コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、自己肯定感が低い幼馴染と自信に満ち溢れた主人公という正反対な2人の友情を描いた『幼馴染は今日結婚式を挙げた』をピックアップ。商業誌や同人誌などで活躍中の漫画家・吉良いとさんが、友人の結婚式に出席したことをきっかけに描いたという今作。Twitterに投稿するやいなや、1話だけで7.5万件以上のいいねが集まり、「こんなん泣いちゃう」「二人とも良かったねぇ」「Happyなのに泣きそう」など、さまざまな反響のコメントが寄せられた。この記事では、作者の吉良いとさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

■自己肯定感が低い幼馴染に毎日「綺麗だよ」と伝えつづけたら…
主人公・マミは、憂鬱な気持ちで幼馴染・ミズキの結婚式会場にいた。子どもの頃から自己肯定感が低く、いつも前髪で顔を隠し、俯いていたミズキ。そんな彼女に対し、マミは「ムカつく」と言いながらも毎日のようにそばにいて、肯定し、励まし続けてきた。そして迎えたミズキの結婚式。かつて「マミと一緒にいられたらそれだけで幸せ」と言っていたミズキはどこにもいない。ミズキにはもう、自分以外に「綺麗」と言ってくれる人がそばにいる。まるで肉親や恋人を奪われたかのような喪失感にかられるマミのもとに、ウェディングドレスをまとったミズキがやって来た。「私綺麗になったでしょ? マミが自信をくれたおかげだよ」。これまで2人で見た風景や楽しかった時間が走馬灯のように思い出され、顔をあげると自然と涙があふれ出る。「〜〜〜〜〜うんっきれいぃぃぃ」声にならない声で、マミはまたミズキをほめる。幸せそうに笑うミズキの姿は、今までで一番綺麗だった。

自己肯定感が低くいつも教室の隅で俯いていたミズキと、整った容姿にサバサバした性格で、おそらくクラスの中心的存在だったであろうマミ。そんな正反対の2人が育んできた友情の物語に涙腺を崩壊させる人が続出、3回に分けられた投稿を合計して、なんと約12万以上のいいねが集まり、大きな反響を呼んだ。

マミとミズキを対比させる描写や、ところどころに散りばめられた伏線など、短編ながらも非常に満足度が高い今作。作者の吉良いとさんに、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。


■「恋愛とはまた違う、愛の感情があった」 “友情”だけでは語れない心の機微を描く
――「幼馴染は今日結婚式を挙げた」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
少し前に友人の結婚式があり、センチメンタルな気持ちになってしまったのを形として昇華したいと思いこの漫画が生まれました。このお話はフィクションですが、マミの寂しい気持ちに感情移入しながら描きました。

――今作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
こだわった点は、2人の表情の描き方です。最初自信に満ちあふれていたマミと後ろ向きな顔ばかりしていたミズキ。それが成長するにつれて、だんだん逆転していく様子を丁寧に描くよう心がけました。

――“だんだん逆転していく様子”が分かりやすく描かれたシーンはありますか?
ミズキに関しては、3ページ目の長い前髪で顔が隠れて下ばかり向いている姿がページが進むにつれて前向きに、マミに関しては、自分に自信があって前ばかり向いていた幼少期から大事な友達を取られたような気持ちで下向きに…と、お互い影響を受け合っている関係性を2人の表情で表現するよう心がけました。

――今作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ミズキの「私綺麗になったでしょ?」というシーンが個人的に気に入っています。マミがいなければ、ミズキは綺麗に笑えていなかった。あの場面に2人のこれまでが詰まっていると思います。

――読者の間で話題に挙がっていた、“ミズキの前髪を留めたピンと結婚式のヘアスタイルが両方バラモチーフ”いう共通点ですが、ここはやはり意識して描かれたのでしょうか。
作画に入る時に、ミズキのドレス姿のどこかにマミから影響を受けている部分があったらいいな、と思い髪型を工夫してみました。展開上描けませんでしたが、マミからもらったバラのヘアピンを今もミズキは大事に持っています。

――マミの心情としては“友情”なのか“恋慕”なのか“庇護欲”なのか、どれが近いと思いますか?
最初は庇護欲だったのかもしれません。しかし、気づいたら自分の方がミズキを必要としていて…。恋愛とはまた違う、愛の感情があったのだと思います。

――ミズキを手放したマミは、今後どうなっていくと思いますか?
ミズキから「マミのおかげで綺麗になった」という言葉を受け取ったマミは、前を向いて心からミズキのことを祝福し見守っていきます。そしてもしミズキがパートナーから傷つけられることがあったら、誰よりも早く駆けつけミズキをさらっていきそうです(笑)。

――ところで、吉良さんの過去作品を拝見していると「100年生きた猫の話」や「もしも記憶が遺せたら」、「幽霊が視える葬儀屋さん」シリーズなど、死生観をテーマにした作品を数多く描いていらっしゃいますが、理由があればお教えください。
死生観がテーマになっている作品が多いのは、「後悔しても元に戻らないもの」を描きたいという思いが自分の根底にあるからかもしれません。それは「命」だったり、「言葉」だったりさまざまですが、失ったり傷つけたりして初めて大切さに気付かされるものです。現実では元に戻ることが叶わないことでも、漫画の中でなら救いを見出せる…。そんな「誰かに寄り添える漫画」を描くことが私の目標です。

――今後の展望や目標はありますか?
今後は商業誌と同人誌を両立しながら作品を発表していきたいと思います。いろいろな媒体で作品を知ってもらい、より多くの方に漫画を読んでいただけるよう努めていきます!

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも漫画を読んでくださり有難うございます! 皆様のコメント、Twitterでのいいね、ファンレターなどでたくさんの方に読んでいただけているのだと実感できています。これからもあたたかく見守っていただけますと嬉しいです!