社会現象にもなったドラマ「あなたの番です」(2019年、日本テレビ系)の新作が、映画「あなたの番です 劇場版」として公開中だ。描かれるのは、“交換殺人ゲーム”が起こらなかった“もしも”の世界。その中で、登場人物たちは新たな事件に巻き込まれることとなる。出演者リレーインタビューのラストを飾るのは、ドラマに続き二階堂忍を演じた横浜流星。劇場版や「あな番」への思い、そして“もしもあのとき…”という分岐点を聞いてみた。

■“人間っぽさがある”二階堂は「不思議な感じ」

――まずは、劇場版が決まったと聞いたときの感想を教えてください。

ドラマのラストに謎があったので、スペシャルドラマか映画で回収するんだろうと思って、あの物語の続きが見られるとワクワクしていたんです。でもお話しを聞いていると“もしもの世界”ということで、その切り口にまず驚きました。二階堂はドラマの後半、事件が起きてから登場したキャラなので、どう関わっていくのか全く見えず…。あんまり出られないのかと思っていました。

――ドラマでの二階堂は翔太(田中圭)と同じフロアに住んで真犯人を追っていましたが、劇場版では住人らと同じ船に乗り込んでいますね。

前回は翔太とバディを組んでいたのですが、今回はちょっと敵対しているような関係性。そのあたりが全然違います。ドラマでは翔太に言われて気づいたり、助言があったからこそ動けたりということも多かったのですが、今回は自分の意志で行動しています。そういう意味では同じ二階堂を演じていてもちょっと違って、今回の方が人間っぽさがあるのかも。もちろん根本には、暗かったりコミュニケーション不足だったりする彼がいるのですが、なんか不思議な感じです。

■お気に入りのキャラクターは早苗さんと尾野ちゃん

――横浜さんが思う、「あな番」という作品の魅力を教えてください。

「あな番」がミステリーだけではなく、きちんと面白い作品になっているのには、“キャラクターの濃さ”があると思います。全員何かしら葛藤を抱えているため怪しく、普通だったらギャグっぽく見えてしまうところが、なぜか不気味に見えて驚かすことができている。勝手に動機が見え隠れして、「この人が犯人かも?」とずっと考えていられるんです。二階堂に関しては怪しさはいらないと思って演じました。その部分は皆さんにお任せして。それより“なんか変なヤツ”というか、異質な感じが出ればいいなと思っていました。それが伝わっているといいのですが…。

ちなみにお気に入りのキャラクターは、早苗さん(木村多江)と尾野ちゃん(奈緒)。リアルにいたら一番ヤバい人間ツートップ(笑)。早苗さんは一見普通に見えるところが怖い。穏やかなのにスイッチが入ると一気に狂気になっていくし。尾野ちゃんは人に対する執着が異常でl行動力もあり過ぎて引くのですが、ドラマで実は人を殺していないという…。そこもまた怖いんですよ。周りにいると困ってしまう人ばかりです(笑)。

――本作では“もしも”の世界が描かれていますが、横浜さんは「あのときこうしていたら…」と思うことはありますか?

やっぱり、スカウトされてこの世界に入ったときです。小学6年生のときでしたが、そこでやろうと思わなかったら、今ここにいないので。全く違う人生を歩んでいたはず。自分の中では格闘家か、父親が大工をやっているので大工か…。そういう道に進んでいたかも。でも、この選択は良かったと思っています。最初は興味がなかったのですが、やっていくうちにつれて芝居をする面白さを感じられてきたので。

――改めて、横浜さんにとって「あな番」とはどんな作品でしたか?

オリジナルということもあり、結構むちゃ振りが多い台本で、毎回、試されてると感じていました。でもそれに対応する力を学ぶことができたと、改めて今、感じます。あれがあったから今の自分がいるというか。「あな番」は自分のことをたくさんの人に知ってもらえた作品でもあります。毎話終わるたびに連絡をもらったりして、本当にたくさんの人が見ていると実感していました。今回の映画版もぜひ多くの方に楽しんでいただきたいです。

◆取材・文=玉置晴子