吉沢亮が主演を務める大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。同作は、新一万円札の顔としても注目され、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が幕末から明治へ、近代日本のあるべき姿を追い続け、時代の渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも高い志を持って未来を切り開いていく姿を描く。

これまで「青天を衝け」は、栄一(吉沢)が生まれ育った武蔵国・血洗島村と草なぎ剛演じる徳川慶喜が生きる江戸で物語が進行していたが、時代は明治へ。栄一は、明治新政府の役人を経て、実業家へと転身。慶喜は静岡で家族と共に暮らしていた。

晩年まで、その交流が途絶えることのなかったという栄一と慶喜。WEBザテレビジョンでは、慶喜を演じる草なぎにインタビュー。最終回に向けての慶喜の見どころや、大河ドラマでの思い出、主演の吉沢についてなどを聞いた。

■草なぎ剛インタビュー
――これまでの撮影の中で印象に残っていることなどはありますか?

1年以上同じ役を演じるという事が、これまでなかったのでたくさん印象深いことがあります。今振り返ってみると…慶喜がウマに乗っているシーンは時代劇ならではだと思いますし、あまり放送では流れませんでしたが、たくさん練習したんです(笑)。

コロナ禍での撮影だったので、スケジュールとかも変わって、撮影期間が少し空いたときに、また乗馬の練習をしたりして、とても思い出に残っています。

――慶喜にとって栄一とはどのような存在だったのでしょうか。

年齢も2つしか変わらない同世代だけど、違う環境で育ってきて…。
でも、慶喜にとって運命共同体のような、傍にいてほしい、傍になくてはならない人だったのかなと思います。出会ったときから栄一に何か感じるものがあって、慶喜が自分の人生を全うする上でなくてはならない存在なのだろうなと。そして、実際に演じていて、僕もそのように感じました。

■草なぎ剛「慶喜を演じ切ることができたのは栄一、亮くんのおかげ」

――吉沢亮さんへの印象はいかがでしょうか

僕の方が長く生きていて、一応先輩ではあるのですが、役となるとそういうのは関係なくて。亮くんから伝わってくる、今回の大河ドラマや栄一を演じることにかける想いに僕も感化され、真っ直ぐな栄一のまなざしが素晴らしいなと思いながら、僕もピュアなお芝居ができました。
慶喜を演じ切ることができたのは栄一、亮くんのおかげです。

――年を重ねた栄一と対面したときはどのように感じられましたか?

ずっと一緒に撮影してきていたので、2人の空気感が出来上がって来たなと感じました。長く撮影期間がある大河ドラマの醍醐味だなと思います。
僕の大好きな家臣たち、円四郎(堤真一)たちはみんな先に亡くなっていきましたが、栄一は生きてくれていて、同じ時代を歩くことができ、言葉も交わさずとも通じ合っているように感じました。

――慶喜の最期の場面も撮影されたとのことですが、どのように感じられましたか?

感慨深いものがありました。クランクアップして、静かにこみあげてくるものと言いますか…。
栄一との最後のシーンを撮影した際も、役を、栄一を通り越して亮くんを見ているというか、僕は慶喜、亮くんは栄一を、これまで「楽しんできたね」って、同志として、役を越えた所で亮くんと一緒にお芝居できたと思います。


――草なぎさんにとって、改めて今回の大河ドラマ出演はどんなものだったのでしょうか

初めてのレギュラー出演の大河ドラマでした。たくさん良い思い出ができたので、とてもうれしかったです。
一番楽しかったことは、最後まで亮くんといれたこと。吉沢亮という素晴らしい役者さんと長くお芝居できたこと。渋沢栄一という大変な役を彼が最後まで妥協することなく、自分の命を懸けて演じているところを、近いところで見ることができた。それが、僕にとっても元気をもらえたというか、活力になったというか、僕を次のステップにも持って行ってくれたように思います。

――大変だったことはありましたか?

夜中の2時くらいに起きて、4時くらいから準備が始まって、遠くのロケで…。ウマに乗ったシーンを撮影しましたが、放送で使われたのが12秒くらいだったことですかね…(笑)。
今の時代そういう撮影もなかなかないですから。ウマを運んでくるのも大変ですし…。大河ドラマというのは、このような大掛かりな撮影、規模が大きいので。大変だったし、楽しかった。でも、そこが大河の良いところでもありますよね!

■草なぎ剛「僕もまだまだがんばらないといけないんだなと」

――慶喜を演じて、吉沢さんをはじめとする出演者やスタッフの方から影響を受けた事はありますか?

