杉咲花が盲学校に通う弱視の赤座ユキコを演じるラブコメディ「恋です! 〜ヤンキー君と白杖ガール〜」(毎週水曜夜10:00-11:00、日本テレビ系)で、同級生の紫村空を演じている田辺桃子。話題のドラマに連投し、全く異なる顔を見せて注目を浴びている田辺が今挑んでいるのは、視野が欠損するタイプの弱視という難役。しかし、ユキコ役の杉咲花、青野役の細田佳央太による仲良し3人組の撮影は「とても居心地が良くて、めちゃめちゃ楽しく撮影させていただいてます」と、すてきな笑顔を見せてくれた。

――今まさに「恋です!―」の放送中ですが、ご覧になっている方からの声は届いていますか?

はい。よく、ユキコと青野と空の3人のコンビネーションがめちゃめちゃ好きと言っていただけるので、とてもうれしいですし、私自身も一視聴者として楽しくオンエアを見ています。

――杉咲さん、細田さんと3人でいる時は、どんな様子ですか?

青野役の佳央太くんはあそこまで不思議ワールドではないですが、基本あのまんまです(笑)。撮影が始まったときにユキコ役の花ちゃんが「難しい役で、これからお互いに相談とかもして行ったほうがいいと思うから、フランクに接して」と言ってくれて、すごくうれしかったです。私も佳央太くんも同じ気持ちだったので、今は本当にフランクに話しています。すごく居心地がいいですし、めちゃめちゃ楽しく演じさせていただいてます。

――以前、細田さんは真面目すぎるぐらい真面目だというお話を聞いたことがあるのですが…

真面目です! 最初に「タメ口でいいよ」と言ったのですが、本人は敬語が心地いいらしいので、それならそのほうがいいのかな?って。でも、ちゃんとツッコんでくれる時はツッコんでくれますし、たまに敬語とタメ口が混ざる瞬間があるので、最終回ぐらいまでにはもうちょっと仲良くなりたいなと思っています(笑)。

■相談しながら作り上げている
――空は視野が欠損するタイプの弱視ですが、どのように演じているのですか?

特殊なコンタクトレンズなどを使うわけではないので、本当に見えない状況を作れるわけではないですが、盲学校で教わったり、現場でもご指導いただいているので、見えない方の現実問題をお届けしたいと思いながら演じています。どう表現するかは確かに難しいところではありますが、先生方が本当にお優しいので、その都度、相談させてもらっています。例えば、“リアルな感じはこうかな?”というふうにご指導くださるんです。空はとても素晴らしい子なので、難しさよりも彼女を演じられる喜びのほうが大きいです。

――盲学校に行って、驚いたことはありましたか?

最初に衝撃を受けたのは、空と同じ見え方の先生の歩くスピードがとても速いことでした。学校内は白杖なしで歩くのですが、慣れている場所では空間把握ができているので速いんです。階段の段数は全部頭に入ってらっしゃいますし、要所要所で手すりに触れたりすることがルーティーンになっていて、気付いたら、私のはるか前に行ってらっしゃったんです。学校ではたくさんのヒントをいただくことができました。

――空のファッションはとてもカラフルですてきですが、そういった色味のチョイスは見えやすさを重視したものでしょうか?

いえ、そんなことはないんです。空と同じような見え方の方にお話を聞いたら、ファッションは見えやすいものを買い揃えるのではなく、純粋に自分が着たいものを着ていると仰っていました。私も始めはパキッとした色味を選んだり、パーツによって色を揃えて選びやすくしているのかな?と思ったんですけど、そんなことは全然なく、自分の好きなファッションを楽しめていることを知りました。皆さん、それぞれに好きなファッションや髪型をしていて、自分らしくしているんだという部分も伝わったらいいなと思います。

――演じている空はファッション同様にとても明るい子ですよね

そうなんです! 空は強靭な精神力を持っているので、私自身も原作漫画を読んで元気をもらいましたし、これはユキコも空を好きになるよな!と思いました(笑)。

■共感できる部分と受け入れる部分を見つける
――田辺さんは役ごとに印象が違うとよく言われると思いますが、役を演じる際に大切にしていることはありますか?

役に対して絶対的に共感できる部分がひとつ以上はあると思っているので、“ここは共感できる”と思う部分を見つけるようにしています。逆にどうしても分かり合えない部分、例えば、私だったら怒らないけど、このキャラクターは怒るという時はそのキャラクターの考え方を完全に受け入れます。すると、自分が演じているんですけど自分じゃなくなる瞬間が生まれ、その子の考え方に身を任せることができるようになる。演じる際は共感できる部分と、分かり合えなくても受け入れる部分を見つけることを心掛けています。

――なるほど。その共通点と分かり合えない部分は、空にもありましたか?

私はネガティブなことがあっても言い換えをして、前向きに捉えようとするのですが、そこは空と似ている部分だと思います。例えば、オーディションなどでは緊張しますが、緊張していても良いと思うんです。逆に完璧じゃないほうがいいと思っていて、ちょっとした隙があったり、言葉に詰まったりするほうがリアルでいいのではないかな?と置き換えて考えるようにしています。

それから、第6話で空のパーソナルな部分が描かれ、彼女が抱えるトラウマやこれまで経験した悲しい出来事が見えてくるのですが、側から見ているとそこまで怒らなくてもいいんじゃないかな?と思うことでも、彼女は過去の経験から他の人よりツラく感じてしまうので、そこは完全に空の意志だと考えるようにしています。

――第6話では空がマラソンをするんですよね。視力障害のある方が走るということは、とても大変なことだと伺いました。そのシーンへの思いを聞かせていただけますか?

お世話になっている盲学校でも陸上部が期間限定であったそうで、学生さんが楽しそうに参加していたと伺いましたし、パラリンピックでもブラインドマラソンがありました。でも、見る機会はあまりないと思うので、これをきっかけにこういうスポーツがあることを知ってもらえたらうれしいです。そして、空のマラソンに掛ける思いやパッションが伝わったらいいなと思っています。

――最後に田辺さんが感じている作品の魅力を教えていただけますか?

登場人物それぞれが魅力的で、皆さんそれぞれに推しのキャラクターもいると思いますが、その中で私が感じているのは、週の真ん中の水曜日にほっこりできて、真っ直ぐにキュンとできるところです。今はコロナによる新しい生活様式にやっと慣れてきたところだと思うんですけど、やっぱり疲れる部分もあると思うんです。そんな日々の中の週の真ん中でほっこりしたり、キュンとできて、私自身も見ていてうれしくなる作品だなと思っているので、ご覧になる方にもこの作品を見て、また1週間頑張ろうと思っていただけたらうれしいなと思います。


取材・文=及川静