。全部に色を付けられるんだろうかという心配もありました。

■ストーリーパートは“自分らしさ”を出せた
――不安もある中、実際にステージに出て、お客さんの反応はいかがでしたか?

高野 一緒に踊るパートは楽しいと言っていただけてうれしかったです。声を出せない中でも熱量を感じました。自分がお客さんだったら、ずっと座って見ているよりも一緒に楽しめる方がライブ感があるなと思っていたんです。それを自分でちゃんとやって、お客さんにも楽しんでもらえた実績ができたので、安心しました。

――「ENTER」ツアーのこだわりや見どころはどこですか?

高野 ど頭のダンスを中心に固めたセットリストも勢いがあって見どころだと思うんですけど、その後、歌詞がつながるように曲を集めたり、映像を挟んだりして、作品みたいなパートを作りまして。僕は“ストーリーパート”と呼んでいたのですが、そこは普段から俳優もやっている僕じゃないとできない味なのかなと思っています。役者としても活動している自分らしさを出せるパートを作りました。

そういうパートを作りたいというのは、以前末吉秀太さんのライブを見に行かせていただいたときに思いついて、そのときから構想を立てていました。途中で末吉さんがセリフを言うところがあって、「自分がライブをやるなら、ストーリーや芝居のパートを作ってもいいかな」と。

――ライブを作り上げる上で、積極的にアイデアを提案するタイプですか?

高野 半々かなぁ。演出の方がセットリストを最終的に修正してくれたりもしました。最初はセットリストもパートとして作っていなくて、散りばめていたんです。でもそれを、さっき言ったような“お客さんと楽しむパート”みたいにギュッと集めた方がいいんじゃないかと提案してくださいましたし、やってみるとそれが絶対に正解だったなと。いろいろなスタッフさんが意見を出してくれて、意見を出し合える仲間だからこそのライブになったと思います。

――具体的には、どのようにライブを作り上げていったのですか?

高野 アルバムを制作する段階である程度ツアーの内容も見えている必要があったので、選曲もバランスを意識しました。いざ本格的にツアーをやると決まってからは、会場が決まり、ステージのセットを作るためにイメージを絵に書いて送ったりして。「これはこうした方がいいよね」とか「これは現実的じゃないよね」とかいろいろありましたが、「スクリーンは絶対に入れたい」と言って、大きなLEDを構えていただきました。固めたのはそこからですね。セットリストを提案して修正して、映像をどうするか話し合って、どの曲で踊るかを決めて…。

――作り上げる過程は楽しかったですか?

高野 全然そんなことないです(笑)。怖さしかなかったですね。

――「やりたかったことができる、やったー!」という気持ちは…?

高野 僕は全然なかったですね(笑)。現実的に見てしまっていて。少し前からツアーをやる予定はあったので、作り始めてからはもう「うわ、やれるんだ」という気持ちはあまりなかったです。

――シビアに、お仕事として見ていたということですね(笑)。

高野 そうですね。ツアーが始まってみたら楽しかったです(笑)。

■「ずっと興味があった」作詞の裏側
――8月にリリースされた5thシングル「Vacances」では、収録の3曲全て作詞に携わっていますね。そもそもなぜ作詞をしたいと思うようになったのですか?

高野 高校生のときから作曲に興味があり、その流れでずっと作詞にも興味がありました。いろんな方の曲を聞いて、「ここの歌詞がすごいな」と思ったりもしていたので、アーティストとして活動するならいつか作詞したいと決めてはいたんです。タイミング的にはアルバムのときかなと思っていたのですが、リードシングル(2020年11月発売の「CTUISMALBWCNP」)を出すことになったので、そこに収録してもいいな、と。そこからですね。

――実際に作詞を始めて、すんなり完成しましたか?

高野 すぐに出てくるときと、こないときがありますね。自分的に「ここの母音が気持ちいいな」みたいな感覚があったりするのですが、それがハマらないときは苦戦します。作詞をする上では、テーマに沿っているかどうかは大前提として、結局は“ハマるかどうか、気持ちいいかどうか”という感覚を大事にしているかもしれません。

「Vacances」のリード曲「サマービーツ」は、サビをキャッチーにしなきゃと思った結果、聞いていて気持ちのいい歌詞になったと思います。好きなところは「Sunny Sunny ミラーボール」のところかな。夏のイメージを集めてメモしていたんですけど、太陽をミラーボールに見立てて、その下で踊っちゃう感じっていいなと思って。入れたいなと思っていたので、良かったです。

■武器は“見せ方”「いろいろな場所で試したい」
――2019年1月にソロアーティストデビューされてから、約2年半が経ちました。その間に、ご自身で「ここは成長したな」と思うところはありますか?

高野 歌ですかね。言語化するのは難しいですが、「ENTER」ツアーでしっかり歌い上げられたことが自信につながりました。アーティストデビューした頃には予想できなかったことです。

――それでは、「ENTER」ツアーを通じて財産になったことは?

高野 自信です。ツアーをやり切れたということはもちろん、ずっと見られていたり撮られたりしていたので、見せ方は格段に成長したんじゃないかなって思います。1stシングルを出したときには見えなかった部分が見えてきた気がして。当時はアーティストという立ち位置に迷っていたところもあるのですが、今は確立して、いちアーティストとして生きていくことを決めたので。

――気持ちが確立するきっかけがあったのですか?

高野 2ndシングルを出したくらいにツアーも視野に入れようと決まり、その辺りからですね。俳優で行こうと思っていたのですが、ソロでアーティストをやらせていただける環境があって、ダンスを小さい頃からやっていましたし、歌も好きだし。それなら俳優一本にこだわる必要はないし、アーティストとして戦えるんだったらしっかり誇りを持ってやっていこう、と。

――“アーティスト・高野洸”の武器は何だと思いますか?

高野 見せ方です。ダンスもそうですけど、スキルだけじゃない“見せ方”の部分は、人一倍舞台の上に立っている僕だからこその武器になると思います。音楽番組など、いろいろな場所で試してみたいですね。

――俳優としての一面とアーティストとしての一面が、お互いにいい影響を与えているのですね。

高野 そうですね。最近めちゃくちゃ感じます。「これは使えるな」と意識するというよりも、“自然とそうだった”という方が多いかもしれません。まさに「ENTER」ツアーがそうでしたけど、自分だけ熱量をがっつり出してエネルギッシュにやるのも悪くはないですが、それでお客さんも肩の力が入ってしまうのはどうかなと思いますし。そういう感覚は、演技にも生きるんじゃないかなと思います。

――最後に、「ENTER」ツアーの、DVDやBlu-rayならではの見どころを教えてください!

高野 特典のメーキング映像ですかね。結構ガチなんじゃないでしょうか(笑)。それから、音や映像のクオリティーがいいと思います! カット割りは、自分を含めいろんな方の意見を交えて出来上がっていますし。音も本当にいいです。録音がしっかりしているな、さすがプロに仕上げていただいたな、と(笑)。