世界中でカルト的人気を博した密室サスペンスを、監督のヴィンチェンゾ・ナタリ初の公認でリメイクした映画「CUBE 一度入ったら、最後」。突如、ナゾの立方体=CUBEに閉じ込められた男女6人の命をかけた脱出劇を描いた本作で、主演・菅田将暉の弟役を演じたのが、若手俳優の山時聡真だ。尊敬する先輩俳優である菅田との初共演、そこでのエピソード、さらには16歳の現役高校生である彼の俳優としての目標やプライベートについても語ってくれた。

■[HEAD]「事務所の先輩との本格的な共演は初、うれしい気持ちでいっぱい」[/HEAD]
――菅田将暉さんは事務所の先輩だと思いますが、共演しての印象は?

僕自身、事務所の先輩と本格的に共演させていただくのは今回が初めてで、うれしい気持ちでいっぱいでした。僕があまりにもドキドキしていていたからか、お昼休憩のときに「一緒に(ご飯を)食べよう」と誘ってくださり、いろんなお話をさせていただきました。

――具体的には、どのようなお話を?

撮影当時、僕が高校受験のタイミングだったので、その話などを聞いていただきました。でも、一番印象に残っているのは、菅田さんが「仮面ライダーW」(テレビ朝日系)に出演されていたときのお話です。「その1年間の1日1日はとても貴重な時間だった」と話されていて、僕も長期間の撮影を経験してみたいと思いました。

■「博人とは真逆の明るい性格なので、彼のことを理解するのは難しかった」
――山時さんが演じた博人は、どういう男の子だと思いましたか?

まず、かわいそうな子だと思いました。これまで生きていて「一つでもいいことはあったのかな?」と思うぐらい不幸を背負っていて、見ていて哀しくなる子でした。僕は博人とは真逆の明るい性格なので、彼のことを理解するのは難しかったですが、撮影当日に監督とお話をさせていただいたことで、博人の気持ちに近づけた気がします。

――「CUBE 一度入ったら、最後」は、理由もわからぬままナゾの立方体に閉じ込められた人たちの不条理ともいえる密室サスペンスを描いていますが、こういうドキドキ、ハラハラの作品は好きですか?

好きです! 今回はリメイク作品ではありますが、オリジナル版に負けないぐらいの迫力とドキドキ感がありました。部屋を進むごとにいろんなトラップが仕掛けられていて、しかもそれが普通の死に方ではないので、見ていて怖かったです。もし自分がここに送られたらどうしようと思って、途中から肩をこわばらせながら見ていました(笑)。

――では、もし自分がこの部屋に送られたら、どういう行動を取ると思いますか?

殺人トラップは怖いし、誰もが自分だけは死にたくないと思うのは当然で、もし逃げられるのであれば逃げたいです。でも、逃げられないのがこの映画で(笑)。だから、もし脱出する手掛かりを得られるのであれば、僕は先頭をきって動くタイプだと思います。とはいえ、僕一人でクリアすることは絶対に無理なので、一緒にいる人たちに協力してもらえるようにお願いして、全員が生き延びることができたら一番いいなと思います。

■「やっぱり朝ドラの反響はスゴイ!」
――ということは、普段の学校生活でも先陣をきるリーダータイプ?

どちらかといえば、ムードメーカー的な感じがあるのかなと。自分ではわからないのですが、小さいころから「明るいね」と言われ続けてきたし、学校でもたまに“一人ネタ”みたいなことを言うと、みんな爆笑してくれるので(笑)。やっぱり楽しいのが一番だと思うし、みんなで仲よくしたいので、周りを引っ張るリーダーというよりも、その場を明るくするムードメーカー的な気質なんだと思います(笑)。

――山時さんは5歳のころ、お姉さんたちと一緒にいたところをスカウトされたのが、この仕事を始めるきっかけだったとか?

そうなんです。最初、僕は姉たちのオマケみたいな感じで、「ボクもやる?」と聞かれて。結局、姉たちは途中で辞めてしまい、僕だけが残っているのですが、僕は人と話すのも好きだし、この世界に向いているのかなと(笑)。それは今回の撮影に参加させていただいても感じたことで、監督と話すことで博人の人物像について深く考えることができたし、自分の中で思っているだけではなく、人と話すことで広がることがこんなにもあるんだなと思いました。

――今はまだ「俳優・山時聡真」と言っても名前と顔が一致する人は少ないかもしれませんが、連続テレビ小説「エール」(2020年NHK総合ほか)で、ヒロイン(二階堂ふみ)が開く音楽学校に通う唯一の男子生徒を演じていたと言えば、「あの子か!」と思う人も多いのでは?

「エール」に関しては、本当にそう言われます(笑)。それまでにも「いだてん〜東京オリンピック噺〜」(2019年NHK総合ほか)や「少年寅次郎」(2019年ほかNHK総合ほか)など、NHKのドラマには出させていただいてはいたのですが、やっぱり朝ドラの反響はスゴイですね。学校の同級生もそうですが、親同士の話にも出てくるみたいで(笑)。僕としても、これまでで一番大きな役でしたし、そういう反響をいただけたということは、みなさんの印象に残る演技ができたからなのかなと思います。すごくうれしかったです。

■「英語を活用できる役にいつか挑戦してみたい」
――それ以外でも「ひきこもり先生」(2021年NHK総合)、「24時間テレビ44ドラマスペシャル『生徒が人生をやり直せる学校』」(日本テレビ系)などの学園ドラマにも出演していましたね。

僕は病弱な役や心優しい役を演じることが多かったのですが、「ひきこもり先生」のときは同じ事務所で同い年の中川翼くんをイジメるシーンがあったんですね。あれは演じていてもひどいことをしていると思ったし、そのシーンのカットがかかったすぐ後、翼くんに「(役とはいえ)ごめんね」と謝りました。もちろん、イジメはあってはいけないと思いますが、(フィクションの場においては)イジメる側とイジメられる側の両方を演じられるのは、僕の俳優としての強みなのかなとも思います。

――今後、俳優として目指していきたいところはありますか?

英語を使った役をやってみたいです。それはハリウッド進出とかではなく、シンプルに英語を活用できる役にいつか挑戦してみたいです。あとは今回共演させていただいた菅田さんや、同じく事務所の先輩である松坂桃李さんのように、見る人の心を打つ芝居をするのはもちろん、それを賞という形で残せるような俳優になりたいです。そのためには、今からたくさんの映画を見て勉強したり、先輩たちとたくさんお話させていただいたりして、人と人との出会いに感謝しつつ、いろんなことを学んでいきたいと思っています。

取材・文=馬場英美