サトミツこと、どきどきキャンプ・佐藤満春。自身が構成兼DJを務めるラジオ番組では膨大な音楽の知識を生かした生放送を展開し、放送作家として「スッキリ」や「ヒルナンデス」、「キョコロヒー」「オードリーのオールナイトニッポン」など多数の番組に携わる。そして、あるときは掃除やトイレの専門家として「有吉ゼミ」などといった番組に出演し、さらにはロケ企画の進行として参加したオードリーMCの番組「日向坂で会いましょう」で号泣。

この連載では、芸人・放送作家以外にも掃除やトイレの専門家などとしても活動し、人形劇の脚本なども手掛けるなどさまざまな顔を持つ謎の男・佐藤について、インタビューなどを通して紐解いていく。

第4回となる今回は、「キョコロヒー」(毎週水曜深夜0:15-0:45、テレビ朝日系 ※一部地域を除く)で構成作家を務める佐藤と、演出・舟橋政宏氏による対談を実施。2人の出会いや「キョコロヒー」制作の裏側、さらには同番組に出演する日向坂46齊藤京子とヒコロヒーについても語った。

■「オードリーのオールナイトニッポン」で初対面

――まず、お2人はどのように知り合ったのでしょうか。

佐藤:僕はオードリーの若林(正恭)くんと舟橋さんが「激レアさんを連れてきた。」(毎週月曜夜11:15-0:15、テレビ朝日系 ※一部地域を除く)で一緒にお仕事をされてて、話をすごく聞いていたんですよ。ハードルが上がっちゃって申し訳ないんですが、若林くんは「すごく面白いスタッフさんがいる」とずっと言ってました。若林くんがそこまで言う人ってかなり珍しいんです。「いつしかお仕事一緒にできたら」と思っていたところ、弘中(綾香)さんが「オールナイトニッポン」をやられたときに、舟橋さんもニッポン放送にいらして、そこでようやくご挨拶ができました。その後、「キョコロヒー」の話を頂いたときは、めちゃくちゃうれしかったです。

舟橋:人生で1番褒められました、今(笑)。恐縮すぎて動揺してます。

佐藤:若林くん本人には言われないですもんね、それはそうですよね(笑)。

舟橋:まったく知らなかったです(笑)。僕は元々お笑いが好きで、オードリーさんのラジオのファンでもあるので、サトミツさんには勝手に親近感を持っていました。サトミツさんとは、弘中さんの「オールナイトニッポン」のときにお会いして、「あ、サトミツさんだ!」と思ってちょっとお話をさせていただきましたし、その後もInstagramでやり取りさせていただいたんですよ。

そのときに、僕もお世話になっているテレビ朝日の藤井(智久)さんという方がいるんですけど、「サトミツさんも藤井さんと関わりがあったんだ」というのが分かって、すごい親近感がありました。「キョコロヒー」をやるときには、日向坂46のことにお詳しいという作家ということで、サトミツさんしか頭に浮かばなかったです。でも今思えば、サトミツさんとお仕事をする口実はないかなと探していた部分もあったなと思います。

佐藤:どきどきキャンプとして、藤井さんが手掛けていた「虎の門」に結構呼んでいただいていました。藤井さんといえば、「キョコロヒー」が始まって数か月後に、ニッポン放送に来ていたんですよ。今思えば、夏目さんが結婚して「マツコ&有吉の怒り新党」が復活したときのナイツ塙くんの声を取りに来ていたと思うのですが。「テレ朝で舟橋さんの『キョコロヒー』を今やってるんですよ」って言ったらめちゃくちゃ喜んでくれたし、「あの番組面白いよな。齊藤京子さんってこんなところがあっていいよな」って言ってくれてうれしかったです。

■佐藤満春の行動に驚き「そんな人は見たことがなかった」

――「キョコロヒー」では、舟橋さんが演出、サトミツさんが作家という関係性です。普段はどういったやり取りをしているのでしょうか。

舟橋:基本的に会議で話すことは大きく2つで、トークの“おかず”というか、盛り上げるきっかけとなるトピックをつくるのと、後半のVTRをどうするかです。そのアイデアを作家のサトミツさんと渡辺佑欣君に考えていただき、そこからどんどん膨らませて会議の中で1番盛り上がったところを収録に持っていくという感じです。

