NMB48安部若菜、自身の“アイドル失格”なことを告白「夜中に書いているとつい行っちゃう…」
■メンバーから「安部先生!」
――まもなく初小説が発売されるお気持ちを教えてください。
まずは「書き終えてよかった」といううれしさと、「反応が不安だな」って気持ちで半々です。
――NMB48のメンバーからの反応はいかがでしたか?
「すごい!」って言ってもらえました。最近は「安部先生!」って呼ばれるようになったんですけど、ちょっと照れくさいです(笑)。
■自分の体験が基になっている部分も
――「アイドル×オタクの恋愛」は禁断のテーマですよね。
「触れていいのかな…」という迷いはあったんですけど、せっかくアイドルを現役でやっているので「生かせるな」ってことで、これに決めました。
表に出てこないアイドルの部分をなんとか表現したいなと思った時に、どこまでが本当でフィクションか分からない小説なら、面白く出せるんじゃないかなと思ったんです。
――本当のことも書いてあると?
はい。主人公が高校3年生で進路や将来に悩んだりするんですけど、それは自分の体験が基になっている部分もあります。
今は大学に通っているんですけど、高校3年生の時は「アイドルを辞めよう」と考えたこともあったんです。そういった部分では(主人公と)通じる部分があります。
■アイドル活動の合間に時間を作るのが難しかった
――なぜ「アイドル失格」というタイトルを付けたのでしょうか?
タイトルを決める時に、他の本を参考にしようと思ったら、太宰治の「人間失格」を見て“ビビッ”ときたんです。それを意識して決めました。
――ご自身の中の「アイドル失格」だなと思う部分はありますか?
本の執筆に行き詰まった時、夜中なのにめちゃくちゃ食べたくなって、ラーメンを食べに行っちゃいました…(笑)。夜中に書いているとついつい行っちゃいますね。
――では、執筆で大変だったことを教えてください。
アイドル活動の合間に時間を作るのが一番難しかったです。出番の合間や、メーク時間の隙間に書いていました。あとは、自分のアイドルの経験をどこまで入れたらいいんだろうってことに悩みました。入れすぎても重なってしまいすぎてよくないので…。
――アイデアが出ないこともありましたか?
ありましたね。「こういう感じのストーリーにしたい」というのはあるんですけど、それをどう書いたらいいんだろうと迷いました。書ける部分と書けないパートで別れていて、アイドルパートと、オタクパートの二軸で話が進むんですけど、オタク目線の方がスラスラ書けました(笑)。
■見どころは「ファンとアイドルの恋愛」
――“ガチ恋”の部分はいかがでしたか?
自分がもともとアイドル好きでしたし、他のメンバーや自分にもガチ恋してくれていたファンが実際にいたので、「この人ってどうだったんだろうな」と想像しながら書き進めていました。他のメンバーに「こういう時どうする?」と意見を聞きにいくこともありましたね。
――やっぱり、見どころは「恋愛」の部分ですか?
一番キャッチーな部分としては「ファンとアイドルの恋愛」なので、そこが見どころです。内容としては、やりたいことや夢。これが本を通して伝えたいことで、アイドルもファンも同じ人間で将来に迷っているということ、夢を見つける大切さなどを伝えられたらいいなと思います。
――作中にはSNSが出てきますが、これは意識的に取り入れたんですか?
今はSNSを通して人と出会いますし、「友達に言えないことでもSNSには書ける」ってことが結構あると思うので、たくさん入れてみました。ファンが「アイドルが自分のSNSを見ている」とは思わないかもしれないですけど、意外と見ていたりもするので、推しがいる人にはドキドキしてもらいながら読んでもらえたらなと思います。あと、私的にはアイドルが読んだ時にどう思うのかすごく気になっています。
アイドルにもファンにも共感してもらえるんじゃないかなって。誰しもやりたいことや、悩んだりすることがあると思うので、密かに「そういうところで悩むよな」って共感しながら読んでほしいです。
■新しい今のNMB48の姿ができてきた
――次回作について考えていることがあれば教えてください。
書きたいですね。今回は全然思い通りに書けなくて、予定していたよりも執筆が長引いてしまったので、次はちゃんと締め切りを守って(笑)、書けたらいいなと思います。アイドル以外のことも書きたいですね。
――NMB48のことについてもお聞きしたいのですが、2021年の白間美瑠さんの卒業で1期生がいなくなり、2022年1月の組閣によって新体制も始まりました。新しい今のNMB48の姿ができてきたと思います。
最近ライブを見ていて気付いたんですけど、真面目でがむしゃらなグループだなと思っています。ライブのリハーサルに関しても、今までにないくらいいい雰囲気で進められていますね。引っ張ってくれる先輩がいなくなってしまった分「それぞれができることを精いっぱいやろう」という流れがあるのが今のNMB48です。
■先輩たちみたいに笑いを取っていけるようになりたい
――最後に、アイドルと小説家としての目標を教えてください。
「アイドル失格」をたくさんの人に読んでいただくことが一番の目標なので、そのためだったらどんなことでもします(笑)。
アイドルとしては、もっとNMB48の安部若菜としていろいろな番組に出演して、広めていきたいです。また、選抜メンバー、アンダーガールズを決定するファン投票で4位に入るなど、前で歌う機会も増えているので、ライブの時でも頼もしいメンバーになりたいですし、MCや仕切りを任されることが多いので、そういう部分でももっとしっかりして、先輩たちみたいに笑いを取っていけるようになりたいです!
◆取材・文=大野代樹