松本潤主演の映画「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」(公開中)には、物語の鍵を握る親子が登場する。西島秀俊演じる“謎多き弁護士”南雲恭平と、蒔田彩珠演じるその娘・エリ。本作でシリーズ初参加となる2人は、「99.9」の現場をどう見ていたのか? さらに「おかえりモネ」(NHK総合、2021年)での好演も記憶に新しい2人がお互いの印象にも言及。アドリブ・ギャグ満載の「99.9」にシリアスな深みをもたらした2人に、たっぷりと語ってもらった。

■撮影時は内野聖陽の話題で盛り上がり「他人とは思えないものが…」

――先日、南雲とエリの場面写真を掲載したところ、「『モネ』の2人が今度は親子に」と話題になっていました。改めて共演して、お互いの俳優としての魅力をどんなところに感じましたか?

蒔田:「99.9」の撮影がちょうど「おかえりモネ」の撮影の合間だったということもあって、朝ドラで見る西島さんと「99.9」の現場で見る西島さんがあまりにも違うので「すごいな」と思いました(笑)。「モネ」ではすごく優しい上司という役でしたが、「99.9」の西島さんは他の弁護士からしたらちょっと“ワル”な感じで。私とのシーンは“優しいお父さん”だったのですが、空港で記者の人に怒るシーンは怖かったです。

――一方、西島さんからご覧になった蒔田さんは?

西島:日本のドラマ界、映画界がこれから大事に大事に育てていく俳優さんだと思っています。これからが本当に楽しみですね。今の年代でしかできない役を着実に演じていって、本当に大きく花開くんだろうなと思いました。クライマックスのピアノの演奏会のシーンは撮影がすごく長かったんですね。長時間感情をキープするのは本当に大変だったと思うんですけど、全然集中を切らさずにやっていて。朝ドラも見ていて素晴らしかったですし、(「おかえりモネ」では)内野(聖陽)さんの娘だし、(「99.9」では)僕の娘だし(笑)。個人的にも大事に見守っていきたいです(笑)。「蒔田さん、内野さんの後は俺の娘か…」と思っていたのですが、後というか、同時だったもんね。

蒔田:そうでした(笑)。

西島:他人とは思えないものがありました(笑)。

――撮影中はどのようなお話をされていましたか?

蒔田:やっぱり朝ドラの話…というか、内野さんの話をしていました(笑)。

西島:「内野さん、どう?」「大丈夫? 迷惑かけてない?」って話したね(笑)。「よくしてもらってます」「よかったよかった」みたいな。別に僕、内野さんの何でもないんですけど(笑)。気になっちゃうんですよ、相手役もやっているから。同じような時期に「何食べ(きのう何食べた?)」もあったので、どうしても浮かんじゃうんですよね。実際「おかえりモネ」の気仙沼編も素晴らしく、見応えのあるシーンばかりだったので、その話などをしていました。

■南雲&エリの親子は「唯一ちゃんとお芝居をする」2人

――「99.9」シリーズ初参加のお2人が、現場で驚いたことはありますか?

西島:三浦(駿斗)さんの脚本も素晴らしいのですが、木村(ひさし)監督はどんどん現場でセリフを追加していくので、僕の台本は書き込むだけでは間に合わず、ふせんですごく分厚くなっていました(笑)。それに加えて、現場で松本さんや香川さんはじめ、出演者の皆さんが「こうしたらもっと面白い、分かりやすい」と変えていくんですね。そのダイナミックな躍動感はやっぱり特別だと思います。木村組を経験していても、「ここまで変わるか」と。

――丁丁発止の掛け合いは「99.9」名物ですが、南雲先生はシリアスなシーンが多かったですね。

西島:なので僕は今回、木村組なのにマジメに…いや、みんなマジメにやっているんですけど(笑)、台本通りにやっています。木村監督も「西島さんにこんなに普通に演技してもらうと違和感あるなぁ…」と言っていました(笑)。この2人はストレートに親子の思いを演じるキャラクターでしたね。蒔田さんも変なことやらされてないでしょ?(笑)

蒔田:皆さんが本当に面白いから、私は「これで大丈夫なのかな?」って思ってました(笑)。でも松本さんが「この映画で唯一ちゃんとお芝居をするのはエリだから、そのままで大丈夫だよ」って言ってくださって。「私はギャグ言わなくてもいいんだ」って(笑)。

西島:次、木村組に入ったときは言わされると思うよ(笑)。

蒔田:現場で見ても試写で見ても、杉咲(花)さんの振り切りようが本当にすごくて…「いつもの杉咲さんじゃない!」って思ったので、私もいつか挑戦してみたいです(笑)。

西島:蒔田さんがやったら、めちゃくちゃ面白いと思うなぁ(笑)。

蒔田:私が今回一番驚いたのも杉咲さんでした。私が現場で見ていた以上に本編がすごくて、「私とのシーンが一番テンション低いくらいだったんだ!」って思いました(笑)。

■西島秀俊も感嘆!長ゼリフでもどんどん変える、松本潤のすごみ

――座長である松本さんの印象や、「さすが!」と思ったことはありますか?

西島:法廷のシーンはすごい説明の長ゼリフで、覚えるだけでも大変なんですけど、松本さんは現場で「こうした方がもっと伝わるんじゃないか」ということで、変えるんですよ。それも結構な長いセリフを変えて、その場で覚えて、ばーっとしゃべる。その集中力や、より良いものを作ろうとする情熱はすごいなと思いました。普通、あんな長ゼリフを覚えたら変えたくないですよ(笑)。しかも証言を覆すための説明が続くので、一カ所変えるだけでもズレていってしまう。それを大幅に変えていました。俳優としてはもちろんですが、ご自身でライブの演出などをやられたりもしているので、プロデューサーや監督の視点でも作品を見ているんでしょうね。

――蒔田さんはいかがでしょうか?

蒔田:クランクインの空港での撮影に、ご自身の撮影がない松本さんがいらっしゃっていたんです。私は“自分のシーンがない日に現場に行く”ということがないので、作品に対する愛情の深さを感じました!

――それでは最後に、お2人が好きなシーンを教えてください!

西島:僕は、村で事件を再現するシーンがとても大変だったので印象に残っています。今回、2回再現しているんですよね。だから(高橋)克実さん、何回「ワインしょい」って言ってるの?って(笑)。めちゃくちゃ面白かったんですけど、「なるほど、この作品の大変さってここなんだな」と(笑)。セリフではなく、ちゃんと手を抜かずに再現して分かりやすく面白くするというのが徹底されているんだなと、改めて感じました。僕は終わっていたのですが、「残ったシーンを撮り直しに行ったら、花が咲いちゃって…」とか、とにかく大変だったと聞いています(笑)。大変だけど、みんなでゲラゲラ笑いながら撮っていて。「99.9」を象徴するシーンだったと思いますね。

蒔田:私はやっぱり、自分のピアノの演奏会のシーンが一番好きです。演奏が終わって立ち上がって、お父さんと目が合うところでグッときました。

西島:プレッシャーもあったしね。大変な状況の中でたくさんのエキストラの方が来てくださって、オーケストラの方もいて。本当にコンサートを始めるような感じで撮影していたので、「これは緊張するだろうな」と。長時間のシーンで集中も大変だったと思いますが、見応えのあるシーンでした。父親のような気持ちで見守っていました(笑)。

蒔田:本物のオーケストラの皆さんがいて、大勢のエキストラの方と西島さんも香川さんたちもみんないたので、すごく緊張しました。でもやり切った達成感もすごくて、その日は本当に幸せな気持ちで帰りました(笑)。