注目の“おしゃれアイコン”アニャは演技力もケタ外れ 「ザ・メニュー」で見せた強烈な存在感
■映画のようなシンデレラストーリー
1996年生まれ、現在26歳のアニャが芸能の仕事を始めたのはちょうど10年前、16歳の時。俳優を夢見ていた彼女が初めてヒールを履いて歩く練習がてらロンドンの街を歩いていたところ、ケイト・モスを見いだした超重鎮スカウトに声を掛けられ、モデルとしてデビューした。キャリアの始まりから、まるで映画のようなシンデレラストーリーだ。
ほどなくして演技のオーディションにも挑戦するようになり、2015年公開のホラー映画「ウィッチ」で主役を獲得。この作品がアニャにとってほとんど初の本格的な演技経験だったが、魔女だと疑われる少女トマシンの印象は鮮烈。作品はサンダンス映画祭で監督賞を受賞するなど世界で評価され、アニャ自身にも一躍注目が集まった。
■美貌でも注目のアニャが出演「ザ・メニュー」
その後も順調にキャリアを重ね、2020年には主演ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」と映画「エマ」で大ブレイク。この年のゴールデン・グローブ賞テレビ部門と映画(コメディ・ミュージカル)部門の女優賞にダブルでノミネートされ、テレビ部門で受賞を果たした。
まさに彗星のごとく現れ、一躍スターダムにのし上がった感のあるアニャ。ディオールの顔としても活躍し、英VOGUE誌の表紙を飾るなど、美貌でも注目を集め続けている。そんな彼女が2022年、俳優としてまたもや強烈なインパクトを残した作品が、映画「ザ・メニュー」だ。
予約が取れないことで有名な孤島の超人気レストラン・ホーソンに客としてやってきたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)が、店のシェフ・スローヴィク(レイフ・ファインズ)の極上の料理に添えられた“サプライズ”に追い詰められていくさまを、ブラックユーモアをちりばめながら描いた同作。トラウマ級の恐怖を描きながら、カテゴリー上はコメディーという異色作だ。
マーゴは、店にふさわしくないほどグルメに興味のない女性。客たちが皆ホーソンで食事するというステータスに有頂天になる中で、マーゴだけはスローヴィクとスタッフたちの異様な空気を感じとり、「食べるものがない」「何をいつ食べるかは自分が決める」と強い言葉でスローヴィクを拒絶する。
■名優との対峙(たいじ)で生まれる壮絶な緊迫感
相対したスローヴィク役のレイフ・ファインズは30年以上にわたり映画と舞台で活躍する名優。彼が、「ハリー・ポッター」シリーズで演じている恐ろしい魔法使い・ヴォルデモート卿にも匹敵する妖気でレストランの化け物・スローヴィクを演じているのだが、アニャ演じるマーゴの存在感はそれにまったく負けていない。マーゴの大きく理知的でいかにも意志の強そうな瞳が、彼女一人だけスローヴィクと真正面から対峙するストーリーに説得力を与えている。
2人そろって第80回ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞・主演女優賞にそれぞれノミネートされたのも、2人の存在感が互角で、作品の中で高度にバランスをとれていたからにほかならない。異様な状況の中で、強烈なスローヴィクに強烈なマーゴが毅然と対峙することで生まれる緊迫感がこの作品の最大の見どころだ。
今後も、4月28日(金)公開のアニメーション映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でピーチ姫の声を担当し、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のスピンオフ作品「Furiosa(原題)」(2024年公開予定)でタイトルロールのフュリオサを演じる彼女。待機作での演技にも期待が高まる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部