たくさんのスタッフの方や出演者の方から元気をもらいました。
すごいエネルギーでどんどん進めていく。僕もまだまだがんばらないといけないんだなと感じました。

亮くんの今回の役って大変だったと思うんです。せりふ量もすごいですし、僕なんかあまり出演していないのに、あたふたしていますが、亮くんはあんな毎回あんなにしゃべっていて…「どうやって覚えてるのかな〜」って、純粋に思いました(笑)。
やはり、ずっと台本を手放さずにやってきたんだろうな、と思います。そして、亮くんの本番での瞬発力とかを目の当たりにすると、本当に刺激を受けて。
お芝居って、もっともっと可能性あるんだな、亮くんを見て、僕ももう一度がんばるよ!って思いました。

――役を離れたときに、吉沢さんとどのようなお話をされたのでしょうか。

あまり話してないです。せりふが大変そうで…もっといっぱい話したかったんですけど、邪魔しちゃ悪いなと思って(笑)。でも、しゃべらずとも会話しているように、通じ合っているように感じたのですが、亮くんはどう思っていたんだろう?

亮くん、(取材の時点では)最後まで撮影が終わってないんですけど、これをやり終えたら絶対自分の財産になると思うので、亮くんを褒めてあげたいですね。

――慶喜の印象的なせりふはありますか?

本当に、素敵なせりふばかりいただけて…「快なり!」はお父さんの斉昭(竹中直人)から受け継いだせりふで印象に残っています。でも、「快なり!」は、本当は台本では一度しか書かれてないのに、竹中さんが「快なり、快なり、快なり!」って繰り返して(笑)。
「快なり」は竹中さんから生まれたせりふだなと思っています。

慶喜は、人生の核心的なことをいう事が多くて、「輝きが過ぎる」もそうですし、「人をどうしても巻き込んでしまう」ということも。人生を説いているようですよね。
戦争のことを語る場面でも、これまでの世の中や時代をどこか代弁しているようなところもあって。根源的な、核心をつくようなせりふが多くて、話していてドキッとさせられましたね。

――晩年の慶喜を描く上で、川栄李奈さん演じる美賀子さんとのシーンも印象的でした。川栄さんとのお芝居はいかがでしょうか。

川栄さんがとても優しい眼差しでお芝居されるので、僕も毎回吸い込まれるように、目の前にスタッフの方とかカメラとかも気にせずに、お芝居することができました。いざなってくださるというか、川栄さんの包容力と芝居力に僕は「ぽわーんと」しちゃうというか、すごく素敵な瞬間でした。

慶喜も家族を大事にする方なのですが、家族にすごく癒されているたんでしょうね。慶喜にとって家族というのはかけがえのないものだったんだろうなと思います。

――美賀子さんとのシーンで印象に残っている場面はありますか?

慶喜が、能を舞っているところに徳信院(美村里江)に嫉妬した美賀君が「なんで!」って入ってくるところが、すごくかわいかったです(笑)。なんかプンプンしてて、とてもかわいらしくて印象に残っています。
でも、そんな美賀君が、だんだん慶喜の妻として大人になっていく様もとても素敵だなと思いました。

■草なぎ剛「若かったら演じてみたかった」

――「青天を衝け」をご覧になって、どのような印象を持たれましたか?また、演じてみたいと思った登場人物はいらっしゃいますか?

「青天を衝け」では、遠い昔の江戸時代や明治時代の話でも、今の人と変わらないんだなと、親近感を感じることができるところが魅力だと思います。

あとは、平九郎(岡田健史)がかっこよかったです。若かったら演じてみたかったですね。これまであまり描かれてこなかった人物でもありますし、驚きもしましたし、忠義を尽くして、最期のシーンとかは岡田くんかっこいいな、と思いました。でも、やっぱり慶喜が一番かっこいいです!(笑)

――クランクアップされて、改めていかがでしょうか。

1年やり切って、終わったらほっとして次に進むのかな?と思っていたのですが、慶喜のミステリアスな余韻と言いますか、2〜3日はさみしいなとじわじわと思いましたね。
慶喜を演じたことは、集中を切らさずお芝居をできたなという、大きな自信になりましたし、久しぶりのドラマだったので、人生のターニングポイントになったのではないかなと思います。

――草なぎさんにとって慶喜はどのような存在でしょうか。

優しい方だなと思います。
最初はつかみどころがなくて…最後までそうなのですが(笑)、ミステリアスで、どこかさみし気で、儚く、でも男らしく、そのような印象をもちました。


――これからの慶喜の見どころはいかがでしょうか?

慶喜が将軍を退いてからのことを描くことが珍しいと思うのですが、栄一が慶喜を慕って会いに来てくれるんですよね。一線を退いてからの2人の友情が、男の哀愁というか、枯れていく感じで…。だけど、慶喜にとって栄一と過ごした日々は輝かしいもので…。
なんかそういう役は僕自身これまでやったことなかったので、枯れていく哀愁の中に、栄一との輝きを僕は感じたので、そんなところが見どころかな?と思っています。