これまで30店舗以上の飲食店を立ち上げたカリスマ飲食店プロデューサー・稲田俊輔さんが11月28日放送の「日曜日の初耳学」(MBS/TBS系)に登場。林修のインタビューに答え、コロナ禍を経た飲食業界の現状と生き残り戦略について、持論を展開した。

■飲食業界の発展のために必要と考えるものとは

今回の稲田さんとの対談は、稲田さんの著書「おいしいものでできている」(リトルモア)を読んで深く共感した林先生自ら熱望したもの。それだけに、序盤から二人はすっかり意気投合。

中でも、カレー好きな林先生は、稲田さんの「カツカレー嫌い」「カツがおいしければおいしいほど、カレーがおいしければおいしいほど(カツカレーとしてではなく)別々に食べたい」という個人的主張にいたく共感。「カツカレーを否定する気はありません」としつつ、「(自分の主観では)1+1が1.5くらいまでしか上がらない」と話す稲田さんに「やっと“同志”を見つけた気分です」と満足そうにうなずいた。

そこから話題は、日本の飲食業界が迎えている課題へ。飲食業界の発展を妨げる一つの要因として、「“みんなに好かれなきゃいけない”という圧力が強い」と指摘した稲田さん。その一方で、現場を知る立場からすると「(おいしさが)ある臨界点を突破したところから、その食べ物や料理がすごく好きな方も増えるんだけど、逆にまずく感じる方も増えてしまう」と話す。

料理人がこだわりを持って、自慢の味に近づけようとすればするほど“好き嫌い”が分かれてしまう。このジレンマに対する稲田さんの答えは、そのまま突き進むこと。「好き嫌いが分かれるものでも、ちょっと高くても、それを求めている人たちは一定数いる。だから、そこに向かってどんどん自分の個性を出してアピールしていくべき」ということ。

誰にでも受け入れられる料理と、好き嫌いは分かれるものの一部からは熱烈に愛される個性的な料理。「その両方を1軒の店でやることはできると思う。それがある種、これから生き残るヒント」と、今後の飲食店の在り方を力説。「これが僕は一番強いと思っています」と力強く訴えた。

個性を追求するものと万人受けするものを両輪にすることこそが生き残りへの最強手段、という稲田さんの考え方は、業種を超えてゲスト陣にも響いたよう。瀬戸康史は「自分に言われているような感じがして。万人受けするものばかり発信していてもダメなんだなって、すごく…。(エンタメ業界にも)言われているような気がしましたね」としみじみコメントした。

■「おひとり様」をチャンスに

薄焼きオムライスやチキンライス、薄いサンドイッチといった昔ながらの味にもっと脚光を浴びてほしいという思いや、小籠包は10個以上食べて初めて本当のおいしさが分かる説など、“食”をテーマに自由に語り合った林先生と稲田さん。

最後には、稲田さんが「(コロナ禍を)乗り越えて残った店の方が多いじゃないか、と安心している方も多いんじゃないかと思いますが、これは補助金や無理な借り入れでなんとか首の皮一枚つながったという話。この後ももっとお店はなくなっていくと思いますし、むしろここからが正念場。コロナ前と同じには絶対戻らない」と、決して楽観視できない現状を指摘。

感染防止のため、飲食店の“集いの場”としての役割が失われている今、「僕が一つ有効だと思っているのは『おひとり様』です」「(誰かと集う目的ではなく)純粋に、ひたすらおいしいものを食べる1時間か2時間、その時間を楽しむために飲食店に行く。(それを求める“おひとり様”のムーブメントを)チャンスとしてとらえるしかないんじゃないかなと思います」と前向きな展望を語った。