目が見えず、話すこともできない少女「千璃(セリ)」を巡る実話をミュージカル化した作品「SERI〜ひとつのいのち」(原作:倉本美香)が 10月から東京、大阪にて上演される。それに先立ち、トリプル主演を務める山口乃々華、奥村佳恵、和田琢磨が、8月8日に都内で行われた会見に登壇し、作品への思いなどを語った。

“多様性の暗闇に光を当てる”をテーマにした同作品は、映像・舞台公演の製作会社conSeptの新作ミュージカル。訳詞家として「メリー・ポピンズ」などの著名作品に携わり、近年は「銀河鉄道999 THE MUSICAL」などの脚本も担当する高橋亜子が脚本と作詞を、conSeptのオリジナル作「いつか〜one fine day」などで好評を得た桑原まこが作曲し、歌唱は生バンドとの共演で行われる。また、conSept作品に振付家として参加してきた下司尚実が自身初となるミュージカルの演出に挑戦する。

■日常を多様な表現で届けていきたい

タイトルロールの千璃を演じる山口は、E-girlsでの活動を経て、ドラマ・舞台の世界で活躍中。「私はこの作品のリーディング・ミュージカルを拝見して、心にズシンと来ていました。主演のお話も奇跡的な感じで頂いたんですけど、演じることを決めるまでに覚悟が必要でした。物語を読んでいると、諦めない夫婦(両親)の姿に愛情と希望を感じました。“この家族になりたい”と、その時に思いました。私自身は、この作品の中でほぼ言葉を発しないので、ドラマの部分では身体表現が主になりますが、みんなが共感できるような日常を多様な表現で届けていきたい」と意欲を語った。

「美香は感情の幅がすごく豊かなので、高ぶりをそのまま歌にしているシーンとかもかなりあります。音程をしっかりとっていくのも含めて、音楽の力がすごく大きい作品ですので、逆に引っ張られ過ぎないよう、バランスをとりながら取り組んでいきたいと思います」。こう語るのは、千璃の母·美香を演じる奥村。蜷川幸雄に見出され、ケラリーノ・サンドロヴィッチの演出舞台、野田秀樹作の一人芝居などでも輝きを振りまいてきた実力派だ。


■和田がオリジナルミュージカルに挑む

父・丈晴を演じるのは、2.5次元作品を中心に活躍してきた和田。オリジナルミュージカルに挑むのは今回が初めてということもあり、現場は新たに得るものも多いという。

和田は「母親の方が見た時と、男性が見た時など、その人によって印象が変わる作品だと思います。台本と音楽と素直に向き合って、どう感じていただけるかと私自身も楽しみです。台本の中にも自分一人で葛藤したり夫婦ですれ違ったりするシーンがありますが、そういったところが見ている方の事情とリンクするところもあると思います、自分の役にうそがないように向き合っていきたい」と力を込めた。

その他、美香と敵対する産科医役で植本純米、千璃に整形手術を勧める形成外科医役で内田靖子、千璃が通う特殊学校の先生役で小早川俊輔が出演し、3人の脇を固める。

同作は、東京・博品館劇場で10⽉6⽇(⽊) 〜16⽇(⽇)、⼤阪・松下IMPホールにて10⽉22⽇(⼟)〜23⽇(⽇)まで上演される。

◆取材・文=原田和典