佐藤:「こういうVTRであれば、齊藤さんとヒコロヒーさんは笑ってくれるな」とか、「会議でみんなが面白がってくれたのはここだったな」とか、「キョコロヒー」はピュアに面白いものを提示できる数少ない場所なんですよ。だからこの番組の会議はめちゃくちゃ楽しいです(笑)。

――「キョコロヒー」で仕事を一緒にする前と後では、お互いの印象は変わりましたか。

佐藤:僕は若林君に聞いていた通りの人って感じですね。長年の感覚値で、「若林君がこういう風に言う人はこういうセンスがある人なのかな」と想像がつくので、予想通りにすごくセンスがある方です。

舟橋:僕はビックリしたことがあって。会議の終わりに「次の会議までにこういう案をお願いします」と伝えるんですけど、普通みんなは“ケツ合わせ”で、次の会議の開始直前に送ってくるんです。でもサトミツさんは、会議終わって1時間くらいで送ってきてくださりますよね。そんな人は見たことがなかったのでビックリしました。

あと、会議では「こういうとき、演者さんってどう思うのかな」「芸人さんってこういうのやりにくいのかな」って想像しながらの作業が多いのですが、実際に芸人さんであるサトミツさんはちゃんと答えを持っているので、すごくありがたいです。だからとめどなく仕事が舞い込んでいるんだと思います(笑)。

佐藤:(笑)。でも、僕の中では「キョコロヒー」をやらせてもらってるということが、1つの名刺になっています。「あの面白い番組をつくってるということは面白いんだね」って思ってもらえるので、仕事は増えた理由としては「キョコロヒー」がかなりでかいと思います。

■誰も考えてない組み合わせ…「キョコロヒー」誕生秘話

――舟橋さんにお聞きします。「キョコロヒー」は齊藤さんとヒコロヒーさんの組み合わせですが、どのように思いついたのですか。

舟橋:元々はヒコロヒーさんと何か番組が出来たらいいなと思っていました。大喜利やネタが面白い事は知っていましたが、みなみかわさんとの「もう二度と松竹を辞める人間を出さないでおこうTV」をキッカケに色んな動画を漁って、ネタのエッジもすごいし、トーク中も一言のキレ味で笑いをとっていてすごく面白い方だなと。noteで書いていたヒコロヒーさんの文章も読んでいたんですが、「そういう気持ちも言葉にできるんだ」っていう言葉の解像度がすごく高いと感じました。

で、「バラバラ大作戦」の枠でダンス番組を1つやりたいとの募集があって、若手でもないので、遠慮しようかなと思ったんですけど、「ちょっと強引だけどこの枠でヒコロヒーさんの番組をつくるぞ」と (笑)。テレビに出るヒコロヒーさんが、“やさぐれ”とか“毒舌キャラ”と当時言われがちだったので、そうじゃなくてじっくり会話を見せられる番組がいいなと思いました。そうなったときに、「夜中にヒコロヒーさんと同じトーンで会話をして聴き心地が良さそうで、まだ誰も考えてない組み合わせは誰だろう」と考えたら、齊藤さんだと思いました。

齊藤さんはもともと声やパフォーマンスがカッコ良いなと強く印象に残っていて、あのキャラクターとビジュアルとのミスマッチ感も面白いなと思ってました。「齊藤さんって今ぶりっこキャラなの!」というのも気になりましたし(笑)。あとは、さらば(青春の光)さんとラジオをやっていて突拍子もない言葉を放り込むのが面白くて、あの感じでさらばさんと話せるということは、さらばさんと近い関係性のヒコロヒーさんともきっとしゃべれるだろうなと思い、オファーしました。スタート前は、2人は共感しあっていくんじゃないかなと思っていたんですけど、そこはだいぶ違いましたね(笑)。

