テレビ朝日系で4月2日(日)夜9時より放送される「ドラマスペシャル 人間の証明」。原作は森村誠一が1976年に発表した同名の傑作推理小説で、藤原竜也が主演を務める。

同ドラマは、犯人逮捕に異常な執念を燃やす刑事・棟居弘一良(藤原)が、ある殺人事件を追う姿を描くストーリー。母親に捨てられた過去を持ち「母性」に対して不信感を抱く棟居と、家庭や地位、名声を守るために「母性」を捨てた美容家の八杉恭子(鈴木京香)が対峙(たいじ)する。

単行本・文庫本で累計770万冊以上を売り上げている原作小説は、1977年に岡田茉莉子、松田優作の出演で映画化されている他、設定などを変えた映像化は幾度もされている。しかし、今回は原作に忠実に、終戦直後から1970年代の昭和を背景としたストーリーで描かれる。

そんな本作に主演する藤原が、作品についての思いを語った。

――まずは、初めて台本を読んだ感想をお願いいたします。

この作品は八杉恭子の壮絶なる決断の物語だと思います。母親として、女として生きる一人の女性の人生が、しっかりと描かれていると。冒頭からすごく切なかったです。

一方で、棟居にもある過去があって、一人一人の人生がうまく交差しているんですよね。なおかつ、西條八十の今聞いても非常におしゃれな詩がかぶさっている。これを今からやるのは大変だな、撮影は京都で1カ月か、どんなふうになるのかな…、なんて思ったんですが(笑)、作品としては非常に楽しめた初見でした。

――出演が発表された際に、「欠点のない台本」とおっしゃっていましたが、この脚本の魅力をどこに感じましたでしょうか?

本当に色あせない台本なんだと思います。芝居をやっているとよく思うんですが、素晴らしい戯曲、演劇がなぜ色あせないのかというと、時代って回っているだけで、一歩も先に進んでいないからじゃないかと。だから、また時代はやってきて、同じ戯曲、作品、台本が評価されるのかなって。この台本もまさにそういうことで、時代を経ても共感できる、人の心に強く訴えかけるようなものだと思うんです。

もちろん、原作が非常に素晴らしい作品ですので、台本が無駄のないいいものになっているという面もあります。だから、演じるときは余計なことを考えず、ただ台本に書いてあることを表現すれば成立するので、そこは本当に助かりました。

多くの人たちが知っている作品で、たくさんの俳優さんも演じられてきていますよね。どんな作品に関わってもそうなんですが、常に賛否両論あって、いろんな意見が出て当然。でも、(過去の作品と)比較されることは大変なんだろうなって。皆さんに怒られたらどうしようとか思ったりもしましたね(笑)。

――印象的なシーンはありますか?

冒頭に黒人青年のジョニー・ヘイワードが殺される場面ですかね…。実は、ジョニー・ヘイワードも演じてみたかったんです。僕は母親っ子で育ったから、母に対する思いが強いというのは自覚していて、母を思うジョニー・ヘイワードの気持ちは計り知れないものがあります。

――京都での撮影はいかがでしたか?

すごく寒くてね、それだけは嫌でした(笑)。京都独特の時雨とか、山からくる風花ならぬ“風あられ”みたいなものとか。でも、寒さって人を感動させるところがあるでしょ。それがこの作品に力を与えてくれたらいいな、なんて今偉そうなこと言っちゃったけど(笑)。

琵琶湖の奥の方での撮影では、すごい吹雪でした。でも、そういう寒さも今振り返れば印象的だし、この作品そのもの。寒い中、棟居が佇むシーンや、緒方直人さん演じる刑事・横渡伸介と共に聞き込みに回るシーンなんかは、その雰囲気が表れていたらいいなと思います。

――共演された鈴木京香さんの印象はいかがですか?

本当に大好きな方です。今回も、京香さんは芯の強い八杉恭子として素晴らしく佇んでいました。女性の怖さ、強さを、京香さんがすごく良く表現してくださったんじゃないかと思っています。京香さんが演じられたことで、八杉恭子の言葉に説得力ができて、特に最後のシーンは、すてきなものになっていると思います。

【あらすじ】

昭和49年、東京。ホテルの最上階に向かうエレベーターの中で、一人のみすぼらしい身なりの黒人青年が息絶える。胸には深々と突き刺さるナイフ。頬には一筋の涙が伝っていた。

現場に駆け付けた麹町東署の棟居弘一良(藤原竜也)は、本庁捜査一課の横渡伸介(緒形直人)と共に捜査を開始。青年が向かおうとしていた最上階で聞き込みを始める。

その日、最上階では高名な美容家の八杉恭子(鈴木京香)による盛大なレセプションパーティーが開かれていた。大勢のマスコミや招待客がひしめき、大物議員の夫・郡陽平(中原丈雄)と一人息子・郡恭平(堀井新太)と共にスポットライトを浴びる恭子は、理想の妻、理想の母として日本中の憧れを集めていた。

殺された青年の名前はパスポートからジョニー・ヘイワードと判明する。しかし、恭子のパーティー客に該当する人物はいなかった。

その後の捜査で、ジョニーはアメリカ・ニューヨークのスラム街育ちであること、片言ながら日本語が話せたこと、そして死の間際「ストウハ」という謎の言葉を残していたことが分かるが…。