見逃せない作品が目白押しの秋ドラマもいよいよ佳境。どの作品も続きが気になって時間が足りない状態になっております。そんな僕がドラマを見るときに大事にしているのがキャスト。好きな俳優さんが出ているのはもちろんですが、キャストの魅力がその作品の面白さにつながっていることも多いと思うんです。

 毎回、ここまですごい人を揃えてくる?と思うのは、TBS系の日曜劇場枠。古くは「ビューティフルライフ」(2000年)といったラブストーリーから「半沢直樹」(2013年ほか)シリーズなどの社会派、「グランメゾン東京」(2019年)などのお仕事モノなど話題作ばかりを生み出し、日本のドラマ界をリードしてきたこの枠。ここは本当にバランスがすごくいいんです。人気&実力がある方が出ていながら、映画とかで見たことある!みたいな渋い演技派、ちょっと世間をザワつかせているタレントさんとかも押さえていたりして…。老若男女がちゃんと食いつけるシステムを作っていると思うんです(笑)。
僕は大泉洋さんのことが大好きなんですが、「ノーサイド・ゲーム」(2019年)で大泉さんが主演に決まった時は、「洋ちゃんここまで来たんだ!!」と感極まったのを覚えていますそれくらい、人気と実力のある俳優さんしか主役が張れない枠だと思います。
現在放送中の「日本沈没-希望のひと-」は、主演の小栗旬さんと大学の同期でありながら盟友という役どころの松山ケンイチさんのバランスが最高! 反発しながらも分かり合う役を難なく演じるのはこの2人ならでは。物語に説得力と奥行きを持たせています。地震のメカニズムなどこれだけ説明が多いドラマを、間延びせずに見させていくのはこの2人の演技力があってこそ。本当にさすがです。

■綾野剛さんだから成立したドラマ

やはり主演はすごく大事。「アバランチ」(フジテレビ系)なんて綾野さんだから成立したドラマだと思います。キャストが発表されたとき、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(2017年フジテレビ系)や「BORDER 警視庁捜査一課殺人捜査第4係」(2014年テレビ朝日系)などで影があるワケありの刑事を多く演じている小栗さんが綾野さんの役を演じても成立するのでは?なんて最初は考えたりもしました。でもそれって浅はかなんですよ。綾野さんだから今の羽生になっていて、小栗さんだと全く別人になっていたはず。力強くも憂いがある、けど真っ直ぐな羽生は綾野さんだから作りあげられたもの。キャラクターの面白さはもちろんありますが、誰が演じたかが本当に大事なんだと思います。
 ちなみに綾野さんは、柔らかい役とワイルドな役の両方できる役者さんですが、僕は柔らかい役をやっている綾野さんが一番好きです。というよりも、「空飛ぶ広報室」(2012年TBS系)の空井大祐が大好き。人がいい青年だけど心に傷を負っていて、でも逃げるのではなく今のところでなんとか頑張ろうとする姿を見て、「応援したい!」と思っていました。あれほどのハマり役ってないんじゃないかな。あと「コウノドリ」(2015年ほかTBS系)の鴻鳥先生も良かった。やわらかい表情が最高なんですよ。もちろん綾野さんの映画をはじめとしたワイルド系の作品も見ていますが、僕の中でこれがハマり役というのはまだ見つけられていなくて…。それが、今回の「アバランチ」でひっくり返りました。単なるワイルドというだけでなく、表情からも色々背負っているモノが見えたりして。このまま新しい綾野剛を見せていってほしいです。
■主演でも脇役でも存在感のある俳優さんたち