■予定調和にならない齊藤京子、“相手を待つ”ヒコロヒー

――齊藤さんとヒコロヒーさんの魅力をそれぞれお聞きください。

佐藤:ヒコロヒーさんはワードセンスもそうですし、人のことをちゃんとたてたうえでツッコんで笑いで落とすという技術がずば抜けています。齊藤さんはグループとしてじゃなくて、より素を出すというか、思いっきり「齊藤京子」としていられる場所にこの番組がなっていると思います。「このテーマでトークをしましょう」と言っているのに「思いつかなかったです」って言っちゃうとか、彼女が持っているある種のやばさが出ているなと。それでいてまったく嫌味がなく、ピュアに「ないからない」って言ってるんだなというのも分かりますし。それへのヒコロヒーさんも嗅覚がすごいので、面白く転がるなと思った瞬間に、ちゃんと踏み込むんです。だから2人の良さが出ているなと感じます。

舟橋:齊藤さんは嘘を言わないというか、本当のことしか言いません。それが結果的にバラエティーのセオリーと逆にいくので、予定調和にならない気がします。「普通の人だったらこの言葉を使う」というところを、齊藤さんは別の言葉を代用して造語するので、面白ワードがいっぱい生まれるんですよ。でも後々よく考えてみたら、すごい芯食ったことを言っていたというのも結構あって。ヒコロヒーさんは話術がすごくある方ですし、サトミツさんがおっしゃったとおり、言葉の表現力がすごいので、齊藤さんがヘンテコなことを言った時、その状況をしっくりくる言葉で表現して笑いにしてくださいます。あと普通の人よりも、すごく“相手の話を待ってくれる時間”が長い気がします。

佐藤:あー、それはありますね。齊藤さんってツッコもうと思ったら、二言目とかでツッコめちゃうんですけど、話をよくよく聞いていると本当に変な話だったりするから(笑)。ヒコロヒーさんがそれを聞いてくださるというのは、ありますね。

舟橋:ヒコロヒーさんは、普通だったら早めにツッコんじゃうところを言い終わりまで聞くというか、待ったうえで一言バンっと仕留めてから次にいけるからすごいですよね。

――「キョコロヒー」は「バラバラ大選挙」で視聴者投票1位になったり、時間帯が昇格したりと好調ですよね。

佐藤:「この面白さが伝わるかな」というのはあったりするんですけど、しっかり伝わっているということなんでしょうね。ちょっとシュールすぎたかなというのもたまにあったりするんですけど(笑)。

舟橋:「なるべく本当に面白いと思ったものをやる」というのは意識してますよね。シュールすぎたかなと思っても、「やりたいんだからしょうがない。見てください」っていう気持ちです(笑)。

佐藤:舟橋さんにその覚悟があるのがすごくいいなと思っています(笑)。

舟橋:だから放送して「なんだコレ」ってなった企画もとりあえず続けます(笑)。時間帯が昇格したことで、番組の構造が複雑になりすぎないように変えた部分もあるんですが、「あの2人を笑わせるために面白いと思ったものをつくれば、その先にいる視聴者の皆さんにも面白いと思ってもらえるはず」っていうようにはずっと考えています。

■新番組の構想語る「もう中学生と丹生(明里)ちゃんが…」

――舟橋さんとサトミツさんで、今後「こんな番組をつくりたい」というものはありますか。

舟橋:「もう中(学生)さんで企画を考えたい」とは話してましたよね。

佐藤:もう中学生と日向坂の丹生(明里)ちゃんみたいな超ピュアな人が芋ほりに行くみたいな番組をやりたいねと話してたんですよね(笑)。お笑い番組をやりたいと思いますが、すごくお笑いから遠いところに対してお笑いでアプローチするような番組もやりたいです。

舟橋:僕もそう思います。「あの人の、この側面に光が当たってないな」というようなことに対して、「この人は本当にすごいんだよ」ということを伝えることをテーマにやりたいです。サトミツさんも、そういうところに光を当てるのが上手な方だと思いますし、僕もそういう番組をつくりたいといつも思っているので、いつかやりたいですね。