ドラマはそのときの旬な人、勢いのある人がすぐに分かるのも面白いところ。「SUPER RICH」(フジテレビ系)の江口のりこさんなんてまさしく勢いがある人。今回がゴールデンの連続ドラマ初主演だと思いますが、「ついにここまできたか〜」としみじみ感じました。以前から、シリアスもコミカルな役柄も何でもこなし、様々なドラマに出演されていましたが、「半沢直樹」で国土交通大臣を演じたことから変わってきた印象。どんどん役も大きくなって、ついには主演! やっぱり演技力で裏切ってきますよね。この作品のキャスティング担当の方は本当にセンスがいいです。これからも主演はもちろん、クセのある脇役でもたくさん出てほしいです。
 あと、今めちゃくちゃ気になっているのは田中みな実さん。「最愛」(TBS系)でフリーランスのルポライターを演じていますが、めちゃくちゃすごくないですか? ちょっと前までは「M 愛すべき人がいて」(2020年テレビ朝日系)で、「許さな〜い!」とシンバル叩いていたのに、この振り幅。そして元アナウンサーさんですから。すごい逸材だと思います。今後どういう女優さんになっていくのかかなり楽しみです。
 そしてドラマを見続けてくると、すごく大事だと感じるのが主人公の両親を誰が演じるかということ。「日本沈没―」では主人公・天海の母親役を風吹ジュンさん、「最愛」では主人公の梨央(吉高由里子)の母親役を薬師丸ひろ子さん、父親役を光石研さんが演じていますが、このキャスティングがすごくいいんです。
 「日本沈没―」の風吹さん演じる佳恵は、息子のことを誰よりも信じている堅実で頼りがいもある女性。なんで天海みたいな人物が生まれてきたのかが一目で分かります。対して、「最愛」の薬師丸さん演じる梓は、明るくて気が利くけど一筋縄ではいかない雰囲気がプンプンの女社長。もう笑顔が怖い(笑)。彼女を見ると、亡くなってしまった父親の優しさが身に染みて梨央の東京に来てからの孤独感が伝わってきます。出番こそそこまで多くないのに、主人公たちのキャラクターや心情を、主人公たちを登場させずに瞬時に伝えるって凄すぎです。毎回、色んなドラマを見るたびにうならせてもらっています。
 ちなみに僕の中での“今一番、お母さんが似合う女優”1位が風吹さんです。日本のお母さんらしい包み込んでくれる優しさはもちろん、映画「真夏の方程式」(’13年)で演じたちょっとタバコを吸っちゃうみたいな妖艶な役もできるすごい女優さん。去年放送されていた「有村架純の撮休」(WOWOW)ではまごう事なき有村架純のお母さんでしたから。その馴染み方というか、あれには驚きました。本当に演技の幅が広いんですよ。次は、女を忘れていないちょっとダメなお母さんも見てみたいです。
■渡部篤郎さんから目が離せない
あとハマり役というのか、この役はやっぱりこの人というのが、渡部篤郎さんの政治家や警察官。それも大体、悪い感じ(笑)。今回も「アバランチ」で全てを裏で操っている内閣官房副長官を演じています。もう渡部さん=パブリック・エナミーという感じなのでしょうか? なんか渡部さんが出てくると、絶対に裏があると感じてしまうようになってしまいました(笑)。でも、映画「マスカレードホテル」シリーズでは木村拓哉さん演じる新田に手を焼く上司の刑事を演じたり、さまざな役をやられているので、やはり何でもできる方なんですね。ちなみに僕にとって渡部さんは「ビューティフルライフ」(TBS系)の熱血でちょっとダサいお兄ちゃんだから、ちょっと驚きもあります。きっと「ケイゾク」(1999年TBS系)の真山のイメージが強いからそうなっているのかな? 渡部さんが出るたびに、こう見えて本当はいい役?と考えたりするので、「アバランチ」の大山も最後まで目が離せないです。

 こうやっていろいろ話していると、ドラマのキャスティングって本当に奥が深くて面白いと改めて感じました。できることなら、キャスティングの会議とかに参加したい! 「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の“芸人ドラフト会議”ではないけど、“ドラマドラフト会議”があるならやってみたいです。そのときは、綾野剛さんや小栗旬さん、西島秀俊さんあたりの取り合いになりそう。どんな役でも見せられるオールプレーヤーは最高ですから。そして僕は第3希望あたりで、お母さん役として風吹ジュンさんを取って…。妄想が膨らみます(笑)。
まぁそんな夢がいつか実現するといいなと願いつつ、秋ドラマを思いっきり楽しみたいです!